243.《ネタバレ》 この映画は恐らく1回見ただけでは余りピンと来ない人もいると思う。
確かに銃撃戦の鮮やかさには一発で魅せられ、3時間近い長さをまったく感じさせない演出には脱帽する。
が、肝心の登場人物たちの描き方は何処か軽薄なようにも感じる。
しかし軽薄が故に「何故彼らは銃を握るのか」という事を考えたくなる。
2度、3度見る事でどんどん深味を増す作品の一つと言えよう。
とにかくアル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロとか最高すぎる組み合わせ。
列車が駅に着き病院に行く男、工場で爆薬を買う男、そしてベットで朝の情事を愉しむ男。この映画の主人公たちが出揃い、物語は銀行襲撃までのシークエンスを積み重ねはじめる。
最初のトラックで警察車両を襲撃するまでのシークエンスが面白いし、その後も警察と強盗団の徐々にスリルを増す駆け引きで手に汗握る。
強盗たちを取り巻くそれぞれの女のドラマも見応えがある。夜景の美しさや、薬莢がカランカランと音を立てて転がる様子も気持ち良い。
アル・パチーノの狂気地味た尋問シーンは怖いっつうの。もう犯罪者に憎しみつのらせまくりというか、家庭環境が上手くいかない奴当た(ry
誰もが子供をめぐって解れ、一方で和解する。
駐車場での狙撃、物々交換、取引が命のやり取りに。
倉庫におけるやり取りも、一瞬鳴る“音”が総てをうち壊す緊張。
夜のハイウェイにおけるジリジリとした追跡、カフェでの会話も印象的だ。
いつも片方の顔だけがハッキリ映り、もう片方は後姿かボヤける奇妙なツーショット。
二人はあくまで敵と味方、水と油であり、二人揃って観客に挨拶を交わす“友人”にはなれない。
およそ10分に渡る銀行強盗から市街地における激しい銃撃戦。薬莢もガンガン排出される。
ロバート・デ・ニーロの仲間たちへの“弔い”。最後まで信頼してくれた者たちへの報恩、裏切った者たちへの報復。
女たちもまた、愛する者のためにあえて裏切りを選ぶ。ただ“立ち上がる”だけで居様な緊張が生まれる演出が凄い。
愛する女だからこそ、それを守るために“諦める”男たちの引き際。ある者は手の動きで察し、ある者は目の前に迫る宿敵によって。路上ですれ違う一瞬が忘れられない。
最後の最後、光と音、そして影のみで構成されるクライマックス。極限まで緊張が高められ、眩いばかりの閃光と共に決着は付く。