1.《ネタバレ》 かなりアンフェアなミスリードよね。真実が明らかになるまではサスペンス映画のごとく見せてゆくものだから、ずーっと不安感と緊張感に支配された状態が続くのだけれど、明らかになった瞬間にタイトルの意味が判って、思っていたような映画じゃないことが判って、あー、そういうコト・・・って肩透かし、脱力感に襲われて。
キモチは判る、理解できるのだけど、その極端な行動は一貫して「なんなのよ?」ってカンジ。でもあの瞬間からカレの見え方がガラリと変化してしまうっていうのは面白かったわ。
大量に配された登場人物の、でも多くがそんなに物語に対して有機的に機能している存在には思えなくて、世界を構成する要素です、くらいな。この映画の知識が全然ないままに見たので「あ、松本穂香出てる、森七菜も出てる」みたいな楽しみ方はあったけれど。にしても森七菜の学校の先生に対して物語として特に何もしないカンジなのはモヤるわね。
ラストの選べなかったルート、生きられなかったルートは切なくて、だけど最後にヤツに与えられたチャンスはそれでも甘すぎやしませんか?と思ってしまったり。いや、若ければ人生はまだまだ選べる道はあるのでしょうけれど、でも、ヤツには壊してしまったものの大きさに対する自覚はあんまりないような気がしてしまうわ。
失ったもの、失われた時間の大きさ、その痛みをガッツリ描く、ってほどに残酷にはなれないでしょうけどね。