6.《ネタバレ》 分かり易く、よく出来たドラマでした。解釈の仕方に依りますが、際どいことを言ってると思います。二つの出来事が教訓を伴って強く心に残りました。
ひとつはアフリカの難民キャンプでの出来事。暴君を見殺しにして自己嫌悪に陥るエリアスの父。医者は「裁く」のでは無く「救う」職業であるという信念を自身の「行動原理」にしていたが、暴君へのリンチを間接的に容認してしまう。馬鹿を殴り返さなかった件は「行動原理」を貫く意思の強さの確認でもあったが、それが崩れます。
もうひとつはクライマックスである車の爆破にまつわるクリスチャンの心の動き。不条理な出来事に対する彼の反発心は、純粋な感受性が成さしめた部分が多いが、母を失ったやり場の無い憤りのはけ口でもあったようだ。それが行動をエスカレートさせた。
エリアスの父に関して。「行動原理」の限界を見せてもらいました。そもそも、機関銃を持って乗り込んで来る奴らに自身の考えを主張して引き金を引かれたら、その瞬間に全てが終わります。これは、殴り返さないだけは解決しない局面です。だから、覆せない不条理は存在するということです。意志の力の限界とも言えます。同時に「行動原理」の範囲に収まらない怒りもある。「憎しみ」は制御が出来ても、瞬発的な「怒り」は制御できない。だからって訳でもないけど、妊婦をゲーム感覚で殺していた暴君は然るべき道を辿ったと考えて良いと思いました。エリアスの父がどのように整理するかは彼の問題でしょう。
クリスチャンに関して。彼の反発力は尊ばれるべきだと思いました。エリアスを苛めていた奴は、クリスチャンの1回の反撃で大人しくなりました。悲しいかな、人は他者への攻撃に快楽を覚える側面がある。だから、学校がどんな施策を講じても「イジメ」は無くならないと思う。「イジメ」などの不条理には反発しないと舐められる。図に乗らせたらエスカレートする。これが現実です。だから、やり返すことは間違いではない。(「イジメ」だけに関して言うなら、いじめっ子は概して安全なところで快楽に溺れている根性ナシが多いので、やり返せば収束します、経験的に) ただし、反発にもやり方と程度がある。やり過ぎると、その矛先はもろ刃の剣となって自身に降りかかる。それが車爆破事件の教訓かなと思います。
以上、あくまで私の個人的な感想と解釈です。