9.《ネタバレ》 正直言ってグラドル上がりで巨乳だけがウリの大根役者である神楽坂恵って好きではないのだが、この作品の場合、いずみ役は彼女以外にありえない、
もちろん本作だけが奇跡的にすばらしい演技を披露しているわけではない、あいかわらず演技は下手である。
うまく説明できないが、映画や演技という枠の外で園子温監督に「捕まって」しまったように感じる、
前作「冷たい熱帯魚」の後20歳も年上の監督と結婚したというのも、そういうことなのだろう。
当然「普通」の夫婦ではありえないわけで、園子温という怪物の中に演技ではなく本当の意味で飛び込んでしまった結果がこの作品なのだと思う。
逆に富樫真や大方斐紗子の演技は文句無く素晴らしいものであったが、こちらはあくまで「演技」である(あたりまえであるのだが)
二人は見事に「狂気」を演じていたのだが、神楽坂恵だけは静かではあるが、本当に狂っているのではないかという怖さが感じられた。
よくわからないのが水野美紀である。
冒頭のフルヌードシーンが無ければ、彼女もまた単なる演技者でしかなかった(と言っても富樫真や大方斐紗子のレベルにはほど遠いが)
ストーリーを追ううえではさして必要ではないシーンであるが、あのシーンがあるおかげで、彼女の「肉」の部分が強烈に印象付けられている。
言うなれば、あのシーンが水野美紀という「言葉」に「意味」を持たしているのであろう。
しかしながら、その後の彼女の出番はあまりにも地味である、ほとんどストーリーにも絡んでいない。
まぁ吉田和子は「あちら側」と「こちら側」の境界に位置する存在であるから、これでいいのかもしれない。