280.《ネタバレ》 先ほど観終わりました。
異邦人が突然祖国の内戦勃発で、パスポートを無慈悲に取り上げられ、空港内に放り出される。
言葉は通じず、寝る場所も無い、貰ったなけなしの食券は風で飛ばされ、捨てられる(笑)
そこで凹まずに主人公が空港サバイバルを開始する様は非常に滑稽
小ネタ、くすぐり満載に作られいて、この辺りはさすがに巧いです。
確かに空港警備の杓子定規さや傲慢さには腹が立ちますが
ビクター自身も、空港の椅子をぶっ壊して寝床にするわ
自販機からはジュースをガメるわ、壁は勝手に造作変えちまうわで
かなり好き勝手やっていたのも事実です。
ハゲの責任者も小才子然とした嫌な野郎ですが
従業員の行状や過去を知っていても、それとなく見逃していたりと
有る一面では柔軟性も持ち合わせている。
まあ、それを取引条件に使う所などは非常に官僚的でも有りますが
結局の所、仲間の協力などの無理押しで、ビクターが空港から出られてしまうくだりは
いかにも強引で、取って付けた様な感じが拭えませんでした。
また、ヒロインとのラブロマンスも極めて中途半端で、どうにも消化不良ですね。
見終わって思った事は、非常にスピルバーグらしからぬ作品だという事です。
彼の過去の作品はどれも一貫した方向性があり、それを追求して行く形で、物語が進行するのですが
この作品はアメリカにおける不法移民などの、マイノリティー迫害を描こうとしているのか?
それとも単に空港行政における傲慢さや、いい加減さ、弱者に対する軽視を描こうとしているのか?
はたまた、主人公の徒手空拳からの成り上がり物語と
ヒロインとのラブロマンスなのか???
実はそのどれもを主題として盛り込みつつも結局、1つも結論に至っていない気がするのです。
また、空港内(フードコートの店員、荷物仕分け、掃除夫)で働く人々が
実は過去アメリカにやって来た元移民であり、アメリカ社会における最下層に近い人々である事
それが為にビクターの行い(ヤギの薬の件)などに拍手喝采を送った事
この辺りが全然説明されてない、説明が成されて無いから方向性が希薄に成る。
だから作品自体も煮え切らないというか、ドッチ付かずに終っている様な気がします。
でも、空港の実態やサバイバルなどは珍しく、最後まで飽きずに観れました。
今回はちょっと甘めの7点にします(笑)