77.《ネタバレ》 時代劇なのに現代(昭和30年代)の品川の街並みとナレーション(加藤武)をバックにタイトルロールというのが驚き。ストーリーはコメディーとしてはちょっと重い部分もあるんだけど、フランキー堺演じる佐平次のキャラクターがすごく好き。女と心中しようと川に飛び込んだ金ちゃん(小沢昭一)が後になって棺桶から生きて出てくるシーンに大爆笑した。ラストの墓場のシーンでのフランキーと市村俊幸のやりとりにも思いっきり笑わせてもらった。全体としては傑作なんだけど、やはりいちばん最後のシーンが川島監督の構想どおりのしめ方でないのと、おそらく時代劇初出演だったであろう裕次郎に違和感を感じたのがちょっと残念。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2024-09-07 17:29:54) |
76.《ネタバレ》 ほぼ全てのシーンが一遊郭の中で閉じるような舞台で数多くのイベントがテンポが良く回転。早回しのような速度ながら全ての役者が活き活きと活動。練られた脚本に感心する。とてもじゃないが真似出来そうにない世渡り上手で超明るい中に死の影を漂わせる渋さ。かなり完成度の高い作品である。 【ほとはら】さん [DVD(邦画)] 7点(2024-09-07 16:32:15) (良:1票) |
《改行表示》75.《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。これが2度目の鑑賞です。前回は画質や音質が悪くてよく分からなかったけど、今回はデジタルリマスター版とあって内容は理解できました。 たしかにとても良く出来た映画で、これなら国際的な評価にも値するだろうと思ったけど、残念ながら、のめり込むほどの魅力は感じられなかった…。あまりにも緻密に作り込まれた結果、かえって明快さに欠ける気もするし、結末のカタルシスにも乏しく、墓場から去っていくラストシーンもちょっと寂しいですね。スタジオセットから飛び出して現代を走り抜けるラストなら、だいぶ印象は違ったかもしれません。 【まいか】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-09-27 02:55:44) |
《改行表示》74.《ネタバレ》 日本映画の傑作! 女郎部屋の無銭享楽者が、そのお金を働いて稼ぐのだが、 ちゃっかりしてて、そのヤリ手ぶりで売れっ子女郎たちからもモテモテ、 その才覚で次から次へとトラブルを解決し、またどっかに行っちゃう話。 フランキー堺が見事にはまり役で、 時は幕末、異人が国内に乗り込んでくるのに一矢報いようと動く侍たちのリーダー(高杉晋作!?)に石原裕次郎。 俳優も見事なら、細かな小道具もこれまた他にない凝った造り。 監督は、女郎を活き活き描く、「女は二度生まれる」の川島雄三。 贅沢な一品。 【トント】さん [DVD(邦画)] 10点(2021-08-01 21:40:55) |
《改行表示》73.満を持して、川島雄三監督の代表作にして、日本映画を代表する傑作『幕末太陽傳』を鑑賞することができた。 川島監督の作品はいくつか観てきたが、やはり本作のパワーとスピード感は別格だった。 日本映画史に名を残し、「日本映画ベスト10」といった企画等で常連である本作。 その実力を目の当たりにすることができた。 川島監督にハマりつつあるが、それと同時にフランキー堺にもハマりつつある。 フランキー堺の丸っこい体に似つかわしくない、その軽やかな動きに脱帽。 あの動きは確かに“芸術”の域にまで達している。 そして、とぼけた表情に、スピーディな軽い語り口。 外見的には決して二枚目ではないのに、劇中の女性に惚れられる役回りが多いが、確かにそれを納得させる人間的魅力を感じる。 ちなみに本作には、石原裕次郎も出演している。 主演はあくまでフランキー堺だが、石原裕次郎もさすがの存在感。 その他のキャストも実に豪華。 南田洋子、金子信雄、山岡久乃、岡田真澄、菅井きん、西村晃、二谷英明、小林旭・・・などなど。 特に岡田真澄のインパクトが大。 「若い頃は痩せていて、晩年とは全く違う感じだった」と誰かに聞かされた記憶があるが、確かにその通りであった。 本作は、幕末の品川遊郭を舞台にしているので、沢山の女性が登場する。 