8.《ネタバレ》 鑑賞後、レビューを書く前にここの評価を見て自分のそれとかなり差があるので驚きました。
自信が無くなりもう1度見ました。
気負わず見られたという事も有りましたが、評価は上方修正されました。
日和った形になりましたが、2度見た事は結果的には良かったです。
話の展開や構成は俊逸でしたし、登場人物が皆、役者さんの演技を含めて魅力的でした。
高良さんと吉高さんは単体でも良かったですが、彼等2人の関係性は見ていてとても心地良かったです。
空気を読めない世之介と彼に輪をかけてマイペースな祥子は、ボケ役の芸人の前にもっと強烈なボケ芸人が現れ、最初の芸人が突っ込まざるを得なくなっているようで面白かったです。
登場人物の台詞や所作の間(ま)や、演出は独特の雰囲気で非常に好感が持てました。
一方でノスタルジーという要素に少し頼りすぎている感じがしました。
現在のシーンではそれぞれの登場人物が世之介に対するノスタルジーを、過去のシーンでは観客に向けてのそれを表していましたが、前者はストーリー上の事ですし悪くもないと思いましたが、後者のそれはあざとく映りました。
ステレオタイプに80年代を表現した映像は、それらの要素を詰め込みすぎて説明的になり過ぎていましたし、広い画で記号的に配置された演技の出来ないアルバイトであろうエキストラがそれらに絡むと、作品からの集中力を欠いてしまう程でした。
製作者側のこだわりだとは思いますが、本来、話の背景でしかない筈のそれらに焦点を当てすぎると、見ている側は映画ではなく単なる製作者の自己主張を見せられている様で一気にしらけてしまいます。
そんなシーンが複数あったのは残念でしたし、それが1度目に見た時の評価が低くなった要因です。
ある程度年齢を重ねた人に対しては、ノスタルジーは感傷的にさせる道具としては極めて有効だと思いますが、安直に使いすぎると逆効果だと思います。
話が良いだけに勿体無く感じました。