13.《ネタバレ》 ◇共感できる登場人物がいないので、なんとも入り込めない。 ◇それでも「言葉に体が伴って意味を成す」「愛のないSEXはお金を取らないとダメ」などのセリフは、「人は自分の行為に意味を持たせようとする」ことによって、「罪悪感を正当化しながら堕ちていく」というストーリーの意図は、なんとなく見えた気がする。 ◇「罪と罰(罪と理解しながら、その行為を正当化する)」の”女の性バージョン”か。。。。。 ◆映画を見た後、東電OL事件を改めてネット検索し、この映画が「事件だけでなく、背景をも基にしている」ことを知った。自傷行為と言われた主人公の行動。誰かに殺されるのを待っていたのでは?と改めて思った。安らかに眠ってください。 【ハクリキコ】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-09-17 19:01:31) |
12.《ネタバレ》 公開時には3人の女性の物語と宣伝されていましたが、実質的な主人公は神楽坂恵演じるいずみ。夫から女性扱いされず人生の目的を見失っていたいずみが、生の実感を求めて新たな行動を起こしたことから地獄を垣間見る前半部分はなかなか楽しめたのですが、完全にイっちゃった後半は何がなんだかでした。自分の女房を主演にしてここまで激しいことをさせるのだから、この監督は特殊な感性をお持ちなのだと思います。凡人の私では付いていけない部分が多々あって、2時間半という長尺はちょいと厳しく感じました。。。 と、全体としてはイマイチだったのですが、才気あふれる監督による作品だけあって、部分的には魅力的なものもありました。特に興味深く感じたのは美津子といずみの関係性。いずみと初めて対面した時、美津子は「この世界に足を踏み入れるな」と言っていずみを突き放すのですが、いずみから旦那の名前を聞かされると、それまでの態度を翻して彼女はいずみを受け入れました。このやりとりの意味がわかるのはクライマックス近く。いずみの旦那も愛欲の世界にどっぷりと浸かっており、美津子はいずみに”戻る場所”がないことを悟ったからこそ、彼女は地獄の案内人役を引き受けたのです。登場人物達の運命を分けたのは、この”戻る場所”の存在でした。美津子は母親から憎まれており、彼女にとって家は戻る場所ではありませんでした。美津子の母親は、表面的には「血筋が悪い」と言って美津子を疎んでいるのですが、実のところは愛する夫を娘である美津子に奪われたために、殺したいほど娘を憎んでいます。大方斐紗子による怪演も手伝って、老いてなお燃え上がる女の情念には圧倒されました。一方、”戻る場所”の存在によって何とか踏みとどまったのが、水野美紀演じる和子。ラストは曖昧なようですが、よくよく考えれば監督の言いたいことははっきりとしています。一心不乱に走っているうちに家から遠く離れてしまった和子が、「どこにいるのか?」と聞かれて「わからん」と答えるラスト。「わからん」とはその場所に違和感を覚えていることを表しており、この後彼女は愛する夫と娘の待つ家庭に戻ることが推測されます。。。 この映画はドロドロでグロテスクなのですが、込められたメッセージは意外とポジティブ。愛とは厄介なものだが、愛する人との関係性を間違えていなければ、意外と何とかなるもんだと言っているようです。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 19:00:23) (良:2票) |
11.《ネタバレ》 AV(アダルトビデオ)では、男が無理矢理、女の子を蹂躙しようとしても、最終的には「あぁっ、気持ちいぃー」となるのは世の常である。うら若き娘を無理矢理どうにかしたいという妄想があっても、正常な男子にとっては拒絶されたままでは、どうにも罪悪感が残ってしまい、自慰行為に支障をきたしてしまう。そんな事情もあって、AVの女優さんは、感じてくれてるように見せてくれるのだ。それは、全てクソ男に都合の良いようにできていて、リアリティは存在しない。そんなことはわかっていた上で、世の男子はシコシコしているのである。だから、その辺りの事情を知らぬ女性が、そういったビデオを観れば、嫌悪感を覚えることは、いたしかたがない事なのである本作は謂わばそういった意味でポルノ作品になっている事に少しびっくりした。出てくる三人の女性は、全て監督の都合のよいように淫乱であり、従順なのである。