《改行表示》16.《ネタバレ》 映画館での4Kリマスター上映。1974年(50年前!)の作品ですが、映像の精度も高く、効果音や音楽のバランスも古さを感じさせない。とくに、ラストのチャイナタウンのシーン。暗い闇のなかに浮かび上がるチャイナタウンの灯のコントラストが素晴らしく、去って行く車と銃声、そして響くクラクションと悲鳴へのシークエンス。ここは4K版を劇場で見てよかったと思わせるクオリティでした。 映画の内容は見事。ジャック・ニコルソン演じる探偵とともに、勃興期ロサンゼルスの水道利権、権力と欲、暗躍するギャング、緻密に罠が張り巡らされた物語を追体験していく。飄々としながらも失意に終わった過去(これが表題の「チャイナタウン」として繰り返し語られる)と向き合う主人公、立場が二転三転するヒロインのフェイ・ダナウェイ、怪演と呼ぶにふさわしいジョン・ヒューストンなど、印象的な登場人物たちの謎めいたやりとりを楽しんでいるうちに、徐々に事件の核心へ。 初見時は、いつ『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』的な中国マフィアが出てくるのかとドキドキしながら見ていたものでした。でも、結局事件には「中国人」が絡むことがないまま、単にラストシーンの舞台になるだけ。ただ、作品内では探偵ジェイクの苦い過去として言及され(ただし、具体的に何があったのかを語らないのが、この脚本の優れたところ)、ままならない、容赦のない現実のメタファーとして機能している。だから、主人公がいろいろ奮闘したのに結局は最悪の結末が訪れるラストが「チャイナタウン」の遠景で終わるのは、なんというか現実の残酷さをしみじみと感じます。 「怠けものの町」というのは、誰も自分のやるべきことを果たさない場所、ということでしょう。ロサンゼルスは、辺境の砂漠で都市計画もろくにないまま、鉄道・水道・道路などのインフラを押さえた権力者たちの手によって作られた都市。その権力のもとでは、警察も議会も結局はなすがまま。その構造を知らしめるラストシーンであり、不気味な権力の構造を示す言葉が「チャイナタウン」なのでしょう。もちろん、今だったらそんな特定の民族を対象にした比喩なんて難しいでしょう。その暴力性がもたらす危うさに複雑な感情は持ちつつも、見事なストーリーテリングにすっかり魅了されてしまったのでした。 【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 8点(2024-11-26 21:50:54) |
15.ハードボイルドと称する小説や映画、世間的に名作と言われる作品でもことごとく合わず、苦手なジャンルでしたがこの作品は面白かった。何よりまず、レビュワーの皆さんもご指摘されている通りロバート・タウンの脚本が優れているからだと思います。本筋からなぜか途中サイドストーリーへ、どんどん脇道に逸れるのがこのジャンルの常套だけど、この映画は逸れながらも最後まで興味を削がれることがない。謎の仕掛け方が巧いんですよね、きっと。美しい盛りのダナウェイ、演り過ぎ感のない時期のニコルソン、ここでは怪優の面目躍如たるところを見せる長身馬面ヒューストン監督の三つ巴競演。乾ききった当時の退廃的な雰囲気を漂わす撮影の妙味もあり忘れがたい印象を残す、映画として第一級の出来。『マルタの鷹』『三つ数えろ』ですら受け付けなかった、自分のようなハードボイルドアレルギーの方も是非! 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 8点(2022-08-13 08:48:00) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 悪役の印象があるジャックニコルソンが巨悪を暴いていくのが面白い。 悪役のジョン・ヒューストン、ロマン・ポランスキーも印象的。 老人ホームの入居者の名前を使っての土地転がし、水道利権に絡む不正、近親相姦、、、、 さらなる巨万の富、欲望を追い求める影の権力者。 数々の悪事を暴いていきながら最後に依頼主は死んでしまい、娘も連れ去られてしまう。 なんとも言えない虚無感・・。流れる音楽も素晴らしい。 「怠け者の街だ」 「忘れチャイナよ、ここはチャイナタウンだ」 【ume0214】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-03-13 20:21:00) |
《改行表示》13.アクの強い悪役のジャック・ニコルソンを見慣れてきたせいか、アクは強いが悪を暴こうとする本作の役どころは新鮮に映りました。こうして見ると、けっこうイケメンです。 少しずつ不気味な核心に迫っていく期待感・緊張感と、それを煽る音楽が秀逸。現実の社会問題と愛憎劇が絡み合って、なんとも不条理な世界観でした。そして衝撃のラスト、徒労感と理不尽さを感じずにはいられません。 聞くところによると、ニコルソンの鼻を斬りつけたチンピラ役を演じたのは、監督本人とのこと。やたらリアルな死体の描写といい、あまりに虚しいラストといい、この巨匠監督の精神構造にはたいへん興味深いものがあります。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-09-10 02:35:52) |
12.《ネタバレ》 かのJ・ニコルソンが主演ということで観たが、観終えてみれば紛うことなきロマン・ポランスキーの映画だ、という感想に落ち着く。金と色と権力が蔓延る街、ロマン・ポランスキーの情念と怪奇趣味、J・ニコルソンとF・ダナウェイのむせ返るような"大人の色気"。およそ結びつかない要素が、あまりにも美しく"調和"したように思う。娘であり妹。一言聞いただけではピンとこないが、その意味に気づけばそれはあまりにも悲しく、それは不思議な、じっとりとした切ない余韻を残す。悲しくも美しきフィルム・ノワール、それは子どもたちは見てはならない世界、それは大人たちには極上の世界。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-03-06 22:53:24) |
