8.作品中に生駒市北部の景色が登場するらしい。というのを、作品を見てもいない自分がなぜ知っているのかがよくわからず。最近こういうコト多いんですよね、困ったもんです。たぶん、だいぶ以前にDVD借りて見た家族から聞いたのと(私が見る間もなく返却されてしまった…)、ちょうどその頃に原作者のインタビュー記事を新聞で見かけたのと、その辺が記憶に残ってたらしく。
このアニメ作品、実際見てみると、あまり奈良っぽくない光景も多いし、むしろ架空の地域が舞台に設定されているようですが、それでも、駅の自動改札はいかにも近鉄だし、走っているのはどう見ても近鉄けいはんな線、行先表示もコスモスクエア行。気になって後で調べてみたら、バスターミナルのあるあの駅は、学研北生駒駅なんだそうな。
「あまり奈良っぽくない」のは、意識的にそう描かれている部分もあるのでしょうが、そもそもここは、西から北にかけて生駒山地、南は矢田丘陵があり、奈良盆地とはまた異なる光景が広がっています。神武東征にナガスネヒコが立ち向かった、「古都・奈良」よりもさらに古い神話の舞台でもあって。
しかしいずれにしても、ペンギンだけはこんな場所におらんでしょう。という場所には違いなく、それでもそこにペンギンを登場させ、歩かせる。かなりぶっとんだ発想の作品です。作中でなんやかんや仮説が披露されるけど、実際のところはこんな場所にペンギンがなぜ現れたかなんて、ほぼ不明。ほぼ無意味。って言っちゃダメですね、「謎」です。あくまで「謎」。
作品終盤にむけ、ますまず訳のわからなさは加速し、でもそれを敢えてわからせようとはせずに、ナンセンスの極みのような映像をアニメとして展開し続ける。この野心というか我慢強さというか。頭が下がります。
一体この一連の現象は何なのか。その原因と思しきお姉さんは一体何者なのか。ほぼ謎のままなんですが、いやだって、少年の目から見りゃそもそも、「キレイなお姉さん」ってモノ自体が、謎なんです。永遠の謎。いや少年の目どころか、男性一般にとって、謎なんです。謎なんだから男性は皆、女性をわかった気になっては、いけないんです。
謎なんだから、映画は謎のまま終わる。んだけど、少年は成長するし、成長すれば、出会いもあれば別れもある。思春期の混沌、別れの切なさをそのまんま描けば、例えばこういう作品になるんじゃないか。という気もいたします。少年は成長し、新たな謎に立ち向かう。だけど「おっぱい」を研究するのはやめた方がいいと思う。趣味と仕事は、できれば分けた方が。
最近、アニメの技術が上がるとともに、尋常じゃないほど手の込んだ作品も作られるようになり、そういう作品に比べてしまうとこの作品などは、ちょっと動きが乏しいかな、と思えてしまう部分もあったりするのですが、あくまでそれは比較であって、決して物足りないという程ではありません。CGでうまく補っている部分もあり、また、一つ一つの動作についてはちょっとした反動みたいなものも描きこむ芸の細かさがあったりして、「絵が動く贅沢さ」というものを充分に堪能できます。