その中でも中心的役割を演じた女性が南田洋子。 ご存知、長門裕之の奥さん。 これがとても美しくてビックリ! 南田陽子って、こんなに綺麗だったんだぁ・・・と感心してしまった。 これなら長門裕之も惚れるハズ。 フランキー堺の魅力あふれる演技と、豪華な脇役陣、美しい女性たち、そして「古典落語」を題材にした数々の面白いエピソードなど、見所を挙げればキリがない。 劇中の騒々しさとラストの静けさとの対比や、味わいのあるラストシーンも素晴らしく、“日本映画を代表する1本”という肩書きに偽りはなかった。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 9点(2021-05-28 00:10:32) |
《改行表示》72.《ネタバレ》 古典落語の「居残り佐平次」をベースに、幕末の品川遊郭に通う男達と女郎らが繰り出す様々なエピソードを描く群像劇です。 フランキー堺が演じる主人公の佐平次は、胸の病に良いからと品川遊郭に繰り出し、金が無いのに派手に遊び、あげく物置部屋に叩き込まれ「居残り」(誰かが金を持ってくるまで遊女屋に軟禁される)の身となります。 ところが佐平次は、持ち前の機転と調子の良さで、遊女屋で次々と起こる揉め事を解決し、いつの間にやら主人や女郎から頼られ、ちゃっかりと祝儀まで貰う存在に。こんなしたたかで図々しい男を、フランキー堺が憎たらしさたっぷりに演じており、それがこの映画の見所だと思います。 高杉晋作を演じる石原裕次郎との絡みもありますが、役者としての格や存在感は、フランキー堺が圧倒しています。 他にも、お歯黒べったり、ニンマリとした笑顔が特徴的な女郎を、左幸子がさすがの存在感で演じています。南田洋子が演じる女郎との取っ組み合いの喧嘩のシーンは、臨場感たっぷりで、砂ぼこりの匂いが画面から漂ってくるかのようです。 この映画は、役者達がみな生き生きとそれぞれの役を演じており、昔の映画とは思えない程、熱気が充満しています。そこが傑作と言われる理由なのでしょう。魅力のある映画だと思います。 残念なのは、昔の日本映画に多いのですが、音声が非常に聞き取りづらいところです。何を言っているか分からないので、ストーリーの細部が掴めません。字幕が欲しいところです。 【wayfarer】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-01-19 22:37:54) |
71.初見は傑作と思ったが、時間がたつにつれて、評価が目減りした作品。フランキー堺の魅力は変わらないが、落語をモチーフにした「タイガー&ドラゴン」と比べれば、ギャグセンスなど、古くなっているのは仕方ないか。確か、立川談志は評価していなかったと思う。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2018-12-20 13:35:55) |
《改行表示》70.《ネタバレ》 初めて観ましたが、映像的にはものすごく凝っていて時代的な再現も素晴らしいと思うのだけれど、 感覚的にはすごくポップで新鮮な時代劇だなと感じました。出演者の面々を見てもそうなんだろうなと。 テンポが早くみんな早口で、ぜんぜん飽きさせない。そして全体的に画がカッコイイです。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-10-31 19:46:28) (良:1票) |
69.《ネタバレ》 落語調の演出ばかりに目が行きがちですけど、数編の落語噺をくっつけながらそれを幕末動乱期の事件に見事にシンクロさせたストーリーテリングが絶妙で、歴代邦画の脚本ベストテンを作ったら間違いなくベスト3には選ばれると思います。舞台の品川宿を文字通り歴史の通り道として見せていて、遊郭の前の街道を通り過ぎるのは異人の軍楽隊や幕府の早馬、焼き討ちされた異人館に駆け付ける火消しなどまさしく尊王攘夷に激動する歴史そのものだと言えます。遊郭に上がり込んで攘夷をたくらむ高杉晋作たち長州藩士たちは妙に軽い乗りの若侍という印象で、これはきっと製作当時の学生運動に対するイメージを投影しているんじゃないかな。60年安保は三年先ですけど尊王攘夷は反米闘争のメタファーで、脚本陣に今村昌平が名を連ねているので十分あり得ることだと思います。