1.《ネタバレ》 『雨に唄えば』のテレビ版というか。「初めの自由さ」がのびのびと描かれている。試行錯誤の時代、それと青春の試行錯誤が重なっている。買い物ブギの派手な振り付けと、その後ろを不気味そうにカバンを抱えて通り過ぎるトット。だって街中でああいう人を見掛けたらジロジロ見てしまうんではないですか、という理屈。いかにも白紙の状態で入ってきたという感じ。バタンと倒れてガヤガヤが入るとこも、ちゃんと本人には理屈があるのがいい。手錠も面白かった。あとは火鉢の灰か。いい度胸してると言われるまでになる。あれがないと、どうしてこう失敗ばかりしてて抜擢されるのか、ってなるんだけど、あれがあるのでつながる。で壁を支えるところで仕上げって感じかな。「ケーキ」のシーンは見なかったことにすれば、コメディとしてかなり楽しめた。もちろん植木等もいい。別荘での青春談義、医者と監督の間で揺れた大森君自身の言葉でもあるんだろうね。あれがラストのトットの決意につながっていく。恋愛のない青春ものとしても貴重。