1.タイトルに「3人の女たち」と付けただけあって、ヒロインたちは三者三様の凄まじい存在感を放っている。それから監督の映像美に対する拘りも凄い。この作品は女優と監督、4人の女の映画だと言っても過言じゃないと思う。でもちょっと待ってほしい。これは太宰の映画である。太宰の魅力は、遊び人でダメ人間なのに、インテリで繊細なところ、生意気なのに気が弱くて自虐的なところ、そんな人の持つ振れ幅を小説の中に惜しげもなく披瀝して、読者に親近感や、自分自身を見たような錯覚を与える、そんなところじゃないかと思う。確かに斜陽や人間失格を書いた頃の、太宰の生活はこんな感じなんだろうなとは思う。でも、太宰文学の持つ魅力が、あまり映画に反映されてない気がする。そういう意味では、映画のテーマが太宰から少しずれている気がするのだが。