高杉晋作と佐平治は同じ像の裏表、佐平治は高杉晋作のブライト・ハーフなんですよ。二人とも結核患者ですし、佐平治も晋作と同様に明治という新しい時代を見ることはなかったと思います。 そして凄まじいのはフランキー堺の伝説的な演技で、もう神がかりとしか言いようがない。特に私が好きなのは放り投げるようにして羽織に腕を通す仕草で、カッコよすぎです。驚異的な滑舌でまくしたてる演技をたっぷり見せた後で、一人になった瞬間にふと見せる迫りくる死に怯える表情、こんな演技は彼以外には誰もできません。ラストのシークエンスで佐平治と絡む東北なまりのおっさんが現れるとなぜか佐平治は滑舌も悪くなりおどおどしてしまうのが不思議ですが、これは佐平治にはおっさんが冥途の使者のように感じてしまったからなんでしょうね。そうなんです、佐平治は自分の余生があまり残さないれていないことを自覚していた川島雄三の分身でもあるんですよ。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2018-09-20 23:57:47) |
《改行表示》68. 初めて観たときは時代劇の傑作!と思ったが、二度三度と観るうち、お調子者の主人公に対する反感とともに、映画で落語を観てもしゃあないという気分が強まった。 生き生きとした人物描写で、俳優陣も演出に応え好演。江戸時代の風俗に命を吹き込ませ、小物ひとつにもディテールが行き届き、細部にわたる演出の緻密さが際立つ。遊郭を俯瞰する構図も見事。 異人館の焼き打ち等、幕末の世相を反映しつつ、攘夷を語る長州侍に対する皮肉も込められる。惜しむらくは、落語調の演出が過ぎること。 【風小僧】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-22 11:21:59) |
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《改行表示》67.こりゃあ~参りました。 お見それいたしやした。 つくづく面白いお話しで。 評判どおりの名作、フランキー境さんの名演を観られて嬉しい。 こはるの南田洋子さん、おそめの左幸子さんも素晴らしい。 落語「居残り佐平治」を聞いてみたくなりました。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2018-06-20 09:31:15) |
66.古臭くて慌ただしい時代劇コメディですが、面の皮の分厚い主人公、マルチで超ポジティブなフランキー堺が超楽しい。イケメンではないのに思わず見とれてしまいます。共演者も「時代背景や製作者の意図を考慮してそのまま放映された不適切な表現」を吹き飛ばすくらい活き活きしており、嫌みのない中味もユーモアたっぷりです。「主人公が墓場のセットのスタジオを突き抜けて現代の街並みをどこまでも走り去っていく」とかいう幻のラストシーンの方を見てみたかったのですが・・・ 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2018-04-11 19:21:08) |
《改行表示》65.《ネタバレ》 DVDで何度か鑑賞していたが、NFCの特集でスクリーンで観ることができたが、圧倒的に面白かったなあ。 冒頭からの相模屋の喧騒であり、また、居残った佐平次が「へいへい、何でげしょう」と大活躍する様は、やはり観ていてすっきりする。古典落語の抱腹絶倒のエピソードを早台詞と小気味良いテンポで、多くの人間が駆け回る。 日本でコメディといった類はハリウッドを模したものが多いのだけど、古典落語を映像としてこんなにテンポが良いのだから当時の日本映画としては革新的ではないかな。 殿川=フランキーの技上手をみせた「三枚起請」がお気に入り。 左幸子と南田洋子の二階まで動かすバトルは凄かった。 石原裕次郎扮する高杉晋作とフランキーが対峙する品川沖の場面では、庶民を代弁した名台詞がポンと飛び出す。 ただ、フランキー堺とは別に撮った高杉一派の行動には、(落語のネタでもないことからも)もう少し面白く絡むことを想定していたのだろうか? やや違和感があったのだけど、マイナスではない。 日活のスタア俳優さんは川島色とは少し違う感じはありますね。 【サーファローザ】さん [映画館(邦画)] 10点(2018-01-10 01:37:07) |
