145.《ネタバレ》 前作と立て続けに観賞したのですが「バズ君、キャラ変わってない?」と、その事が真っ先に気になっちゃいましたね。
作中で一年経過しているので、思春期の盛りを迎えてより狡猾で気障っぽい性格になったとも考えられますが、主人公のケビンが殆ど変っていないように思えただけに、ちょっと違和感がありました。
とはいえ、そんな「前作と続けて観たからこその違和感」もあった一方で……
1:今度はケビンが置いてけぼりを食らわずに、無事に車に乗り込む。
2:バールをワイングラスの乾杯のようにぶつけ合う泥棒二人組。
3:既に通報した後なのに「警察を呼ぶよ」と挑発するケビン。
などの「前作を観ていればニヤリとする部分」も沢山あったりしたもんだから、やっぱり続けて観て正解だったなと、嬉しくなっちゃいましたね。
ビデオカメラやロケット花火などの小道具を「これ、後で使いますから」とばかりに、序盤にて分かり易く登場させている点も好印象。
たとえ舞台が豪邸から高級ホテルに変わったとしても「映画を観ながらアイスを頬張るシーン」は、しっかり用意されていた辺りも、自分としては大いに評価したいです。
また、前作には無かった本作独自の面白さもプラスされており、中でも空港での「ケビンはいない」という伝言ゲームの件なんかは、かなり好きですね。
カメラワークの巧みさと、大人数のキャストが揃っているからこその、映画的な面白さがある。
ニューヨークを一人で観光する楽しさも描かれていたし、高級リムジンでピザとコーラを味わう場面なんかも、凄く印象的。
中盤には「夜のニューヨークの怖さ」が伝わってくる場面も用意されており、観ているこっちまでケビンと同じように不安になり、ケビンが襲われたり攫われたりしないかと心配になってしまったんだから、この辺の「子供が主役だからこその緊迫感の出し方」は、やはり上手かったと思います。
前作のシャベルおじさん同様「主人公と心温まる交流をする大人」枠もしっかり用意されており、個人的には、その鳩おばさんとの会話シーンが本作の白眉だった気がしますね。
「ハートもローラースケートと同じ。仕舞い込んでいないで使わないと」の例え話には感心させられたし「人間っていうのは誰でも、自分を認めてもらいたいと願っている」というおばさんの言葉が、ラストにて家族の皆から認められるケビンというオチに繋がっている辺りも、凄く綺麗な流れでした。
一度は彼女と別れ「もう二度と会えないかも知れない」と言わせていたくせに、土壇場で彼女が助けてくれたり、最後に再び出会ったりと、二回もサプライズを与えてくれた点も良かったですね。
結果としては前回と同じような展開になった訳ですが、ここは(前回と同じ展開にはすまい)と観客に思わせる誘導の仕方が巧みで、見事に驚かされちゃいました。
シャベルおじさんと違って、鳩おばさんは武器を持ってないから助けてくれる場面が想像し難いってのも、良い煙幕になっていたんじゃないかと。
そんな中「子供病院に寄付する為のお金を盗もうとしたので、懲らしめる」っていう大義名分があるせいか、前作より罠の威力がアップしており、泥棒達が可哀想で笑うに笑えなかったって部分は、欠点だと感じてしまうのですが……
それよりも、長所の方がずっと多かったと思いますね。
前作はひたすら可愛いだけだったケビンが、ちょっと成長して男の子らしい恰好良さを身に付けている辺りなんかも、成長を見守る親のような気分になれて、嬉しくなっちゃう。
「第二次クリスマス大戦、開始」と宣言する姿には、少年兵士のような凛々しさすら漂っていた気がします。
「ニューヨークで一人ぼっち」な寂しさを味わったケビンだからこそ、同じように一人ぼっちな鳩おばさんと友達になれて「もう一人じゃないよ」と伝える事が出来た……
そんな素敵なハッピーエンドに至るまで、楽しい時間を過ごせました。