213.《ネタバレ》 当時のヴェトナム帰還兵の現状と苦悩を描いた映画だが、他のその手の映画と違うのは帰還兵がアメリカでブチ切れて暴れるという点。
他には「エクスターミネーター」や「タクシードライバー」がその部類。
ヴェトナムで戦い英雄と呼ばれた男が、故郷で不遇の扱いを受けて暴行されたらどうなるか?
「地獄の季節」の詩人ランボーも、まさか同じ名前の人間が機関銃持って地獄のように暴れまわるなんて夢にも思わなかっただろうね。
本当に怪我してる傷口を自ら縫うわ、崖からダイブなんて平気でするわ、スタローン様々。
ヴェトナム時代の旧友を訪ねて旅を続けるジョン・ランボー。
彼らへの風当たりはまだまだ強く、街に入れば即厄介者扱いだ。
オマケに今度の街は「妖しい身なり」「汚い格好」というだけで警察に連行され、強制的に洗いざらい調べられてしまう。
本当に汚いのは、権力を乱用するこういう連中の事を言うのかも知れない。
確かに最初は「警告」で済ました。
ただ、それを無視しただけで逮捕というのはいかがなものか。
警察の拷問に近い取り調べで、ヴェトナム時代のトラウマがフラッシュバック、そして堪忍袋の尾が弾け飛んだランボーは警官どもをぶっ飛ばして盗んだバイクで走り出す。
警察は意地と執念で追跡開始。
残念ながら、先に手を出してしまった彼らは無傷では済まなかった。
山に入ればランボーの“テリトリー”なのだ。
ヘリまで撃墜されて散々な目にあった警察一行。
命からがら(ランボーのレベルだと余裕の内か)脱出したランボーは、重装備で街に侵入。
こうなると誰にも止められない。
ランボーを拷問した署長であるが、どうしてそこまでランボーを目の敵にしたのか。
息子を戦争で失ったからか、それとも朝鮮戦争の元軍人(これは原作小説の設定)として同情を禁じえないがためなのか。それは解らない。
だがこっちにも意地がある。
街の治安を守るという正義心が、逃げることを許さない。
その気持ちがランボーに正しく向いていれば、いま頃こんな事にはならなかったのかも知れない。
壮絶な一騎打ちの末、そこに現れたのは何とランボーの上官であったトラウトマン大佐。
「もう終わったんだよランボー」
「いいや何も終わっちゃいない!」
戦場から帰ってまで不当な扱いを受けるランボーたちにとって、あの戦争は未だに心の傷として残り続ける。