《改行表示》22.《ネタバレ》 司馬遼太郎をして、百敗の民と言わしめたアイルランド人。 何より彼らの独特のユーモアが、アイルランド系の映画人にはあり、 それが映画ファンにとっては、たまらない。 最近のジョンカーニーやケネスブラナーをはじめ、面白い映画が多い。 本作は、納得いかない不条理が描かれるが、 それがギャングの存在や性の乱れとかそういうものではなく、 カトリックをめぐる歴史や、IRAなどの紛争の歴史が背景にあるので、 観ていて、簡単には心にストンと来ない。 それでも、どこかに信じられるものが一本あるのが、救いである。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2023-07-17 12:54:01) |
21.テーマが重すぎて自分には合わないことが明白な作品だった。「父の祈りを」の時にも感じたことだけれど、自分はエンターテインメント性を重視しているので、政治的なセンスがいい人でないと面白くないのかなと思う。中盤まではともかく、最後の最後まで重い展開で、頭が付いていかなかった。期待していただけに残念な気持ちが大きく、正直がっかり。 【mhiro】さん [ビデオ(吹替)] 4点(2012-08-20 22:18:43) |
20.アイルランド紛争について少しはわかりましたが同じ人間同士なのにどうも日本人の私には理解しにくいです。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-04-28 13:38:37) |
19.《ネタバレ》 アイルランド好きにとっては見逃せない一本。ダニエル・デイ=ルイスは相変わらずの精彩を放っているし、政治的背景が濃いのにそれをラブストーリーで見事に中和させて、奥深い人間ドラマに仕立てることに成功していると思う。思うんだけれども、どうしても一つだけ納得いかないというか、ストンと落ちないというか。それは息子リアムの心についての描写。ジムに火をつけるほど母親喪失への恐怖感があるのに、服役中の実父を捨てる母親への嫌悪感はないのか、ということ。どう見ても、ラストはダニーと母親との生活になることを予感させるわけで、違和感ありまくり。夫婦間でいくら関係が破綻していたと言っても、息子にとって父親はたった一人。きちんと夫婦関係を清算もしていない状況で、あんな多感な年頃、しかも男の子にとって、母親の恋愛ってそんな簡単に受け入れられるものなのか? リアムと父親との関係の描写がまったくないので、一概に言えないけれども、これはあまりにも説明不足という気がするのは私だけなのかな~。というか、他に特に破綻がないので、この一点が却って異様に見えるんだよなあ。だって、母親がダニーといなくなると思っただけで火つけちゃう息子だよ? 逃げないのならダニーと一緒でもいい、ってのがよく分かんないのだよ。これって、些末なことなのかな。私的にはかなり重要なファクターだと思うんだけどなー。ダニーの見世物ファイトを見て心動いた? いや、そういうもんじゃないだろう、と思ったり。何度見直してもそこに納得の行く描写がゼロなのが、作品全体の完成度が高いだけに、大いに不満。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-02-08 13:46:36) |
《改行表示》18.《ネタバレ》 この監督と主演は、同じくIRAを題材とした「父の祈りを」をという映画を撮っているけれど、自分はこちらの方が良かった。 「主人公はIRAの元活動家でボクサー、元恋人はIRA幹部を父に持ち、二人は幼なじみで愛し合っていたけれど、主人公が投獄されてから元恋人は結婚し別々の道を歩み、時がたって主人公が出所して・・」という所から話が始まる。 「二人の成り行き」を軸に「アイルランド問題という政治のテーマ」と「ボクシングというストイックなテーマ」がシンクロしていく。 月並みな言い方をすれば恋愛がテーマになると、そちらに比重が傾き軽い映画になってしまうのだけれど、この映画は非常に重みのある内容で、見終わっても余韻が残り、しばらく二人のその後の生き方を考えていた。 それにしても、これだけ世界では宗教や人種の対立があって、テロや戦争が起こっていて、「何故そんなことが」と思うけれど、宗教や人種対立のない日本という国がかえって特別なのでしょうか? この映画を見ていても、同じ宗教を信仰していても宗派が違うだけで、住む場所を区別して対立しあう。そんな全く経験・体感しえない話なので、かえって映画に没頭できたのかもしれません。 映画の途中で主人公と元恋人が14年間閉じこめてきたお互いの想いを確かめ合うシーンも胸が詰まって溜息がでますが、一番印象に残るのは主人公と元恋人とその息子が一緒に生きることを決心して、車で検問中の橋の上をゆっくりと走り去る場面。 その少し前まで主人公はIRAに捕まっていて、そこから元恋人の運転で逃げたのだけれど、元恋人の心配そうな顔がアップされてそこでエンドロール。 主人公が助かって、今までの想いがかなってうれしいはずなのに、何故表情が緊張しているのか、どこへ向かおうとしているのか、わからないままです。 おそらく、元テロリストの主人公とIRA幹部の父を持ちなおかつ投獄された同志である夫を振り切る決意をした元恋人の行く末には明るいものはないのでしょう。イギリスへ渡っても、二人が住んでいる今の町に戻っても、対立している隣の地区へ行っても・・・ そのことは二人にもわかっているけれど、それでもあえてその道を選択した、せざるを得なかった・・・ 非常に強い意志を感じたストイックな、まさにタイトルとラップした、味わい深い映画でした。 【たくみ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-21 22:02:34) |
