11.伊丹監督の情報映画というか、手口紹介映画というか、“現場主義”がよく表われた作品。こう複雑になった社会では、背景を分析していってはキリがなくなってしまう。そこで何事かが起こっている現場だけに好奇心を絞り込んでいく。現場のレベルでナマなものだけが、現代では確実な手応えを与えてくれるもので、そこに固執しよう、と割り切った姿勢が感じられる。暴力団と警察と企業、それらの関係を構造として見、解剖していくのではなく、それらが接触する面だけを剥がしてスクリーンに広げていく。暴力団と警察の背後にある政界での癒着などには思いを馳せず、このホテルのロビーだけの限られた中での正義を描く。もちろんこれは大きな弱点で、社会を捉える映画として最も重要である批評性を捨ててしまう訳である。でも、この世の中を大局的に分かったように扱うよりは、まず確実な部分だけでつかんでみたい、という作者の姿勢も尊重してみたいのだ。大局的な論は、突き詰めると抽象性の幕によって時代との間に境が作られてしまっているような感覚が残る。この幕に対するいらだちを監督は強く意識していたのではないか。日本の社会派映画の、とかく大局の論に走りがちな欠点を、もしかすると乗り越える役割りを担うのではないか、とこのころの伊丹監督には期待してたんです。手口の陳列として面白かったし、いつもながらの過剰なサービス精神にはゲンナリさせられるところもあるが、「暴力団は他人に屈辱を与えるから嫌だ」ということはあまり日本の映画ではちゃんと描かれてこなかったことで、そこを買います。仁侠映画好きな私が(フィクションと割り切って楽しんでるんですが)時々思う後ろめたさを贖罪する意も込めて。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-12-23 12:08:42) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 伊丹十三監督の「女」シリーズは基本的にどの作品も同じプロット。宮本信子演じるスゴ腕のプロが問題を解決していく爽快感がウリ。ワンパターンと言えなくも無いですが、どれも娯楽映画として高い水準にあるのが素晴らしいです。本作もそんな作品のひとつ。今回の「女」は民事介入暴力専門の女弁護士。ただ主役は彼女ではありません。彼女はあくまでキッカケであり手段。暴力団に相対する主人公は、一介のホテルマンです。彼らは最初何も持っていない。女弁護士のサポートを受け、徐々に戦う術を身につけていくのが見所。大切なのは相手を知ること。怖い時に目を瞑るともっと怖くなる。震えた時ほど眼を見開かなければならない事を本作は教えてくれます。ただ、現実にはこう簡単には行かないだろうという事も想像できます。深いようで浅い、浅いようで深いのが暴力団。怯えずされど侮らず。出来ることなら、彼らと関わり合いなく人生を過ごしたいものです。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-04-15 20:54:29) (良:1票) |
9.今まで誰も描いてこなかった日本の社会の裏模様を描き出すのが伊丹監督の得意とすることであるが、誰も描いてこなかったということは、それだけ映画にして面白い要素が少ないということで、そういう題材をこれだけのエンターテイメント性とドラマ性に溢れた作品に仕上げるというのは、やはり物凄い手腕であったと言える。 【鉄腕麗人】さん 7点(2003-10-17 14:31:10) (良:1票) |
8.社会派映画だけど、堅苦しくなくてわかりやすいエンタメ性もある。 ゆすりたかりの暴力団の手口を明らかにしてやりこめる痛快作。 伊丹監督の才能と勇気に拍手。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2014-04-20 20:30:18) |
7.とにかく面白い。中尾、伊東などのヤクザ側のキャラと、ホテル側のキャラが素晴らしい。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-09-19 22:49:02) |
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【Yoshi】さん [地上波(邦画)] 7点(2008-03-24 23:12:52) |
5.実際にほっぺた切られた伊丹十三ですから、やっぱりリアルさがありますよね。そっち方面の人に負けないで戦うことは、一般の人間にとっては怖いことですが、この映画を観ると、なるほどと思える面もありますね。伊東四郎はあの顔ですから迫力がありますね。 【オオカミ】さん 7点(2003-11-30 21:49:33) |
4.伊丹監督お得意の日本の社会の裏場面をユーモア交じりのリアルで見せてくれる秀作。 【スマイル・ペコ】さん 7点(2003-06-03 11:55:29) |
3.どんなに脅されても冷静に対処して行けば何も怖くない。作り物だが、決して完全なる作り物ではない。この映画を通して、ヤクザに対する知識や対処の方法を学んだ(出来れば実践したくはないが…)ラストのシーンはなんだか胸がスカっとした。 |
2.これはヤクザの手口を知る上で非常に勉強になる作品です。当時会社で回覧されてた暴力団対策の書類にこの映画とほとんど同じ内容のことが書いてあった(笑) 【イサオマン】さん 7点(2003-03-01 23:34:53) |
1.伊丹さんは、よく社会問題を題材にした映画を作るんだけど、そういう類の映画大好きです。ここでは「民事介入暴力」を取り上げたんだけど、当てましたね。配役もぴったしだったと思う。やくざのやり口を分かりやすく表現したと思う。 【ジンタ】さん 7点(2002-09-27 21:49:48) |