111.この映画が公開された当初、本が出版されて「ガンピズム」なる言葉が流行ったことがある。それがどういう意味だったかは知らないけれど、私にとっての「ガンピズム」、フォレスト・ガンプ主義の意味とは、ひとつのテーマしか考えられない。奇しくもこれと同じ時期に公開され、この映画の影に隠れてアカデミー受賞を逃した映画「ショーシャンクの空に」とこの「フォレスト・ガンプ」。この二つの映画に同じ強烈なテーマを強く通じるものを感じるのは私だけだろうか。……そのテーマとは「人間の本当の強さ」である。私にとっての「ガンピズム」とは、「強さ」の理想的なあり方に他ならないのだ。……人生に背を向けず、全てを受け入れて宿命に愚痴をこぼさずヒステリックに嘆くこともなく、自分の信念に忠実に強い意志を持続し、出会う人々から目の前の困難まで、全ての人生の出来事を「一期一会」として熱意を持って淡々と行動を重ね、ひとつ、またひとつ、人生を歩んで行く。なすがままに、あるがままに、ビートルズの「Let it be」という歌の歌詞も、このふたつの映画に描かれている「人間の本当の強さ」というものを表現しているように思えてならない。……何回観てもジェイミーだけは単に身勝手な女としか思えないのだけれど、それすらも一途に受け入れて人生を歩むガンプ。彼にとっては、幸福も不幸も、出会いも別れも、楽も苦難も、人生に起こるあらゆる物事が、大切に向かい合うべき「一期一会=人生で一度限りの大切な出会い」であり、それ以上でもそれ以下でもない。全ての人生を終える時、彼は胸を張って言えることだろう、「僕の人生は幸せだった」と。……ショーシャンク刑務所にブチ込まれ不幸の中を歩むアンディ、全ての人に愛され幸せの中を歩むガンプ。自分もこんなに強く生きることができたらいいのに!、この映画を観たり語ったりする時、いつもそう思わずには居られないのだ。 【six-coin】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-06 03:41:42) (良:2票) |
110.画面を舞う白い鳥の羽とかわいい音楽のオープニングでもうわかってしまいました。これは「おとぎ話」。こんな出だしのホラーやスペクタルは絶対にないのです。この映画を「おとぎ話」として見てくださいよ、という製作者の合図みたいなもんです。そしてアメリカでは「おとぎ話」はサクセス・ストーリーと相場が決まっています。主人公が母子家庭に生まれてIQが特殊学級すれすれの75というのも、「こいつは何かの才能(たとえば数学や音楽の)や環境に恵まれてラッキーだった。」なんて言わせないようにするため、主人公がひたすら走ったり卓球の球を追ったりする才能(?)に恵まれたのは知能が低くて要領が悪いせいだし、誰かが大金をくれたり、嵐の時に自分の船だけが助かったりするのは・・・あまり目くじら立てないでおきましょう。「フィラデルフィア」や「アポロ13号」で知的な役を演じたトム・ハンクスがIQ75の主人公を演じている様は「レインマン」で自閉症の男を演じたダスティン・ホフマンを彷彿とさせます。主人公のセリフに耳をよくすませると私たちが中学校で習うレベルの英文法の間違いがたくさんあります。ご苦労さまでした。 【かわまり】さん 8点(2004-01-29 12:09:11) (良:2票) |
109.この作品はアメリカ人にとってはたまらない面白さがあるんだろうなあと思う。私としてはフォレストと近代アメリカの歴史との関わり方が面白かったです。その発想がいいんですよね。エルヴィスとのエピソード、ウォーターゲート事件が気に入ってます。歴史に残る大スター、事件に実は名もない知的障害者の打算のない自然な行為、行動が深く関わっているなんてドラマチックじゃないですか。スマイリーはちと無理があったかな?トム・ハンクスはハマり役でしょう。でもね、ロビン・ライト・ペン演じるジェニーはちょっとねえ、放浪癖があるのかしら?言い方は悪いけど、知恵遅れのフォレストをなんとなくうまく利用してるような感じを受けました。都合のいい時だけ戻ってきては去っていく。最後は突然呼び寄せて「あなたの子よ」って、いくらあのウィルスに感染したからってちょっとあんた、それはないでしょって感じ。フォレストの純粋さがうれしくもあり、不憫でもありました。自分の子と知らされ「頭はいいの?」と聞いた時はたまらなかったわ。登場人物はそれぞれ重いものをしょって生きているけれど、さらっとテンポよくコメディタッチで描いたところがよいですね。 でも「一期一会」ってサブタイトルはいらないよね。 【envy】さん 8点(2004-01-02 22:23:03) (良:2票) |