《改行表示》17.《ネタバレ》 北アイルランドでの宗教間・民族間の憎しみの深さにいろいろ考えさせられました。「お互い共存していくようにすればいいじゃん」とキレイ事を言うのは簡単ですが、中々難しいですよね・・・・・・。(敵役の殺害現場にその奥さんが佇むシーンは非常に心に残りましたね・・・・) ストーリーは見応えがありましたが、IRAの描写が何かマフィアっぽくなってたような感じがしたんですけど実際にそうだったんですかね? 【TM】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-12-09 20:54:59) |
16.投獄前の部分の説明がほとんどないので、前半はどういう人間関係なのかが分かりにくかったが、話が動き出した後半は一気に引き込まれた。デイ=ルイスを相手に回して一歩も引かない演技を見せたエミリー・ワトソンの功績が大きい。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-11-18 11:41:40) |
15.見ててつらくなってきた。アメリカでいうKKKみたいな存在だけど、その存在ってすごいんだなと改めて実感。一見ダニエル・デイ=ルイスとエミリー・ワトソンのラブストーリーかなと思いきや全く違っちゃった。。ダニー・フリンという役柄とボクシングでIRAに立ち向かっていく姿って言うのが物凄くカッコイイ。ジム・シェリダンっていう監督はほんと、映画を作るのが上手いな。 |
14.歴史背景をあまり知らないが、題材も暗く、忍耐強く観る必要がある。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-10-06 13:28:24) |
13.アイルランドという国と、アイルランド人という人間と、アイリッシュという頑固さを、もっとも正確に描いた映画だと思う。 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-27 03:56:17) |
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12.《ネタバレ》 ダニエル・ディ・ルイスとか他の人もすごく良い。抑圧された社会の悲惨さが伝わってきたが、自分の運命を怨むのではなく、受け入れて生きるという主人公の生き方が示されている。すばらしい。裏切り者を精算してしまうという後味が悪い最後にするのかと思ったけど、奥さんがすがって泣いている姿を見て救われたような気がした。 【さら】さん 8点(2005-03-17 13:58:01) |
《改行表示》11.見る前は、この監督・役者コンビへの期待半分、ボクシング映画なのにIRA?なんの関連があるんだ?なんか暗くて見るに耐えなそうな題材だなぁという思いが半分だったんですけど、見事にボクシングとIRA、そして恋愛までどれもが必然的なものとして絡み合っていました。全ての描き方に納得がいきました。アイルランドはイギリスに支配され差別の対象であったので、双方が混在する都市で反発がうまれるのは理解できるにしても、なぜ世界的に知られるテロ集団にまでなったのか、その当事者の心理や、悲劇を繰り返さざるを得ない状況が自然にわかりやすく描かれていたと思います。憎しみの感情をつのらせ逮捕された仲間のためにもあくまで戦おうとする人。やりすぎだと思っているが協力するしかない人。憎しみの感情を争いのない未来へつなげようとする人。復讐は復讐をうむん ですよね。いつの時代も必ず。しかも仲間を犠牲にして時には仲間さえ自らの手で殺してしまう。DDルイスの「人を殺したくはないが、この街は人を殺したい気分にさせる」といったセリフがズシリと重かった。仲間を家族を苦しめ殺した人を本気で愛さないと世界平和は実現しないんだろうな、という厳しい現実が心に浮かびました。その第一歩がそれぞれの想いをルールの中での戦いにぶつけることなんでしょう。興味のある人には面白いでしょうけど、暗い話で映画として映像的に楽しくないので、8点。 【るいるい】さん 8点(2004-12-23 21:17:23) |
10.IRA関係の映画って、ひたすらつらい映画が多い(『ナッシング・パーソナル』とか)けれど、この映画は主役の二人の恋を描くことで悲劇的になり過ぎないよう、バランスが保たれている。だから、同じようなテーマの映画に比べるとまだ観やすい。そして、いつも思うことだが、宗教がらみの争いは、宗教がらみであるがゆえにここまで根強い&必死だし、その一方、明らかに宗教的な平和への願いとは矛盾している。なんでかな~。やっぱり、自分の好きな人だけ守るのはダメですか? 何気ない日常が一触即発の状態と隣り合わせである、というものすごい状況をエミリー・ワトソンのおそろしい演技で良質なサスペンスにしてる。そこら辺が映画としても良くできてると思う。 |
