10.《ネタバレ》 鑑賞後は『楽しかったな』程度の感想しか抱かない深みのない作品ではあるが、本作のような何も考えずに気軽に見られるアクション作品もアリだと思う。
トム・クルーズのカッコ良さや、キャメロン・ディアスのキュートさが前面に押し出されており、それらを十分に堪能することができるという点は評価したいところ。
トム・クルーズ+キャメロン・ディアスという図式よりも、トム・クルーズ×キャメロン・ディアスという図式となっており、単純な足し算ではなくて、掛け合わさってお互いがお互いの魅力を引き上げている最高のコンビに仕上がっている。
このコンビならば、大して意味がなく全世界を駆け回っても、何でも許してしまえるほどだ。
また、「ミッション・インポッシブル」のような本格的なスパイアクションモノと、「オースティン・パワーズ」のようなスパイコメディモノの間を取ったようなバランス感覚も悪くはない。80年代の007シリーズを見ているような、いい意味でのユルさは逆に新鮮にも映る。
銃弾を浴びせられている最中にキスをするというようなあり得ない展開を、もっと要所要所に入れ込んでも良かったかもしれない。
ラストの展開もユニークであり、いい意味での裏切りを味わうことができる。
あの展開がなかったらもっと評価が下がったかもしれない。
全てが前フリのように使われており、『なかなかやるな』と後味の良い楽しい気持ちにさせてくれる。
傑作という評価はしにくいが、全体的にクールさやセンスの良さが目立つ作品に仕上がっている点も評価できる。
住む世界が違う二人ではあるが、相手に気付かれないように気遣うトム・クルーズのクールなカッコ良さ・スマートさと、キャメロン・ディアスのポジティブさが、二人を変えていったという面白さも本作にはある。
トム・クルーズとキャメロン・ディアスの絶妙なコンビに対して焦点を当てており、FBIのような組織やスペインの犯罪組織は基本的にはオマケという構造となっている。
二人の最高のコンビネーションを堪能できたので、その方針自体は間違っていないが、FBIのような組織やスペインの組織にも、きちんと焦点を当てていたら、もっとスリリングな作品に仕上がったかもしれない。
難しい判断ではあるが、完全に置き去りにはしなくてもよいのではないか。