189.クリント・イーストウッドを見る映画。 私は特別彼が好きなわけでは無いが、あまりの渋さにため息が出た。 ストーリーは格別良いというクオリティでは無いかもしれない。 撮り方も巧いというわけでも無い気がする。 ただ、この世を去っていく愛すべき男の哀愁が漂う。 【タックスマン4】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-08-12 12:59:47) |
188.《ネタバレ》 まず最初に書いておきたいのですが、タオの家が襲われて以降のあの一連の物語の流れ、あれに関しては僕は釈然としない思いを拭い去れません。僕自身は、「死をもってささげる好意よりも生きたままで持ち続ける交流の方が守りにくく、それだけに一層そちらの方が尊い」と感じるからです。それに普通に考えても、「復讐よりはまずは『警察に通報』だろう」と考えてしまいます。ましてや映画の中盤まで、あれだけ「掛け替えのない」交流を深めてきたウォルトとモン族(とりわけタオ)との「関係」があるのだし、たとえウォルトが病気で死にかけていたとしても(もしかしたらそれゆえ先が長くないだけ余計に)、残された時間における彼らとの「関係」は一層貴重なものになるのではないかと思ってしまうのです。 また、「『あいつら』がいる限りタオとスーには平和は訪れない」といった内容のウォルトのセリフがあり、そのセリフの意味に乗っかった上でのあのラストの展開がやってきますが、僕はあれも結局は対症療法でしかなく、厳しい(そして身勝手な)言い方になってしまいますがそれは最終的にはタオ自身の問題の解決になっていないのではないかと思うのです。劇中のタオ自身には、劇が進むにつれて「たくましさ」の感触が少しずつ感じられてくるのですが、それを差し引いてもなお、「『あいつら』みたいな『やつら』がゴロゴロいるこの世界にあって、あんな解決ではタオ自身が、この先自分の力だけで新たな『あいつら』に対処していけるかわからない」という気持ちが残ってしまいます。 ・・・と、ここまで不平みたいなものを述べては来たのですが、しかしそれにも関わらず、僕はこの映画が大変好きになってしまいました(今回レンタルで見たのが初見です)。それは何を置いても、劇中でのウォルトとモン族、そして言うまでもなくタオとの交流が非常に心温まるものに感じられたからです。同胞であるモン族のギャングたちは「一人前になるための儀式」としてタオにグラントリノを盗ませようとしますが、本当に「一人前」になるためのきっかけを与えてくれたのは、そのグラントリノの持ち主である異人種の老人であり、また血を分けた家族の中で寒々とした思いを味わい続けてきたウォルトの心を再び暖めたのは、やはり異人種の人々であり、とりわけ一人の少年の存在でした。 僕自身は以上の理由から、単純に彼ら二人を「精神的境遇の似た者同士」と見ていたような気がします。そしてそんな潜在的な「似た者同士」を、全くの異人種間でお互いが見出したことが、僕にはとても印象的でした。 また上記僕の不満めいた感想にもかかわらず、例えばラストのあのウォルトの遺言状の口ぶりが、相変わらず辛辣な皮肉屋っぽい響きを失っていなかった点などによって、何だかんだ言ってそういうご都合主義的なように見えるところまで「これは映画だ」と割り切らせる気持ちにもさせます。そしてその結果、映画を観終わった後に残るのは、僕にとって一番印象深かった「老人と少年の交流、そして双方の成長」という大変優しい、そして力強い光景なのです。 【マーチェンカ】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-08-11 23:47:12) (良:3票) |
187.典型的なるアメリカ正義。 勿論鼻につくところは一杯有るけど それを補ってあまりある、ラスト。 我知らず、涙しました。 【leo】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-08-07 21:48:23) |
★186.《ネタバレ》 ハートフルストーリが次第にシリアスなり、いったいどんな落ちが待っているのか期待しながら観ていると、爺さんが命と引き換えに事件を解決... そう来たかーといった感じでした。やっぱり、クリントイーストウッドの映画と覚悟して観るべきでした。
ファーストインプレッションは、 古き良きアメリカの強さと正義を愛し、現代の軟弱アメリカ人どもを 憂う爺さんことクリントイーストウッドから若い世代への 「若者よ常に正義であれ強くあれ」といったメッセージと受け止め、いい映画のような感じがし、目頭さえ熱くなる思いでした。多分自分がアメリカの片田舎の白人だったらこの時点で感動して終わるとこなのでしょう。
