7.《ネタバレ》 おお、面白いやん!これでコナン映画で好きな作品が「摩天楼」「絶海」「ゼロ」と3作になりました。
話、人物相関および人物の立場と思惑がそれぞれ複雑なため、お子様には若干難しいかも。
構成がちゃんとしており、推理パートがキッチリあり、テーマ性があり、身内が巻き込まれ、安室が活躍し、ドローンや無人探査機の帰還や爆破テロやサイバーテロなどの現代要素が入れ込まれ、映画ならではの規模の事件、アクション、映像クオリティが相まって、飽きさせず目が離せない満足のいく作品でした。
本作は公安警察、公安検察がメインとなっており、公安警察側として安室が、公安検察側として日下部検事が対立軸として描かれる。そこに、本作のキーパーソンである橘弁護士、および羽場氏がそれぞれ公安警察、公安検察の「協力者」として重ね合わせられるわけだが、その描き方、構図が上手い。また、某「純黒」のように「あれ?安室さん別に登場させる必要無かったんじゃね?」ということがなく、安室さんもキッチリ事件に関わっている立場であることから、登場し、メインキャラクターとして活躍することに違和感がない。安室さん、こりゃあ確かに人気出そうだ。
前半の、事件発生→逮捕→送検→起訴→公判前までパートも、小五郎のおっちゃんが容疑をかけらていることから普通に面白い。安室とコナンを2人同時に立てようと思えば小五郎のおっちゃんの推理ショー展開にはできないから、映画の構成的に上手く要素を使ったと思える。また、逮捕→送検→起訴までのある程度具体的なやり方や警察庁警視庁検察庁それぞれの公安部の説明、公安警察と公安検察の実質的な上下関係、公安事件の特殊性まで、本当かどうかはともかくとして、個人的に興味があったし勉強にもなった。
推理パートをキッチリ終えてからの最終版の10分はアクションシーンタイム。まあコナン映画伝統のパートであり、いわばオマケだが、アクションシーンのクオリティも中々に高かった。映像技術の進化ってすごい。いつも通りキッチリ唐突に蘭が巻き込まれるわけだが、あくまでコナンと安室の視点を重視し、無理矢理展開な格闘シーンを入れ込むことも無かったため、好印象だった。
劇中に弁護士の勝率、的な話があったが、警察が容疑者を逮捕し、事件を警察から検察に送り(送検)、検察が「よっしゃ裁判するぜ!(起訴)」と判断する流れとなるため、つまるところ検察からすれば「有罪に決まってるやろ」という事件しか起訴しない、言い換えれば基本的に検察が自信ある事件しか裁判の場に出てこないわけだから、「90%は弁護士は負ける」というのは至極当然の話、っていう。弁護士の仕事は有罪を無罪にすることじゃなく、有罪は有罪なんだけど刑の重さを軽減すること、らしい。