9.暴力を持ってして問題解決をしようとするのはもちろん良くないとは思うけど常に抑圧されてきた人達が抑圧する側に素直に応じることは皆無だろう。血には血をという流血の歴史は古代から現代に至っても変わることは無いしこれからも続いていく。人間には欲がありそれを減らすことの難しさは自分自身がよく知っている(面白い作品を観たら次はそれよりもっと面白い作品を観ようとして探し回る)。世界中から争い事は絶対無くならない。動物には食を足るという自制心がありよほどの天災以外で絶滅ということは無い。しかし人間は他の動物より自制心が劣り同種族同士で争い絶滅する可能性が高い(同種族ならまだしも他の動物たちを何種類と絶滅に追いやっている)。争いというものが無くならないからこそ人間はいかに「停戦」の時期を永くするかを古きから学び新しい時代の為に考え議論していかなければならないでしょう。もちろんテロリズムには賛同出来ないが切迫した状況下において取る選択肢として仕方が無いのか・・・と少しでも思わせたこの作品は脳髄にグサリとささりました。 【tetsu78】さん 9点(2004-11-22 19:14:49) |
8.この頃のアイルランドの状況についてはあまり詳しくないんだけど、緊迫感が非常に伝わってきて目が離せなかった。ダニエル・デイ・ルイスも素晴らしい。 【Andy17】さん 8点(2004-09-18 17:42:19) |
7.ただただ、無意味な戦いを無くしたいという願いから作られている映画だと思う。宗教紛争というものに縁遠い生活を送っている身としては、なぜここまで、という疑問符だらけのストーリーである。男は戦い、女は支えるという古い因習がはびこり、ただ一人、命ほど大切なものは無い、と訴え続けるトレーナーのアイクは枯葉のように葬られていく。悲壮で固い空気でいっぱいだ。そんな中、主人公ダニーが、ボクシングという手段で対戦相手ではなく因習に立ち向かっていく姿は、絶え間なくパンチを送り続けることで何かが変わるはず、という意図があるように思え、胸が締め付けられる。寡黙な彼が言葉を使わずに大きく叫ぶ。戦わなければ、負けることもないが勝つこともないのだ、この空気に囚われた町に穴を開けるのだ、と。身を挺して進みゆくダニーに心を揺さぶられる。気持ちが弱虫になっている時に観ると、この映画に込められた魂の力に吹っ飛ばされそうになる。 【のはら】さん 9点(2004-07-14 23:18:49) |
6.ジム・シェリダンとダニエル・デイ・ルイスのコンビにハズレなし!!エミリー・ワトソンも素晴らしかった。それに脚本のテリー・ジョージはIRAということで二年間刑務所に服役していたらしく、この映画のすべてからアイルランド社会の空気がひしひしと伝わってきます。 【シュンペーター】さん 9点(2004-03-01 06:39:49) |
《改行表示》5.「マイ・レフトフット」「父に祈りを」と同じ監督だったんですね。納得。ダニエル・デイ・ルイスも安心して仕事に集中できたのではないでしょうか。重たい名作ですが、名優二人の逢瀬のシーンは、ラブストーリーのファンにも十分に見ごたえがあるのでは? 地味とばかり言われているようですが、徹底的に役作りをするルイスのボクシングシーン、子どもの視点も絡んでくるストーリー展開、最後のクライマックスなどは、ちゃんとエンタテイメント好きにも満足行くのではないかと。冒頭、シャドウボクシングをしているシーンも、カッコいいし、その孤独な姿が次の展開を暗示していて、秀逸だと思いました。 口当たりのよい映画ばかりでなく、こういう映画も観たほうがいいですね。但し疲れすぎていないときに。 【おばちゃん】さん 9点(2003-12-29 13:35:58) |
《改行表示》4. この映画のDVDはラブストーリーのコーナーに置いてありました。 たしかにその要素はあるだろうが、むしろ北アイルランド問題の現実を描くことに主眼があるように思える。 テロのため刑務所に入った夫を待つ妻たち、IRAによる私刑などわれわれ日本人には考えられない日常がベルファストにはあるのです。 【ぐれーん】さん 9点(2003-12-03 15:29:09) |
《改行表示》3. 私の中では最高点の映画です.アイルランドを第二の故郷と呼ぶ D. デイ=ルイスが、寡黙でストイックな役作りをすればするほど、痛いほど哀しく透けて見えてくるアイルランドに対する熱情と愛情.そして、後半の見せ物ボクシングとは好対照をなす、打たれても打たれても倒れないという、ダニー・フリンが示す戦い方.これは、歴史的に翻弄されてきた北アイルランドで培われたものであり、未だに IRA の武装解除がなされず、宗教と領土問題の強いねじれを引きずっている中で、まっとうなメッセージを投げかけてくる.この説得力は役者デイ=ルイスに負うところが大きい.ごまかしを一切せず体当たりでボクサーを演じようとした(この人はいつもそうだが)熱意が、画面から静かに確実に伝わってくるから. 【シャリファ】さん 10点(2003-11-02 21:23:08) |