146.《ネタバレ》 クルマには全く興味がないので、その辺り関してはほとんど熱くなれなかった。
しかし、カーアクションであり、犯罪モノでもあるが、どこか青春映画っぽい仕上りにもなっている点に対して興味をもてた。
後半の強盗失敗辺りからややバランスはおかしくなるが、全体的にリアリティのようなものや人間味のあるところが感じられる。
クルマに懸ける熱い想いを通して、“友情”“師弟愛”“愛情”のようなものが育まれていっているからではないか。
ブライアンに対して、自分の父親について語るドミニクの姿には彼に対する信頼感のようなものも感じられる。
また、成果はほとんど上げる事はできなかったが、おとり捜査という微妙な立場が面白い効果として機能もしている。
ドミニクが強盗に固執し、中国人の暴走する辺りから、普通のハリウッドアクションのテイストになっていくが、その辺りも楽しめないわけではない。
ラストにも一工夫が施されているように感じられる。
ブライアンとドミニクのラストのカーバトルに関しては、ドミニクのクルマの調子が悪くなってきたことから、ドミニクは踏み切りの手前でブレーキを踏んでトンズラをかますのではないかと思っていたが、二人ともアクセル全開でかっ飛ばすのは少々意外だった。
この辺りもどこか青春映画っぽく感じられるところだ。
ドミニクは、少しは狡猾なところがあると思ったが、ただのバカなのかもしれない。
確かに、クルマを置いて歩いて逃走しようとする辺りや、計画が狂っても自分のプランに固執する辺りから、そういう雰囲気を醸し出してはいた。
しかし、警察官と分かった相手でも逃げることなく、“自分”を貫く辺りはただのバカを通り越した、男として魅力のあるバカにもうつる。
そのようなドミニクを逃がすことによって、存在感が薄かったブライアンも印象が向上した。
「どっちの側につくのかはっきりしろ!」と自分の上司から言われていたが、ドミニクを逮捕してFBIサイドに付くこともなく、ドミニクと一緒に逃亡してドミニクサイドに付くこともなく、彼もまた“自分”を貫いたようにも感じられる。
彼らはいずれもスマートなキャラクターではなかったが、どこか憎むこともできないキャラクターとして形成されていたので、その辺りを評価したいところだ。