監督にとって、女性は全て淫乱という解釈にも観える監督は本作を「女性賛歌」と言っているようだが、この内容でそう言っちゃうのはおためごかしか、天然か。どちらかと言えば、女性蔑視に近い表現がされているので、不快に思う女性は多い気がする。 こんなにも乙女心が分かる俺が、そう思うのだから間違いないだろう! 惨殺死体の発見のシーンは、洋画の本格ミステリーっぽくて、ゾクゾクした。そこから、日常の家庭のシーンになっても、妙な緊張感が存在していて、かなり期待できる立ち上がりだった。しかし、あからさまな異常者があからさまで芝居がかったセリフを言ったり、キチ演技しても逆に冷めてしまう。ミツコと、ポン引き野郎?の二人の極端なキャラクターもイマイチだった。お婆ちゃんは怖かったけど。キャラクターを深めるためか、芸術性を高めるためか、ミツコさんの説教も何が言いたいか、良く分からなかった…。 その他の登場人物も、表の顔と裏の顔がありがちで、分かりやすすぎたかも。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-07-03 00:48:50) |
10.《ネタバレ》 一言で言えば、「どいつもこいつもどうしようもねぇな~!」って感じです(笑)。相変わらず、観る者を挑発するような内容で、特にあのヘンテコ一家の狂いっぷりはそれ自体が見ていてエンターテイメントだなと感じさせられる。ただ、強引さも目立つ。美津子のシュールっぷりとそれについてくいずみのイカレ具合にはどうにもついていけず。そこについていけないもんだから、全編に渡って失笑してしまう。前作「冷たい熱帯魚 」は主人公に共感出来たのだが、いずみちゃんには感情移入出来ず。女性が見たらまた違う印象になるのかもしれないが。まぁでもいっぱいヌードも出てきたし、佳作の部類かなとは思う。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-07-02 20:32:00) |
★9.《ネタバレ》 正直言ってグラドル上がりで巨乳だけがウリの大根役者である神楽坂恵って好きではないのだが、この作品の場合、いずみ役は彼女以外にありえない、 もちろん本作だけが奇跡的にすばらしい演技を披露しているわけではない、あいかわらず演技は下手である。 うまく説明できないが、映画や演技という枠の外で園子温監督に「捕まって」しまったように感じる、 前作「冷たい熱帯魚」の後20歳も年上の監督と結婚したというのも、そういうことなのだろう。 当然「普通」の夫婦ではありえないわけで、園子温という怪物の中に演技ではなく本当の意味で飛び込んでしまった結果がこの作品なのだと思う。 逆に富樫真や大方斐紗子の演技は文句無く素晴らしいものであったが、こちらはあくまで「演技」である(あたりまえであるのだが) 二人は見事に「狂気」を演じていたのだが、神楽坂恵だけは静かではあるが、本当に狂っているのではないかという怖さが感じられた。 よくわからないのが水野美紀である。 冒頭のフルヌードシーンが無ければ、彼女もまた単なる演技者でしかなかった(と言っても富樫真や大方斐紗子のレベルにはほど遠いが) ストーリーを追ううえではさして必要ではないシーンであるが、あのシーンがあるおかげで、彼女の「肉」の部分が強烈に印象付けられている。 言うなれば、あのシーンが水野美紀という「言葉」に「意味」を持たしているのであろう。 しかしながら、その後の彼女の出番はあまりにも地味である、ほとんどストーリーにも絡んでいない。 まぁ吉田和子は「あちら側」と「こちら側」の境界に位置する存在であるから、これでいいのかもしれない。 【るね】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-06-10 15:09:40) |
8.《ネタバレ》 なんだこれ。 水野美紀主演というのは名ばかりだ。 実際のところの主演は園子温の現女房:神楽坂と妖怪人間ベラの二人じゃないか。 挙げ句、安っぽい娼婦売春物語に突入。 そして、もういいだろ そろそろ終わってくれないかしらって思いかけてた頃に出て来たディオンヌ・ワーウィックみたいな婆さん、この婆さんがまたやけに話しに絡んでくるもんだで 終わらねえ~ もう最後のほうなんて どげんだってよくなっちまった なげ~よ おい。 【3737】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-06-08 22:42:24) |
