14.ニュース番組などで、ウォール街の映像が流れ、世界の金融関連のトピックスが伝えられる度に、地球のあらゆる場所の中で、あの場所が自分の人生において最も縁遠い場所だと思えてならない。
到底行けるわけもないが、アフリカの奥地や、南極点の方がよっぽど身近に思えて仕方がない。
それくらい「金融」や「経済」という言葉とそれを取り巻く環境に対して疎い者にとって、この映画は決して“観易い”映画ではないと思う。
しかし、その根本的な苦手意識を越えて、金と欲望の中で蠢くような人間模様に引き込まれる。
さすがはオリヴァー・ストーン。ハリウッドを代表する豪腕監督のエネルギーに溢れた映画だ。
いまやお騒がせ俳優の筆頭と言えるチャーリー・シーンの若々しさや、マーティン・シーンとの“親子役”での親子共演など見所も多いが、最も注目すべきはやはりマイケル・ダグラスだろう。
金融界のモンスターを演じた彼の存在感を感じるだけでも、この映画を見る価値は充分にあると思う。
ただし、やはりもっと金融界の何たるかに明るければ、ずっと深い味わいを得られるのだろうと、残念に思った。
ラストの顛末も、内容を完全に把握できていないのか、今ひとつ盛り上がりに欠け、「これで終わり?」ときょとんとしてしまった。
知識を深め、何年後かに見直したなら、印象は大いに変わるだろうと思う。
P.S.若い時のチャーリー・シーンは、親の七光り感と彼独特の野心的な空気感が合わさって、最近の若い俳優には無い“熱”を感じる。今更ながら、彼がスター俳優としての地位を築いたこともうなずける。