171.《ネタバレ》 ずいぶん前に知人が絶賛して勧めてきた映画。
見たときの感想はこの人とは趣味が合わないなと。
内容はあまり覚えておらず「俺たちに明日はない」のようなカップルの逃避行くらいの記憶しかない。
ところがものすごく久しぶりに見てみたら意外と面白かった。
元警察官の父とマフィアとのやりとりは緊迫感があって目が離せない。
拷問中なのにシチリア人ボスに向かって黒人のムーア人がシチリア人女性を犯しまくって混血の子を産んだんだと嘲笑する。
爆笑するボスのはらわたが煮えくり返っているのが伝わってくる。
昔は気づかなかったが役者も揃っていて、ゲイリー・オールドマン、デニス・ホッパー、クリストファー・ウォーケン、サミュエル・L・ジャクソン、クリス・ペン、ブラピ、サニー千葉までいたのにはビックリ。
それぞれの個性の光るキャラで良い味を出していた。
おまけだけれど、木琴のようなテーマ音楽も好きだったラジオ番組のオープニング曲だったのに気づいてニンマリ。
ただ、この犯罪者カップルのハッピーエンドはまったくスッキリしない。
何人も死んだ中には殺されて当然の人間もいたが、死ななくてもいい巻き添えのような不幸もあった。
日本でも酷い犯罪で他人を何人も不幸にしながら自分はのうのうと生きている奴らがいるが、そういう姿とかぶる。
こうした人間は幸せになってはいけない。ボニーとクライドのように、破滅型の人間は破滅で終わらないと。
ラストでブチ壊しにされた気分。
現実社会ではちゃんとした贖罪もなく幸せな家庭を築く犯罪者に、やりきれない鬱憤を感じることのほうが多い。
映画くらいそうした鬱憤を晴らしてほしかった。
脚本を担当したタランティーノは、二人仲良く撃ち殺されて終わるラストを書いたとか。
ところが、トニー・スコット監督の判断でラストを変えて、タランティーノは激怒したらしい。
そりゃあ怒るでしょ。タランティーノに同情する。
せめて、クラレンスは死んだけどアラバマは彼の子供を産んで幸せに暮らしましたって程度なら良かったけど。