2.《ネタバレ》 意外にレビューが少ないですね。
【勝手な解釈&ネタバレ御免】の感想です。
今回はハリーポッターとは根本的に違う「大人向けの物語」でした。
ジョニー・デップ演じる闇の魔法使い、グリンデルバルドが語る「絶対的能力主義による世界の改変」は、当然ヒトラーが国民に語った理想論と同じで、
史実である英国と極東の悲劇(※)を、来るべき未来の惨劇として予言するシーンは悪魔的でゾッとします。(※一応ネタバレ回避です)
以下は私見で、的外れな解釈かも知れません。
ハリーポッター・シリーズは、著者J.K.ローリングのプライベートを反映した、家族・師・友・成長の物語だと思いますが
そのプリクエル(前史)であるファンタスティックビーストの本質は、過去を舞台としつつ《現在の社会》を投影した物語だと思います。
今の世界は、一度は雪解けした東西が時を経て、お互いの同盟を再拡大し、新たな二極化が進んでいます。
強烈なリーダーの影響下で、アジアでは昨日の敵同士が友となり、中東ではその逆が起きている。
それぞれが「秩序ある安定」と「自由への変革」の2つの正義を掲げて対立し、皆が選択を迫られ
その結果、「絆(きずな)の再編)が行われる。
このプロットには既視感が。これは『X-MEN』シリーズとまったく同じテーマを魔法世界に置き換えた話じゃないのか。
魔法使い(能力を持つ者)と持たざる者(ノー・マジ)のパワーバランスをめぐる、魔法使い同士の対立。
ダンブルドアとグリンデルバルドの関係は、チャールズ(プロフェッサーX)とエリック(マグニートー)そのもの。
二人が奪い合うクリーデンスは、強大な力を秘めた諸刃の剣 ジーン・グレイと重なる。
さらに、魔法使い以外の半人半獣キャラが登場するのも、ミュータントの多様性を思わせる。
今後、物語がどう展開し世界がどう変わるのか?(または、変わらないのか?)
それはローリング女史の作家性が左右するところですが、
気持ちとしては X-MENとは違う道、 “壊れた愛が修復” され “希望にあふれる” 結末が来て欲しい。