108.《ネタバレ》 “Forrest Gump”人名。なんだけど『間抜けのフォレスト』って意味になるんだとさ。フォレストの半生を描いた映画。 知能と足腰にハンディキャップを持ちながらも、母親に愛情を注がれ、アメフトのスターになり、戦争の英雄になり、ピンポン外交のエースからエビ漁船の船長から社長と、順風満帆な社会生活を送るフォレスト。 父親に虐待され、女子大を中退してストリップ劇場で働き、ヒッピーになり、体を壊していくジェニー。フォレストもジェニーは正反対の生き方をしているけど、アメリカの光の部分を生きるフォレストと、闇の部分を生きるジェニー。二人併せて近代アメリカ史という描き方なんだろう。 フォレストのために学長とも寝る母と、自分の欲望を幼い娘にぶつける父。フォレストの父親はどんな人物か語られず(休暇中と言っていたが)、ジェニーの母も亡くなったとされている。どちらも片親なのも、フォレストとジェニーは2人揃って表裏一体ってことなんだろう。 『一期一会』という邦題サブタイは、ありきたりだけどなかなか秀逸で、フォレストとジェニーの二人の出会いが、たまたまスクールバスで隣りに座ったこと。親友ババともバスで隣に。ダン中尉とは軍病院の病室で隣に。たまたま隣りに座った人との縁がフォレストの人生を変えていく。自分の人生を、たまたまバス停で隣りに座った人に語りかけるフォレスト。映画を観る人はフォレストの隣で、自分の歩んできた人生とフォレストの人生を重ねて観る事になる。 '81年のバス停から、幼少期の'50年代を思い出すことから始まる。当時の映像にフォレストがちょこちょこ入り込んでいるのも、CG技術があったからこそ出来た映像。プレスリー、ベトナム戦争、ケネディ、ジョンソン、ウォーターゲート、ジョン・レノン。この映画はフォレストの個人的な成長を描きながら、同年代のアメリカ人なら誰もが知っている人物、出来事。 そんな近代史を絡ませることで、「そういえばあの頃、俺は…」と、観るものに強い共感を感じさせたんじゃないかな。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 8点(2023-03-05 00:48:08) (良:1票) |
107.フォレストはアメリカの理想であり憧れだ。 純粋で無欲で、努力を努力と認識せず、知らぬ間に富と名声を手に入れる。 ただ、一緒になりたいジェニーだけを除いて── 彼が駆け抜けた戦後アメリカ現代史をマジックリアリズムで織り込んだ本作。 どこが良いのかと聞かれると返答に困る。 でも、スッと入ってくるくらい印象に残るエピソードばかりで、 同じくマジックリアリズムの手法を用いた『アンダーグラウンド』に近い気持ち良さがあると思う。 自分がしたきたことは自分に返ってくる。 フォレストは誰かの幸せを願い、ジェニーは社会に反抗する勝手気ままの人生を送った。 もちろん、中身が分からないチョコレートの箱と同じで、必ずしも良い方向に働くとも限らない。 混迷化する現在、フィクション以上に現実は物事を二極化しすぎている。 「これが良いから」と扇動して、「これはダメだ」と断罪するくらいに。 ただ、「身近な誰かを一人でも幸せにしたのか」と本作は幸福論の真理を突いていて、 歳を経ることに分かるようになった。 【Cinecdocke】さん [地上波(吹替)] 8点(2022-09-11 10:47:14) (良:1票) |
106.マウイ島に行ったら、「ババ・ガンプの店」があった。店内には、お母さんやジェニーやダン中尉の写真が飾ってあった。シュリンプ天国という海老料理を注文した(美味しかった)。お店の外にはバス停のベンチが再現されており(チョコレートの箱とスニーカーまである)、そこで記念撮影。久し振りにこの映画を観たくなった。 【フライボーイ】さん [DVD(吹替)] 8点(2008-02-08 22:43:52) (良:1票) |
105.一種のおとぎ話といえばそれまでなんだが、なかなか製作者はこだわりまくっている。アメリカの現代史を通じて描かれるのは、第1に、正直者がばかを見てはいけないという良心的な訴えのようだ。自己顕示欲や富と名声へのこだわりだけでは、決して成功はしない。無欲と相手へのいたわりが大事であり、それが成功の秘訣にもなる。しかし、だからといって本人が幸せかというと、そこはどうかなと疑問も示している。第2に、人生とは筋書きのないドラマのようなものというもの。自分の意思とは関係なく色んなものに影響や制約を受けるし、それを予想はできない。人との出会いと別れも同じだ。結局、人間とは偶然と社会に翻弄されるものだと、風にまう羽が示している。誰にでも思い当たる節はあるはずだ。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-07 23:32:12) (良:1票) |