しかし、同じアジア人の私としては、アジア人の同じ民族の中の争い(なおか親戚をレイプ)ってところが、どーしても引っかかって納得できなかった。 なぜアジア人同士の争いという設定なのか? 朝鮮戦争退役軍人という老人の設定との関係は何なのか? 主人公の爺さんがアジア人に殺されて死ぬ必然性はあるのか? などと考えていくと、 この映画が、”朝鮮戦争ではアジア人同士の争いを、武器でアジア人を殺すことで救った白人老人が、 今度は、アジア人同士の争いを、アジア人に殺されて死ぬことで、武器無しで救ったという構図になっていることに気づき、 結局のところ、この映画が言いたかったことは、 朝鮮戦争と同様に、争いごとを起こすのはいつだって有色人種ということなのか? 有色人種は、親戚の女の子をレイプする鬼畜か?正義と平和を守るのは白てことなのか???? ...とこの映画の印象がまったく変わってしまって、だんだん腹が立ってきました。
上記の考えは、自分が考えすぎかもしれないし、 グラン・トリノをもらった少年は喜んでいたし、少女が救われたことは良かったし、 何より、クリントイーストウッド爺さんがかっこよかったし、 もうクリントイーストウッドは出てこないらしいのであんまり悪く解釈せずに、 いいところもあったので、5点ってことにしておきます。
この映画のチンピラの設定がもし老人と同じポーランド系白人移民(さらにクリスチャン)で、 このポーランド系白人がアジア人をレイプし、無宗教の老人が体をはって救い命を落とすといったストーリーだったら、10点満点だったんですけどね。 【うどん】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-08-07 12:43:52) |
185.子供が巣立って、嫁さんが先に逝ってしまう。 で、その後、男やもめはどう生きるべきか? そういうテーマと解釈した。 ストーリー的には安直だけど、演出が丁寧。 偏屈頑固ジジイが、だんだんと愛すべき直球老人に見えてくる。 日本人じゃ銃は持ってないし、車も多分早々に手放すだろうから、この映画の真似はできないけど、こういう生き方もいいなあ、と思えた。 【まかだ】さん [DVD(吹替)] 7点(2010-07-25 23:44:39) |
184.《ネタバレ》 悪ガキどもが銃で乱射する街って、怖~っ! 爺さんは自分がしてきた罪を償うためにも、ふさわしい死に様を探していたのかな? そういう意味では、のたれ死ぬ前に命をかけて守りたい友が出来て幸せだったのかもしれない。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-21 23:00:36) |
183.友情に年齢は関係ない。 かっこよすぎる映画。 イーストウッド最高作品といっても過言ではない。 【kure】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-07-18 09:32:10) |
182.禁酒&禁煙中に本作を観るのは辛い。爺さんが美味そうにビール飲むからなー 【くまさん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2010-07-12 23:50:12) (笑:1票) |
181.《ネタバレ》 知らなかった。クリント・イーストウッドの引退作だったんですか…晩年の彼の作品は特に好きなので残念でなりません。 ラストでタオたち家族を救ったウォルトはあまりにカッコよすぎる。もちろん悲しく喪失感もありますが、彼ら家族のためにという覚悟の選択が男ですね。タオの成長、そして彼ら家族の温もりを肌で感じたからからこそ なのです。ほんと良い作品! 【ライトニングボルト】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-06-02 01:06:52) |
180.《ネタバレ》 自分が年をとったらあんな頑固じじいになるんだろうな、と思いながら見てました。死とは何なのか、人生の最期をいかに迎えるか、をしみじみと考えてしまいました。しかし最後、イーストウッドが大立ち回りをしたらな~とか思ったり。 【ほかろん】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-05-30 14:04:37) (良:1票) |