64.品川宿で何が起こっているのか、誰かが何をしようとしているのか、最初から最後までさっぱりわかりませんでした。ここまで興味をそそらない作品も珍しい。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 2点(2017-02-08 21:02:37) |
63.《ネタバレ》 面白かったのですがノリ切れませんでした。フランキー堺の演技がいまひとつ肌にあわなかったのと、バカに徹しきれていないシナリオに原因があるようです。オープニングのぶっ飛び具合を見て勝手にこちらがふっきれたスラプスティックを期待してしまったせいかもしれません。ずーっと“左平次の調合している薬は爆薬で、最後にみんな吹っ飛ばしてくれるんだな”と思って見ていました。左平次マジで病気だなんて・・なんかしけた気分になっちゃったなぁ。とはいえ品川の町並みや風俗、ブタみたいで今までいったいどこがいいんだかさっぱりわからなかった裕次郎が、そこそこ格好いいこと(やっぱりブタはブタだとは思いますが)などたくさんの発見があったのは収穫でした。 【皮マン】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-01-11 14:23:18) |
62.フランキー堺の魅力が詰まった傑作。駄作も多い川島雄三の最高傑作にして日本映画史に残るコメディ映画だ。なによりも脚本が優れている。群像劇のお手本にするべき。いくつかの落語から話を持ってきたからか、演出もどこか落語っぽい。名人の演じる落語を聞いている時の脳内映像を映画化したらきっとこんな感じなんだろう。初期の日本映画は落語からの影響が強かったが、もう落語から教わることはないと言わんばかりのクオリティの高さ。幻のラストシーンが実現していたら伝説の一本になったに違いない。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-02-25 14:32:39) (良:2票) |
《改行表示》61.《ネタバレ》 愉快な映画ですね、楽しませて頂きました。皆さんの言うようにフランキー堺の演技は すごいです。でも、あの咳をさせて、よく体が悪いんじゃないと言われているのは どんな意味があったんだろう。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-11-21 19:14:47) |
60.あんまり誰もいわないみたいなので言いますが、この名作のために、落語「居残り佐平次」だけはどうしても予習として押さえほしいんだ。面白さ40%増し。ぜひYoutubeでどうぞ。ワタシは、志ん朝押しです。フランキー堺の神がかり演技。誰にもまねできない。だからリメイクはあり得ないと思いますが、もしやるなら佐平次は山崎弘也(ザキヤマ)で見てみたい。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-09-18 19:48:37) |
《改行表示》59.《ネタバレ》 フランキー堺、左幸子、南田さんと昔の日活の俳優さんには雰囲気がある。 それだけに高杉ら長州藩士の野暮ったさ、迫力のなさが残念。 遊廓宿を舞台にした人情劇として、味わいのある作品。 |
《改行表示》58.○日本軽佻派を自称する川島雄三の傑作。けれども軽佻浮薄なニンゲンにこういう映画は撮れっこない。 監督の演出に10点。フランキー堺の神がかり的演技に10点。遊郭のセットに命を与えたすべての脇役陣(石原裕次郎を含む)に10点。合計30点を献上。 ○居残り佐平次が「相模屋」から逃走するのは、佐平次自身も気づいていないが、目の前に迫っている死を迎える場所を探すためである。 従って、最後の場面はこのほうがいい。幻のラストシーン(昭和32年の品川を走り去る佐平次)など不要である。 ○「地獄も極楽もあるもんけぇ。俺ぁまだまだ生きるんでぇ。」の捨てゼリフは、生老病死を宿命とする全人類に共通する呪文。この呪文だけでも10点。 【火蛾】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-05-11 00:19:19) |