104.《ネタバレ》 何だろう?人生に行き詰まったり、失恋したりすると見たくなる映画なんです。作品の善し悪しとは別にその時その時の悩みに対応するような場面や台詞があって心にしみる映画ですね。最近、仕事、プライベート共にうまくいかなくてまた見てしまいました。そこで気づいたのは、物語のヒロインのジェニーのように辛い現実と渦巻く欲望に生きる我々はガンプのような存在を欲しているのかもしれませんね。 「また、精一杯あがいて、突っぱって生きてみるよ、そして何年後かに行き詰まったらジェニーのように帰ってくるよ。」 【SWORD】さん 8点(2004-08-11 16:00:07) (良:1票) |
103.《ネタバレ》 とってもよかった。フォレストのまっすぐな瞳、まっすぐな姿勢にすごく感動。ちょっと頭は悪いけど、言われた事はきちんとする、他の事は考えない、純粋な気持ちが彼を成功に導いたんだと思う。もちろん「んなわけねーだろっ!」ってとこはいっぱいあるけど、映画だからね。とにかく、ひたむきで一生懸命だから、戦場でも「助けてくれ~」って言われれば「自分も死ぬかも」なんて事は一切考えずに何人だって助ける。タダだったらドクター・ペッパーを15本も飲む。←ちょっと違う・・・「球だけをじっと見るんだぞ!」と言われれば、球に集中して卓球もプロの腕前に。友達と約束したらえびを獲る!何回やってもうまく行かなくても、とりあえず獲る!「儲けなきゃ」なんて気持ちはない。そんなまっすぐな姿がほほえましかった。ダン中尉もすごくよかった。フォレストもすぐに「船に乗るの?足がないのに?」なんて聞く。そんな二人は誰よりもわかりあえた友達なんだよねー。二人のシーンはすごくよかった。・・・あの彼女は勝手すぎて、ちょっと嫌だったな~。どなたかが書いていらしたように、時代に翻弄される人々の象徴ですよね。彼女。 ★とりあえずUSJに行ったら「ババ&ガンプ」のお店でえびを食べようと思う★ 【むぎむぎ♪】さん 8点(2004-02-20 22:49:34) (良:1票) |
102.《ネタバレ》 ダン中尉!!ダン中尉!!ダン中尉スッゴイ好きです!ダン中尉を慕ってるガンプの気持ち、スッゴイわかります!!ガンプをバカにした売女を怒るシーン、スッゴイ好きです!でも、このシーンちょっとせつなくもなります。。。 【グングニル】さん 8点(2004-01-11 21:26:25) (良:1票) |
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101.「人生はチョコレートの箱」。このセリフの意味を全く理解していない人が多い。コメントに、ストーリーがつまらない、荒唐無稽、アメリカの冗談映画にすぎない等の的はずれな見解が目立つ。この映画はアメリカンドリームなどなんの関係もない。ましてや感動して泣くようなものでもない。ただたんに、人生は開けてみるまでわからないチョコレートの箱のようなものだと伝えているのである。ふつう人は行動するまえに慎重に考える、二度も三度も。しかしまずはジャンプすることだ、何を迷うことがある?、人生は(神様の)贈り物なのに。迷うことだけが不幸なのである。大事なのは結果ではない、一瞬一瞬にすべてをかけて生きるかどうか、フォレスト・ガンプはそのことだけをつたえている。 【中村浩二】さん 8点(2003-07-18 22:16:53) (良:1票) |
100. 久しぶりに見た。 いいこともあれば、悪いこともあって、今がある。 自分に置き換えて考えると……、プラスマイナスでプラスになった感じはしないのが寂しい。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-04 22:39:35) |
99.勇気が湧いてくる。そんな映画だった。人それぞれ与えられた物は違うけれど、それぞれ自分なりの幸福を探し求めていいんだ。そんなメッセージがあるように感じ勇気がもてた。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-04 19:20:23) |
