1.《ネタバレ》 原作とアニメは見ていない。主演女優が好きで見たわけではないが、今回は優希美青さんが出ているから見たという面はある。
このシリーズは毎回そうだがどうも前半部分が見づらい。冒頭部分では流れるコメントとか志賀廣太郎氏が目障りだが、続いて今回もまた部活の勧誘風景があってイケメン探しの新入生とかが学園ラブコメの雰囲気を出している。恋する少女の企みが大変な結果につながったなどという少女マンガ的展開を好んで見ているわけではない(朝からわざわざ映画館まで行って)と言いたくなるが、それでもこれをクリアしなければ感動の後半部分を見られないので我慢するしかない。
前半部分のごたごたのせいで肝心の試合も危うい展開で、「ちは」を全員が取られるといった思いがけない場面もあるが、それでも最後は勝つという都合のよさも毎度のことに思われる。しかし、やはり試合場面での緊張感と躍動感、登場人物の言葉や行動には心を動かされるものがあり、最後は爆発的な喜びの感情がもたらされるという点が、このシリーズ最大の価値になっているように思われる。
ところで今回も終了直前までまた続編があるのではという気がしていたが、ラストでは一応の決着がついていたので安心した。よくわからないことが多いままで終わった印象だったが、原作自体がまだ連載中とのことで、これが妥当な締め方なのだろうとは思う。要は主人公が競技かるた部を創設する時点で言っていたことが実現するということで、観客としても納得できる未来が見えた感じだった。
結果的には映画三部作で見る限り、登場人物の恋愛感情(三角関係)が本筋というよりも、何かに一生懸命取り組むことが人生でどういう意味を持つのか、それを前提としていまこの時点で何をしなければならないのかを問う、非常にまともな青春物語になっている。かつ「上」「下」ではふらふらしているだけに見えた主人公の物語としてもちゃんと完結していたようである。
ちなみに大江奏さん(かなちゃん)は今回あまり目立った活躍がなく、最後はリタイアしてしまったのは残念だったが、恋するあまり大変なことをしでかした少女への対応など見ていると、この人の優しさと心の広さが表現されていたようで嬉しい。原作では巨乳という設定だったとのことだが、そうでなくても全然構わないので、この人にはずっとこの人でいてもらいたい。