64.《ネタバレ》 始皇帝暗殺を題材にした「HERO」(2002年)を踏まえた上で鑑賞すると、今作でジェット・リーが始皇帝を模したキャラを演じてるのって、感慨深いものがありますね。
敵の強さや、スケールの大きさという意味合いでも今作がシリーズで一番だろうし、貴重な「悪の親玉であるジェット・リー」が拝めるってだけでも、一見の価値有りな映画だと思います。
ただ、面白さという点に関しては……正直、結構厳しいです。
エヴリン役が他の女優さんに変わってるとか、アレックスが幼児から大人に急成長してるのに戸惑うとか「続編映画ならではの違和感」も大きいんだけど、そういうの抜きで単品として評価しても(えっ、何で?)と思っちゃうポイントが多いんですよね。
上述のジェット・リー演じるハン皇帝にしたって、中盤で見せる三つ首の竜の姿が迫力満点だったのに、終盤では竜に変身せず、人型のまま倒されちゃうというんだから、もうガッカリ。
唐突に出てきて「雪山以外じゃ活動出来ないから」とばかりに、唐突に姿を消しちゃうイエティも、また然りですね。
せっかく魅力的なモンスターを登場させてるのに、それを活かし切れていなかったと思います。
他にも、前作と違って「死に際まで互いを救おうとする悪のカップル」を描いてるのは良いんだけど「彼らが強く愛し合ってる」という伏線が無いから、唐突で感動出来ないんですよね。
最後のオチが「ペルーでミイラが発見された」っていうのも、凄く微妙。
ガッカリした気分のまま映画が終わっちゃうので、何だか映画全体の印象まで悪くなっちゃいます。
そんな訳で、三部作の中では明らかに見劣りする出来なんだけど……
シリーズのファンとしては、文句ばかりじゃ寂しくなるので、以下は良かった点を。
まず「リックが二丁拳銃で戦う場面がある」って事に関しては、素直に嬉しかったですね。
時代設定に合わせ、主武装はマシンガンになっているのに、ちゃんと序盤で二丁拳銃姿も見せたっていうのは、ファンサービスとして正解だったと思います。
中華街を馬車で暴走したりとか、前作のようなカーチェイス場面があるのも嬉しい。
新たなヒロイン格となるリンも可愛かったし、特に「不死の命を捨てて」と言われ、嬉しそうに微笑む場面なんかは、胸がときめくものがありましたね。
アレックスと彼女の恋路が、悲劇に終わったりせず、無事に結ばれる結末であった事にも、ホッと一安心です。
やっぱり、このシリーズにはハッピーエンドが似合うと思います。
なお、2022年現在「ハムナプトラ」の四作目は作られておらず「ペルーのミイラ」がどうなったかについては、謎のままとなってる訳ですが……
きっとリック達なら、何時ものようにミイラを倒して、そして世界を救ってみせちゃうんでしょうね。
更なる続編があるのなら、アレックスとリンの間に生まれた子供。
つまりは、リックの初孫なんかが登場する事にも、期待したいものです。