98.『配られたカードで勝負するしかないのさ。それがどういう意味であれ』【スヌーピー】 『もってうまれた性分で精一杯に生きるほか、人間、仕方がないのではないでしょうか』【燃えよ剣・沖田総司】 『現実が正解だ』【立川談志】 『女の一生は長い病気である』【ヒポクラテス】 【michell】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-31 22:09:44) |
97.《ネタバレ》 当時見た時は、いまいちピンと来なかったという印象だったのですが、久々に見てこの作品の持つ意味みたいな物が分かった気がしました。最近のコマーシャルなどで流行りのアレでしょう。化粧品や清涼飲料、会社までをも擬人化する手法の。フォレストは、アメリカ国そのものの擬人化で、ジェニーは、自由(の女神)の象徴でしょうか。フォレストのお母さんは、「運命」であり、原始的な全ての起源のような普遍的なものの象徴で、ダン中尉は戦場でも電話でしゃべり続けてるから「文明」的な物の象徴かあるいは「ベトナム戦争」そのものか。アメリカという国の反省とこれからの歩みに期待するというアメリカPR映画、というと聞こえは悪いが、この大国の運命が世界に地球上に、大きな影響を及ぼす事は間違いない。と思わざるを得ないのです。感動というよりは、なかなか深い作品かも、です。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-04-09 11:47:35) |
96.笑いあり、じ〜んと胸に響くシーンありと良作。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-12-06 22:26:08) |
95.なんでしょうね、これも『嫌われ松子~』同様になぜだか何度も観てしまう映画。きっと好きなんでしょうね、私。という事で『松子』と同じ点で。 【movie海馬】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-09-27 14:49:30) |
94.《ネタバレ》 大空から舞い降りた1枚の羽毛で始まり、その1枚の羽毛が大空へ飛び立って終わる。実に印象的なオープニングとエンディングで、洒落ている。だが米国の歴史や文化それに考え方など知らないと良さがわかりにくいかもしれない。ケネディからニクソンまでの大統領やプレスリー、ビートルズらも映像として出てくるし、ジェニーが歌っている姿はジョーン・バエズそのものだ。そして何より知っておかねばならないのは、60年代から70年代にわたるベトナム戦争とその反戦運動だろう。 映画はこれらの歴史的背景とオーバーラップする形で進んでいく。走るのが速かったり、ピンポンが上手だったり・・・。そしてメインをなすのがジェーンとの愛だが、これがくっついたり離れたりするのがいまいちよくわからない。ガンプの息子は一目見て誰だかわかるが、すばらしい子役だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-06-09 22:56:44) |
93.生まれてからの人生を描いたヒューマンの映画。 【akila】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-02-20 10:43:41) |
92.この主人公は単に無垢なアメリカってだけじゃなく、意志を持たない、というか、何者にもなろうとしない、ってところがポイント。アメリカ映画の主人公って、無垢な人物が何かに向かって突き進むのが好きだったのだが、彼の場合はどちらかというと逃げるために走っている。無垢かもしれないが、その名前にはアメリカの原罪が刻印されている。なにかアメリカの変化を感じた作品だった。目的に向かって突っ走らない生き方に憧れを感じ出しているのか(でもその後のアメリカを見ると、変わらなかったんだけどね)。映画としては前半の密度の高さが圧倒的。逃げることによって、アメリカ現代史に立ち会い続けてしまう主人公。プレスリーからウォーターゲイトまで。逃げの走りを、周囲が思想にしてしまう。後ろにぞろぞろ、「あ、とまったぞ、何か言うぞ」って。SFXの使い方も、この頃はだいぶ幅が出てきて内実を得た。そういう意味でも記念碑的な作品。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-06-28 11:58:08) |