101.ロシアの内戦に伴う反政府軍による核兵器施設の占拠のために米国等が核攻撃への脅威にさらされている中で
それに立ち向かうために派遣された原子力潜水艦での電気系統の故障に伴う指揮命令系統の混乱が非常に上手く描かれている。
やはりこの映画の肝はハックマン、デンゼルともに正しい選択をしているということだろう。
ハックマンは一度正式なルートで核ミサイル発射の命令が下っている以上、その命令に従うべき。
不明確な命令を時間の関係上確認している暇はなく、無視してもこの際は問題はないという考えは理解できる。
一方、デンゼルは、双方の核攻撃による被害の拡大、戦争の勃発の恐れがあるため、コトの大きさと周りにいる他の潜水艦の状況も踏まえて、より慎重に命令を確認すべきと考えている。
戦争そのものが敵と考えているため、デンゼルの慎重さも充分理解できる。
そして、二人のどちらに従うべきかを、命令、規律、それぞれの個人的な関係などの間で揺れ動く周りの乗組員達の不安、あせり、緊張なども感じられた。
面白いのは二人の描き方だろう。
単純で融通は利かないが、経験豊富で作戦命令・目標を遵守することが第一と考える、性格はきついが嘘は言わない、いわゆる海軍の上官らしいタイプと
物事を慎重かつ冷静に考える、ハーバード大に通った経験を持つが実戦の経験は少ない、戦争に対して否定的なタイプと相対するように描かれている。
モノの考え方は訓練一つにも出ていて、混乱しているときにこそ訓練をする意味があると考えるハックマンに対して、まずは危険を除去することを優先すべきと考えるデンゼル。
この二人をハックマンとデンゼルに演技させたのも面白い組合せ。
特にハックマンはかなりはまっていたし、もの凄いいい演技をしていたなと思った。
デンゼルの方も感情を押さえつつ、部下を軽い冗談で和らげたり、謀反を犯した奴らの目を一人一人じっと見る姿は迫力があった。
トニースコット、ブラッカイマーの中ではなかなか良い良作だろう。