670.《ネタバレ》 この映画で起きる色々なエピソードには「後悔」というキーワードがあてはまる。
それも、死のあとにも残るほどの後悔。
マルコムが成仏せずこの世に幽霊としてとどまったのも、仕事人間だったために妻との疎遠な関係を後悔していることや、
ヴィンセントを救えなかったこと(彼も幽霊が見えていた子供であったが、それをマルコムに理解してもらえないまま病気として解決とされてしまったことを苦に自殺してしまった)などが、彼の死後も心残りだったからである。
台所に出た傷だらけのおばさんは、夫のDVで苦しんで自殺したのだろう。
夫への恨みが消えないまま、こんな男と結婚してしまったことへの深い後悔が残っているのである。
毒殺された少女も、自分の死の真相を父親に知らせ、妹まで義理母に殺されかねない(お通夜で「妹さんも体悪いそうで」という会話から察し)のを阻止したかったが、それができないまま死んでしまった後悔があったから幽霊となってとどまっているのだ。
そんな中、後悔を心に残す霊と出会うたび、彼らの後悔を解決していくのがコール少年。
幽霊にとって、この世に残した人への思いを託せる頼れるメッセンジャーだ。
でもコール少年の一番の功績は、見知らぬ幽霊たちではない。
母親の母親(コール少年の祖母)のメッセンジャーとなり、祖母が母親に伝えられないまま死んであの世でずっと後悔していた思いを、母親に伝えたこと。
「ケンカしたあと、険悪な空気になってあなたは私がダンスの発表会には来ないと思ってたとおもうけど、実はちゃんとこっそり見に行っていたのよと伝えてほしい」
「お墓の前であなたが私にした質問した答えは、”YES”(「私を愛していた?」という質問だと察し)だと伝えてほしい」・・・
そうです、よくあることですよね、家族間で、心の中では思っていても言葉にして伝えていなくて、伝わっていないこと。
私はここで号泣した。
今思い出すだけで泣ける。。。。
私は鑑賞当時、中1の娘がいたが、この頃の娘は反抗的になりもするし、きまずい母娘関係になったりもする。
でも愛しているし、いつだって心配している。。。
それを娘はちゃんと分かっているだろうか?それをあらためて考えさせるシーンだった。
この場面が出てきたとき、背後でノンキにスマホをいじっていた娘に「私はあなたのことが大好きだよ」と泣きながら言ってしまった。
(娘は目がテン…)
あなたは、もし今亡くなってしまうとしたら、思い残すことはないか?
後悔することはないか?
思いを伝えるべき相手にきちんと思いを伝えられているか?
あらためて自問して、もしあれば、早めにそれをできるだけ解決していくといいのだと思う。
”今ある命、人生をいかに、大切にして生きていくか”
この「シックスセンス」はただのサスペンス・ホラーでもトリッキーなどんでん返し映画でもなく、
『今ある命、大切に生きてください』
という静かなメッセージが込められた、深い作品だと私は受けとめた。