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7.冨樫真の演技がすばらしかった。 この人がちゃんとしてなかったら、ちょっと厳しい映画になったことでしょう。 園監督らしいタッチ、リズムで、好きではあるけどちょっとずっしりです。 出てくる女性はみんなちょっと非現実的ですが、共感はします。男性にはどういう風に見えるのか、気になります。 あと、巨乳って動くとこんな風に動くのかぁ、とか、変なところで感心してしまいました。 【しゃっくり】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-02-15 22:41:11) |
6.《ネタバレ》 カフカの「城」と、田村隆一っていう人の「帰途」っていう詩が多用されている。結構使いまくっている。特に「帰途」については神楽坂に大きなインパクトを与えている。(残念ながら『愛のむきだし』におけるコリントへの手紙には適わない。)これが単なるポルノ映画になりさがることを防いでいる。これがなければエロ目的のおっさんで映画館があふれかえるだろう。 ミツコは父を亡くしている。うわごとのように父の名前をつぶやいている。これも作家ソノシオンのおなじみの特徴である。病的にファザコンなんだろう。絶対ココロの病を抱えているに違いない、ソノシオン。 |
5.いくら何でもこりゃひどい。SEXをするのはいい。いっぱいSEXをするのもいい。エロを追求するのもいい。でも長すぎる。しかも登場人物が言っていることが恐ろしく空疎であり、ストーリーもちゃちである。言葉なんて覚えるんじゃなかった。なら、もう少し台詞を減らしてください。 馬鹿な有閑マダムが暇を持て余してSEX中毒になった上、大学助教授の仮面を付けた安っぽいスケバン変態教祖に唆されて立ちんぼになる映画。このスケバンの言ってることが全く意味不明なのだが、マダムは盲従する。そのあまりの低能ぶりの描写は面白かった。だが、それだけのことを2時間半かけて映し出す必要もなかろう。登場人物が全員馬鹿すぎて、誰にも感情移入できないまま、時間が過ぎるのが苦痛だった。馬鹿を映すのもいいが、一人くらいまともな神経の持ち主がいないと段々つまらなくなってくる。話が通じないのだ。デリヘルの男だけは少し話せそうだったが、結局雰囲気に流されちゃうし。 特に、最終章には笑いしか出なかった。野ションって、おいおい。色々なAVを継ぎ接ぎしたような映画。でもおっぱいがいっぱいで眠くはなかったから2点付けよう。 【枕流】さん [映画館(邦画)] 2点(2011-12-24 23:37:27) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 ◆園子温の映画には人間の成長、すなわちアイデンティティの確立に焦点を当てている映画が多い。世間を気にせず素直に生きることが良いことである、という価値観はとても良いと思う。本作はその過激さに目を奪われがちだが、主人公の女性が立ちんぼの人と出会い、さまざまな「淫らな」経験を通してアイデンティティを確立させるというものだと僕は解釈します。そして、今回の主人公は女性である。僕は、女性の成長は出産によって劇的に促進されると考えている。◆そう考えると、非常にすごいと思うシーンがある。それは最後の廃墟でお婆さんが仕切り、男性が手を持ち、女性が相手の首を絞めるシーンである。あの場面が主人公にとっての出産であり、成長なのではなかろうか(「生」と「死」が逆転しているところが皮肉っぽくてまた良い。)。そして、園監督の持ち味でもある、『紀子』の血まみれで食卓を囲むシーンでも感じた、狂気と日常が混ざり合ったなんとも不思議な場面でもあり素直に感服した。◆最後の廃墟を目の前に刑事が発した一言は、刑事もまた児島に対する依存から脱却し成長したことの表れであると思う。◆やっぱり、園監督にはヴァーホーベンの『ショーガール』を観たときに感じた正直さを感じます。自分の奥さんだからといって一切容赦せずおしっこさせたり、男にフルボッコにさせたりするところにも誠実さを感じます。 【もりたろう】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-12-05 00:06:23) |
