55.《ネタバレ》 宮崎駿のファンとして非常に悲しいですが素直な感想。
面白く無かったです。
宮崎駿がこれを胸を張って完成作品だ、というのなら、氏にはもう映画をまとめ上げることが出来ないとしか思えない。少なくとも、こんな未完成の作品を以前の宮崎駿は絶対に作らなかった。
まず声優さん。登場人物の誰も彼もが棒読みでどっちらけ。
声優さんは声の演技でご飯食べている人で発声も表現力もバリエーションも全然違うのに、何故プロに仕事させないの!?
次に脚本がめちゃくちゃでした。
「千と千尋の神隠し」より前の宮崎作品では、難しい言葉や専門用語もたくさんあったけれども、最後まで見たらナゾや疑問はパズルがはまる様に気持ちよく解けていました。
起きる展開は全てストーリーに必要なことであり、観客は単純にドキドキわくわくしていればよかった。
ポニョでは説明が無いというより説明する姿勢すら感じられなかった。
これはファンタジーなのだから何でもアリでいいのです、と言うのはあまりにお粗末。
ハウルのときと同じく
これは未完成のアイデアメモの脚本としか思えない。
どこが見せ場?
だらだらと続く場面場面は宮崎駿の『動き』の面白さを捉える上手さでごまかされているものの、沢山のアイデアから絞って絞って残されたものとは思えない。
これはテレビではなく映画作品。
中途半端にまとめる位なら公開を遅らせてでも練って欲しい。
フジモトは何をしようとしていたのか?
台詞だけで手抜きをするにはあまりにも重大なこと過ぎる。
ポニョの母親は何なのか?
ハウルの星の子の様に世界観をぶち壊す女神像、不可解な行動。
船が集まったり月が近づいたり、伏線もなく全て唐突。
ソウスケが母の元へ向かい、ポニョを認めればいいという試練は
説明不足で釈然としないしカタルシスを感じない。
ハウルが老いたみたいなフジモト、
トトロのサツキみたいなリサ捜索、
千尋の両親判定みたいなポニョの試練、
美味しそうにハムを食べるポニョの様な『らしさ』ではなく、なんか過去作品の似た場面にも妙に冷めてしまう。
宮崎駿が大好きだから本当に残念……あぁ、絶賛したかった。
でももう二回と見ようとも思えない。