48.《ネタバレ》 スーパーヒーロー『レクター博士』の冒険活劇第2弾。
レクター博士とその関係者の方々の頭脳戦がアツイ。
永遠のライバルFBI捜査官『クラリス』。狂気の大富豪『メイスン』。金のためなら手段を選ばないベテラン刑事『パッツィ』。脳膜ぺりぺり『ポール』。
クラリスはともかく、小悪党から本物の悪党まで、悪者がズラリ。
その誰も彼もが、レクター博士のえじきとなってゆく爽快感。
レクター博士は、私にとって、まぎれもないヒーロー。
小さい頃は、『ウルトラマン』、『ドラゴンボール』など、『正義』VS『悪』の図式に感動したものです。
ですが大人になると気付きます。心の奥底の黒い欲望を満たしてくれるのは、『悪』VS『悪』の図式なのだと。
『悪』を、『それ以上の強大な悪』が飲み込んでいく、その衝撃。圧倒的な暴力と狂気。自分以外の『悪』を虫けらのように蹂躙していく興奮。『正義』VS『悪』の図式では感じることができない領域です。
映像的にはラストが注目されがちなこの作品。ですが、私はあえてコーデルがメイスンをあっけなく裏切るシーンに注目したい。原作を読んでいませんから、映画でのみの判断です。
コーデルがメイスンを裏切るシーン。あれは戦慄が走りました。コーデルの本心を一発で見抜き、たった一言で裏切りへと導いてしまったレクター。レクター博士の最も恐ろしい部分を、最も端的に表す貴重な1シーンです。
完璧とも思えるこの作品。残念ながら減点ポイントが2つあります。
まずはメイスンとレクター博士の過去の描き方が不十分。この作品の中で、私達が最も知りたい真相の一つではないでしょうか。
そしてもう一つは、レクター博士、あなたは偶然を味方につけてはいけない。
クラリスが助けに来てくれたことは偶然の産物であり、あなたの功績ではない。その辺のありきたりなヒーローのように、偶然に助けられて偉そうにするレクター博士なんて、見たくはないのですよ。