3.《ネタバレ》 疲れた。とても長く感じた。おばあちゃんが出てくるまでが一番辛かった...。園子温作品はもう劇場じゃないと見きれないのだなーと感じる。家で見てたら途中でアメトーークに切り替えてしまうだろう。この監督のセックスの描写は日常生活の延長線に見えて好きだし、アンジャッシュ児島とおばあちゃんの演技はよかった。が、他の人の演技はなんか浮いててなんか見てて疲れる。演者の問題よりも演技指導で生じてると感じる。なんかわざとらしく見えちゃう→疲れるーのだと思う。疲れて落ちたトコから気持ちがアガるような展開でもなかった。(冷たい熱帯魚はその点まだアガったから気楽で)あと、音楽も妙に上品なクラシックって感じでダサくコレも疲れる一因。エンディングがギターかなんかのインストで「コーいうのでいいのに」と感じた。....なんか無理しすぎてるなこの監督。『愛のむきだし』からの園子温作品は自分とは合わない事がしっかりと確認できた。もう進んで観たいとは思えなくなった。残念。「売春は儲かってる?」 【reitengo】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-12-02 09:12:50) |
2.《ネタバレ》 これは監督にしてはずいぶんと落ちるなあとわたしは思った。エロはだいすきだからいいのだが、不要な部分が多く思え、飽きた。前作の主人公も、これの神楽坂演じる主人公の、気弱というか、意志薄弱というか、バカというか、その行動や意思や、いいかえると、この脚本、演出設定がとても不自然というか、ちょっと強引である。ただ、やはり、この監督独特の”スキャンダラスさ”の創作は随所にみられ、他にはない魅力を秘める。ふたたび”でんでん”も出る次回作に期待! 【男ザンパノ】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-12-01 00:21:45) |
1.《ネタバレ》 「愛のむきだし」を2009年のベストに挙げるほど園にやられた私としては相当期待していた作品であったため、ハードルがあがりすぎてしまったのだろうか。一言でいえばAVのような映画だった。書いている私自身が男であるという視点の限界は、ここで描かれている女性たちに、「女性として」共感することができないということである。しかしそれは私に留まらず、園自身にもあてはまるのではないだろうか?そこがひとつ、私としてはいまひとつこの映画に乗れなかった理由である。細かいところでは面白い撮り方や相変わらず強烈な禍々しさ、毒々しさがあるのだが(特にあのおばあちゃん)、「城」や「肉体を持つ言葉」の比喩はあまりにも幼稚というか、安易だろう。いずみが客に馬乗りになり、詩を暗誦するシーンは「愛のむきだし」を思い出しニヤリとさせられたが、満島ひかりがコリント書を圧倒的な迫力で吐き出すあの「身体性」には遠く及ばないだろう。そして説明的、より悪くいえばクサい演出が相当に多い。過剰な演出は園の特徴だが、正直ここまで説明的な映画はこれまで無かったように思う。詩の解説などくだらないことはやめて映像で表現してもらいたかったものだ。また、吉田の最後のシーンは完全に不要だろう。前半に出てきた小話を再現させるとは「いかにも」な演出。そして「ノルウェイの森」を思い出させるような「居場所がわからない」というラスト。後輩刑事が言ったように、あそこで彼女がこれまでのぼーっと生きてきた人生を思い返しているとでもいいたいのだろうか? そんな説明的な描写はかえって興ざめである。ところで映画のタイトルは「恋の罪」であり、guilty of romanceである。愛の罪ではない。ということはどこか抑圧されてきた女性たちが恋(のようなもの)に衝動的にのめりこんでいくというのがこの映画の主題だろう。ただし恋が目指しているものが何かは、彼女たちには、そして私たちにも分からない。少なくともそれは愛ではないことだけは確かだ。「不思議なことに、ただでやらせる女より、金をもらってやらせる女の方を男は軽蔑する」というような独白があったが、これにはハッとさせられた。なぜかと考えたが、それは金が介在していなければ、そこに愛が存在すると錯覚するからだろう。あるいは実際に愛が存在するのかもしれない。その僅かな望みに、あるいは幻想に男は憑かれている。 【Balrog】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-11-29 23:47:49) |