73.《ネタバレ》 ニコール・キッドマンという人は、本当に美しい女優さんだなと、しみじみ実感。
主人公二人が共に悲劇的な過去を背負っている為、互いに慰め合っている内に恋愛感情が芽生えていく流れかな……と予想していたら、それを裏切ってくれたのが気持ち良かったですね。
冒頭のサッカー場での、少年達による銃殺シーンも衝撃的でしたし、中盤に起きるバス爆破シーンの迫力も見事。
実は一連の暗殺事件は、大統領側による狂言だったというオチも面白いと思います。
ただ、そういった要素の一つ一つは魅力的だと思うのですが、映画全体として考えた場合、少し贅沢過ぎたようにも感じました。
それというのも、立て続けにスケールの大きい事件が起こってしまうものだから、何やら置いてけぼり感覚があったのです。
なまじリアルな作風で、主人公達の能力も等身大であるがゆえに
「こんな事件、本当に彼女達で解決出来るの?」
という疑問符が浮かんでしまい、どうも画面に集中する事が出来ませんでした。
ニコール演じるシルヴィアが、大統領に銃を向けるクライマックスに関しても
「ここまで感情移入させて描いてきた主人公に、要人殺害の罪を背負わせたりはするまい」
と、何処か冷めた目で見つめてしまう事になったのが、非常に残念。
ラストにて読み上げられる死亡者リスト。
そして「誰も待っていない、思い出だけが残る故郷」に帰ると告げるシルヴィアの姿は、とても印象的で良かったですね。
自分にとっては、少し歯車が噛み合いませんでしたが、丁寧に作られた真面目な映画だと思います。