1.《ネタバレ》 誘拐犯からの電話は、誘導先からの電話ばかりで探知できない。
そして逆探知できる一瞬のチャンスを、警察側のミスで永瀬演じる被害者しか犯人の声を聞けなかった。
ミスを隠ぺいする警察組織と、その声を手がかりに、一人で犯人を見つけ出す永瀬。
その間に隠ぺいして、嘘でこわばっていく組織の中で、自分を見失うまいと頑張る佐藤浩市演じる警察官。
まさに組織の時代の昭和、携帯電話のない昭和にしか生まれえなかった傑作です。
瀬々監督は、事件の裏にある人間への関心が強い。
佐藤浩市演じる人間であり続けた警察官と、分厚い電話帳の中から犯人の声を探し出す永瀬演じる被害者。
この二人の強烈な人間に、エンディングの後、彼らといつまでも一緒にいたいという余韻をもたらしてくれた映画だった。
瀬々監督、これからも人間描いてくださいよ。