1.《ネタバレ》 再編集版ということで一応見ました。個人的にはパート3(劇場版 1990)でマンセーしていますので、こちらの<最終章>の編集は全く気に入りませんでした。
まず、確かにオープニングは<最終章>のほうが流れは判り易く、ギルディ大司教(ドナル・ドネリー)とのイビツな関係もよく判りますが、しかしながらパート3(劇場版 1990)のオープニングにあったようなドン・マイケルが抱えている心情=罪と後悔が薄れてしまいました。また、本シリーズの伝統でもあるパーティや受勲のシーンから入らず密談から入ってしまった点は、渋さはあるもののゴージャス具合は少し薄れてしまったような気がします。(考えたらパート1のオープニングを彷彿しないでもない・・)
ラストも同様で、パート3(劇場版 1990)のあの雰囲気が観客の共感を呼び素晴らしい余韻を残した訳ですが、それを<最終章>のような語り文字に置き換えてしまうと何だかよく判らなくなってしまいます。ドン・ビトーが孫と和気あいあいと逝く最期とドン・マイケルが一人寂しく逝く衝撃を比較してこそ、あのシーンは素晴らしかったわけで・・。
映画作品なのですからラストカットはきちんと絵として見せていただきたかったところですし、そもそも、<最終章>になっても物語上は大して変わっておらず、むしろ解釈自体を強引に観客に押し付けてしまったかのような印象すら残る残念な仕上がりでした。個人的には再編集するならビンセント(アンディ・ガルシア)がルケージ側に寝返った作戦の具体的な内容をきちんと語っていただきたかったところです。天下のゴッドファーザーをも欺こうとしている巨悪の根源が、そう簡単にマイケルの飼い犬であるビンセントに手の内を見せるとは到底思えず、以前から「あそこは端折り過ぎだよなあ・・」と感じていました。まあ、あのシーンは撮影自体が行われていないのでしょうから再編集は無理でしょうが。。
この<最終章>というバージョンは人によっては改悪だったと感じる人もいそうです。少なくとも私は好きではありませんでした。できれば今まで通り(劇場版 1990)をメインとし、<最終章>はあくまでオマケという位置づけで公開していただきたかったと思います。内容的にはほとんど違っていませんので評価自体も大した差はありませんが、劇場版と差別化するためにあえて厳しい点数をつけておきます。(余談ですが50周年版のBOXセットでは、まさかの”オリジナル版のほうがオマケ”という暴挙に出ており、監督の意図する感性・感覚が心底理解できませんでした。非常に残念)