216.あまり自分は好きではないスコセッシ作品の中で意外と好きな作品。
どう感じていいか難しいラスト以外は面白いと思うし、モノ凄い情熱を込めた映画だと感じる。ビルとアムステルダムの関係が様々な想いが重なり面白いと感じる。
アムステルダムにとって、ビルは父の仇であるのと同時に、父の理解者であり、尊敬や畏敬の念を抱くに値する男である。ビルの下で働くのを楽しんでいるかのようであった。ビルの暗殺を食い止めたのは、自分の手で殺したかったのではなく、やはり尊敬から自然とああいう行動に出てしまったのだろう。
一方、ビルにとって、アムステルダムはある意味「息子」のような存在だったのではないかと思う。ビルは息子を望んでいたし、知恵も勇気もあるアムステルダムのことを買っていたのは間違い無い。
アムステルダムによるビル暗殺が失敗に終わってもアムステルダムのことを殺さずに焼印を押しただけにとどめたのも納得ができる。
以前、ビルはヴァロン神父に殺されそうになった時に、恐怖で目をそむけたことがあり、「恥を背負って生きろ」とヴァロンに殺されなかったエピソードが思い出される。それによりビルは目をくり貫いて一回り成長してヴァロンを殺すことができた。自分がされたことを全く同様のことをしたのである。ここでもビルのヴァロンに対する尊敬の気持ちが感じられる。
これにより、アムステルダムは一層、一皮剥けたと思う。父と同様に信念を持ち、同胞をまとめあげるリーダーシップを得れたような気がする。始めてビルと対等の立場にたつことができたのではないか。
恋愛を交えるのは別に悪いとは思わないが、もう少しちゃんとジョニーとの友情なり、ジェニーに対する想いをきっちりと描いておけば効果的なものとなったであろう。ダンスシーンだけで充分とは思えない。
ジェニーは突然ではないがカルフォルニアに行きたいとかトンチンカンなことを言い出すのが不明だ。アムステルダムを止めたいのか何なのか、ボコられて戻ってくるのも中途半端だ。
ラストは軍隊という大きなチカラについて自分なりに感じたものはあったが、スコセッシはどのような意味を込めたんだろうか。