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179.《ネタバレ》 イーストウッドの作品はこれまであまり好きではなかったけど、この作品は、ほんとうに凄い作品だと思いました。・・・・主要なテーマは、人生を終えるに際しての赦しのこと、遺すもの。・・・・赦し、贖罪の問題は、非キリスト教徒である私たちにはわかりにくいのですが、イーストウッドは、朝鮮戦争での自分の行為について、どうしたら赦され解放されるのかをずっと悩んできているわけです。彼が問うているのは、教会で制度を通じて与えられる形式的な赦しではなく、真の赦し。・・・・それは最後に果たされました。このシーンは、十字架上のイエスとイーストウッドが重なり合います。・・・・・遺したのはグラントリノ。そしてそれは家族の枠を越え、自分の意思を継ぎうるものに渡されます。・・・・・・それにしても指で拳銃を模すシーンが何度も登場します。イーストウッドが何本も撮ってきた西部劇の数々のシーンを想起させると同時に、この映画の最後のシーンの伏線にもなっています。なんという重層性でしょうか。・・・・・あと何十年か経過したら、ミスティックリバーの方が高い評価を受けているかもしれませんが、イーストウッドの作品を同時代のものとして見てきた私たちにとっては、この作品こそ、彼の最高傑作だろうと思えのるです。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-05-26 21:56:26) |
178.なかなか面白かったです。テンポがいいし、判りやすい。ただ、人間の良いところよりもどうしようもないところばかり印象に残りました。それにしても、イーストウッドは渋いですな。不器用だけど男っぽい元軍人を見事に演じてました。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-21 22:05:30) |
177.《ネタバレ》 安易な気がするなぁ。ストーリーもだけど、とにかく人物が皆あまりにも類型的だし、その人物たちに三流以下の脚本家でもやらないようなセリフを言わせちゃうし。ストーリーが安易なのは別に構わないと思う、というか、むしろ分かりやすいのはいいことだと思う。でもなぁ・・・。差別主義者の偏屈ジジィ→差別対象のイエロー軟弱青年と出会う→あるきっかけで二人は心通わせるようになり→差別していた者のために命を差し出す、これは究極の「変化」の物語で、脚本書きのABCとして最初に習うんだよね、「主人公を変化させよ」って。それを海千山千のイーストウッドにあからさまにやられてもドン引きというか、「そんなぁ、、、」って感じ。切ないのよ、こんなあんまりな原点回帰見せられちゃって。それに、自らの命を差し出しても、結局、それじゃぁ根本的な解決になってないじゃんか、ってことも不満かな。究極の自己満足、っていうか。人生なんて所詮自己満足に終始するものなんだから、それでもいいじゃないか、とも思うけれども、なんかね。朝鮮戦争のエピソードをもっともらしく盛り込むあたりもなんかヤだ。やっぱり、監督イーストウッドは好きになれないのかなあ。俳優としては、掛け値なしに愛しているのに。もちろん、ウォルトを演ずるイーストウッドはイイ俳優でした。もう本作で俳優イーストウッドと今生の別れなのかと思うと、それも哀しいし。あ、でも、ラストシーンの渋い歌は沁みました。・・・うーん、イロイロ複雑。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-05-17 22:23:56) |
176.この作品を最後に俳優引退するらしいイーストウッド。今まで数多くの良作を手がけてきた事は承知の上ですが、これは一番と言える素晴らしい出来だと思います。高齢にて辞めるのは仕方のないことかもしれませんがいい役者で惜しい限りです。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-16 22:19:05) |
175.《ネタバレ》 頑固で有色人種に対して人種差別的な発言もするじいさんが、東洋人の隣人のトラブルに巻き込まれていくうちに、隣人のために行動するようになる様子がとても自然に描かれている。 愛車のグラン・トリノを眺めながら満足そうにビールを飲む姿、庭でタオのデートにグラン・トリノを貸す約束をするところ、イタリア人の床屋のところに男修行に行くところなどいいシーンがいろいろありました。 タオがもっと魅力的な青年に描かれていたらより説得力があったと思います。 【かずろう】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-05-16 21:30:16) |
