85.《ネタバレ》 公開初日に鑑賞。
わたしは「帰ってきた」で小学生になった世代。でも駄菓子屋で初代とゼブンのブロマイドを買い、再放送をテレビにかじりついて(死語)見ていた子供。
庵野×樋口のドリームプロジェクト『シン・ウルトラマン』に関しては、ほぼ満点と評価します。
それはあくまで《テレビ番組としての初代ウルトラマン》を彼らなりの理想形として100%描いていると思うから。
不可思議なミステリーを追うチームがドラマを推進し、その先に怪獣が現れ、人の手に負えない状況を巨大な星人が格闘と光線技で始末する・・・そのシンプルな30分で見る者を満足させる。
SFミステリードラマと短い怪獣プロレスだけ。その黄金パターンのカタルシスを再現して積み重ねる113分。
リニューアルの要素は、ウルトラマン・怪獣・外星人の造形。オリジナルを尊重しつつ設定に準じた質感を与えた。
侵略テーマはセブン要素による補強。人類以外の原住地球人のことにも触れていた。
あまりに子供だましな設定は、ある程度是正して《オトナだまし》程度にアップデート。
とは言えテレビ準拠なので、ドラマ部分は深く掘り下げず、禍特対は狂言回しに徹した(設定されていても観客の想像に任せる)とこともウルトラマンのまま。2時間をワンテーマで描く『シン・ゴジラ』と同じフォーマットは使わなかった。出来たとしても、それでは原点回帰にならない。
『シン・ゴジラ』を基準に観てしまう人は、中途半端と感じるかも知れません。
それと長澤まさみのお尻パンパンは、和装の女性が気合を入れる仕草ですよね。
古いCMで、大原麗子がやってたと思います。あれをエロじゃない?と思うのはアンテナがエロに敏感過ぎる人じゃないかと。ただ、どアップで撮るより、引きの方が良いと思う。可愛く見せなきゃね。
風呂に入ってなくて臭い・・・の一連は、庵野さんがジブリの仕事で風呂にも入らず没頭して臭かったというエピソードの置き換え。庵野さんにしてみれば《仕事の出来る職人》の特徴。長澤演じる浅見をそういう生真面目なキャラとして表現しているのでしょう。
ハラスメントは許されませんが、何でもハラスメントだと安易に解釈して批判・封殺しようとする風潮に抵抗してるかも知れない。特撮芸術を衰退させかねない極端なホワイト化への異議申し立てかも。
ルーカスも禁欲的なジェダイが「人のあるべき道」とは、全然いってないですしねぇ。
『シン・ウルトラマン』に違うものを求めていた人、残念でしたね。
庵野、樋口コンビの特撮記憶細胞がベストだとして作ったこの作品。
私の特撮記憶細胞も両氏に酷似していたのでしょう、至福の113分を過ごさせて頂きました。