11.《ネタバレ》 警察が金で買い取られている世界の息苦しさは、まさにフィルムノワールである。メランコリーが非常にいい、ニコルソンが善悪を超えそうで踏みとどまっている感じがいい。物語がいまひとつつまらない分2点減点。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-10-07 11:33:04) |
10.《ネタバレ》 う”…痛そうだ、いやーたまんない、こんなとこ切られたくない(ホントは切ってないと思うけど)…こんなシーン初めてみた…(溜息)。バート・ヤング出てましたね、あらら最初だけか?とか思ってたら最後にしっかり又出てきてました。この人はいつもこういうキャラな気がするけど(苦笑)。巨大な水利権にからむ陰謀を暴くかと思いきや、意外にそこらへんにはあまり興味は無く、ただ事の真実を知りたい、かつ強欲ジジィからイブリン(フェイ・ダナウェイ)を守りたい一心で動く…しかしそこで驚愕の事実が判明。。。なかなかホントよくできた展開だわ、賞とるだけのことはある(感心)。最後はチャイナタウンでのこれ以上ないバッドエンディングときたら、いやーポランスキー監督の悪趣味さが存分に発揮されてますね。独特の退廃的な雰囲気とジャック・ニコルソンのかっこよさにしびれた次第でゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-27 08:18:13) |
9.《ネタバレ》 脚本のしっかり絡めたすばらしさ、ニコルソンに限らず俳優のセクシーで、ダンディーな演技で楽しめたのに、ラストシーンで完全にやられました。ああ、チャイナタウンだったんですね。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-03-02 20:06:34) |
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8.ジャック・ニコルソンのダンディズム,セクシーさにやられてしまった良作。後半に判明する,ある家族関係に何とも言えない不快感を感じさせられますが,それもあの結末には必要な筋書きだったのでしょう。それにしても幅がある俳優というのは本当に素晴らしいものですね。キレてる変人キャラしかしらなかったので,前から好きではいても,まさかジャック・ニコルソンにときめいてしまう日がくるとは思わなんだ・・・。 【さそりタイガー】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-02-23 22:54:58) |
《改行表示》7.《ネタバレ》 チャイナタウンでまたもやギテス(ジャック・ニコルソン)につらい記憶が増えるわけです。名優たちに彩られた緻密に計算された本作、みんながセクシーでしたね。見応えがありました。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-07-26 11:02:02) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 以前観た時は、まだ社会の構造をよく知らない頃で、正直よく分からなかった。でも映画の脚本術の本を読んでたら、この映画がアメリカ映画の脚本の古典の一つと書かれてあったので、集中して再見した。なるほど、このニコルソン扮する役柄が常に他人によく見られようとふるまい、自分が馬鹿に見られることを恐れている性格だと分かって観ると、こんなに粋なハードボイルドな映画も珍しいと思った。他人に何と言われようと逆境を乗り越えていく映画が好きな自分にも、これは洒落てると感じられた。また背景の社会問題は、LAに住む人間にはピンとくるのかもしれないが、異国の自分には細かいところに伏線が張り巡らされていることが一度目の鑑賞時には見落としていた。二度目の時は、こういう社会派ハードボイルドもありだよなぁと思えるようになった。アクションに頼らなくとも、主人公の性格がちょっと狡賢くとも、面白い映画は創れるのだ。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2011-05-23 20:51:45) |
5.完全にニコルソンの虜になり、ポランスキーに興味を抱くきっかけとなった思い出の作品です。30年ぶりの鑑賞となりました。ゲティスは、はしたないジョークをとばし、のされてヨレヨレの姿を晒す完全無欠でない人物ですが鼻に絆創膏を貼り付けようともビシッと決めたいでたちに、当時わけもなく色気を感じました。その色気は仕事で笑われたくないという信念からくる打たれ強さであり、悲しい思いに押し潰される事なく背負って生きていこうとする芯の強さからくるものなのだと今は思えます。人間外見ではなく中身であるとは小さい時から聞いてきましたが、外見が中身を造り中身を語る事を気づかされました。そして、とてつもない辛苦を背負いながらこのような作品を作り上げたポランスキーがゲティスとだぶって見えました。死体の描写と依頼人の父親の欲望の生々しさにポランスキーの怨念のようなものを見た気がしました。 |
4.美学が随所に感じられる映画。まずタイトル。シンプルでいて、この映画の大きなテーマを含んでいる。ギデスの視点を中心としたストーリー運びは、ごちゃごちゃしがちな関係を、観客に順序立てさせるのに最適。ラストが、ありがちなハッピーエンドではない所に、余韻が残る。そして上手いなと思ったのが色使い。乾いた空気感の中に、時折鮮烈な色。ギデスの血、イブリンの朱の口紅、鼻の横の真っ白な絆創膏。無駄なシーンが皆無で、世界観の構築がしっかり成された、洒脱な秀作だと思う。また、くせ者をやらせたら天下一品のジャック・ニコルソンが、フェロモン漂うセクシー男優でもあるのだという事を発見してしまった一本でもある。 【ともとも】さん 8点(2004-01-13 13:05:07) (良:1票) |
【よたろう】さん 8点(2003-07-13 16:39:14) |
2.ロマン・ポランスキーの全体に重く暗い演出が光る。謎を含めたまま最後までそして終わってからも始めから頭の中にある謎を振り切ることはできない。ミステリーとして1流の映画です。 【恥部@研】さん 8点(2003-01-10 17:21:23) |
1.おもしろかったんだけどお馬鹿な私には話を理解するのに時間がかかってしまった・・・。でもおもしろかったな。もう一回見たい! 【あいこぽん】さん 8点(2002-11-16 21:16:07) |