174.古き良きアメリカの象徴としてのグラン・トリノ、そしてウォルトもまた古き良き時代のアメリカ人なのだと思う。すごくシンプルな物語、けれど頑固じいさんの生き様を描いた感動作という感じはしませんでした。「とにかく伝えたい」こんなことを感じた。 「ミスティック・リバー」でのデイヴも「チェンジリング」でも守られなかった子供を描いている、しかし本作では最優先に守り教え、信頼関係を築く。 幼い子供、未熟な若者を守り教え、導くこと、それが未来への希望に繋がるというメッセージを感じる。 イーストウッドは神に祈り、赦しを請い、希望をもらうことに期待も意義も持っていないのでしょう、人間の業を受け止め、人間の可能性を信じる人なのかなと。 時代は変わっても変わらない、変えてはいけないものと変えなくてはいけないものを見せられた思いです。床屋と建築現場監督との関係、隣人との交流の行程、男同士のコミュニケーションから女のくどき方も教える、良かったですねぇ。ユーモアを絡めた演出は余裕があり、安心して観ていられる。さすがです。 グラン・トリノはモン族のタオに受け継がれ、白人至上主義のアウトローは消えた。 コレは今までライフルやらマグナムやら撃ちまくり、数々のアウトローを演じたイーストウッドのひとつの結論としての意味もあるのでしょうか、そして「ミスティック・リバー」で描いた怒りと暴力の連鎖も終わらせた。 80歳になるというのにこんなことをやってのけるクリント・イーストウッド、本当に頭の柔らかい人格者、生涯現役、素晴らしい。エンドロールが始まってからなぜかポロポロ泣けた。 【envy】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-05-16 13:38:37) (良:1票) |
173.《ネタバレ》 隣人や実の子供、孫にまでも心を開かない老人が少しずつ心を開いていくさまが実に良く表現されていたと思います。 大笑いするわけでもなく、涙ポロポロではありませんが、観終わった後になんとも言えない感じになりました。 このウォルトを見ていると自分の父親のようで(ここまでヒドくありませんが…)それが影響していたのでしょうね。 良い作品だったと思います。 【かずまる】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-05-12 17:57:00) |
172.《ネタバレ》 「押し寄せる感動の嵐!」「さぁ泣け!」と言う展開を予想していたが、良い意味で裏切られた。 しみじみとした余韻に浸れるが、クリント・イーストウッド初見の人なら拍子抜けしてしまうのでは? と思える程にあっさりとした終わり方。 他レビュアー諸氏が記載されている様に、やはり本作は過去のイーストウッド作品を一通り鑑賞し、自分なりに一連の作品群・作風に意見を持つ人の為の作品で有り、言い換えるなら『俳優(ここ重要です)』クリント・イーストウッドから永年のファン達に向けての「贈り物」的な作品なのだと思う。 8点以上は差し上げたいのだが、あくまでも個人的な映画観賞基準として、物語に起伏を与える為に「バイク事故が原因で主要人物が死んでしまう」・「主要な女性登場人物がレイプされてしまう」作品は個人的に認めない主義なので、敢えて5点と致します。 【たくわん】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-05-10 18:04:49) |
171.こんなに笑えた作品は久し振りかも知れない。 頑固じいさんと愉快な隣人たちの異文化交流だけで終わってくれたら最高だったんだけど、アメリカはそんなに甘い国じゃないようですね。 これが日本なら人情喜劇ということで丸く収まるはずなんですけど、こんなハードボイルドな結末でしか解決できなかったというのが物悲しいです。 あと、どうでもいいことだけど、トヨタ車に字幕を入れるセンスの無さには脱帽です。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-05-07 12:12:33) |
170.《ネタバレ》 人種差別は個人的な偏見の集団意識でもあると思います。 時に、国民感情の平均値にもなりうるのかな。 特に主人公のような世代には固定観念でもありますよね。 それまで意固地だったが、妻を失ったことによって外柔内剛に変わろうとした様子をよく描いていたと思います。 イーストウッドは銃社会の映画から脱却を果たしたいのではないでしょうか? その先鋒作品を選んで来たではないですか。 ウェスタン、ダーティーハリー。 即決のエンディングで僕は良かったと思います。 あれは「美的完成」そのものですよね。 「美的完成」・・・・ 要するに「自殺」ですよ。 「懺悔」はキーワードでもありますよね。 観終わって、「あぁ、よう解った」と思いました。 映画はこうでなければいけないのではないでしょうか。 【白狼】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-05-04 22:05:14) |