351.《ネタバレ》 初見時は18歳(若っ!!)だった私も、気がつけば、二度目の観賞は10年という月日が経ちました。
当時の私には、自堕落な私生活・私性活を送るブリジットに、まったく共感することが出来ませんでした。
10年経った今でも、自堕落かつ直情的な彼女に共感することは、確かに難しいです。
しかし、この年齢になったからなのでしょうか、今の私は、ブリジットの心情を理解することは出来ました。
孤独な夜の物哀しさ、変わらぬ日常の安心感と欠乏感、周囲との環境差による軋轢。
「年齢がすべてではない」と分かりつつ、言い聞かせつつも、生理的・本能的に感じてしまう「限界=女としての価値」。
昔、誰かが言いました、「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」と。
これほど本作に調和する言葉は、他にありましょうか?
「妙齢」「女性としての価値」など気にもしなかった若かりしあの頃とは違い、いつの間にか様々な形で「自分自身」に気づかされるのです。
増えていくのは、歳の数と、無駄な経験と、ため息の数と、体重ばかり…という現実に。
しかし、ブリジットはそんな輩にも笑顔を向けて受け流します。
哂われ、どやされ、蔑まれても、ブリジットは本心を顕にはせず、笑って、時にはシニカルさも持ちつつその場をやり過ごします。
彼女が自分自身を受け容れているのだ…ということに判った瞬間でした。
強さでもあり、優しさでもある。
そんなブリジットの長所に惹かれる男性がいるのは、頷けます。
ただ、あんなイケメンや高スペックの男性がブリジットのような女性を好むのは、現実ではかなり確率が低いとは思いますが。
本作は完全にターゲットが絞られており、決して万人向けではない作品です。
その点は大きく採点に加味されたため、この点数と致しました。
『妙齢』に達し、経験だけが増えてしまい、かつては感じ得なかった孤独、苦しみ、焦りに苛まれた女性たちを慰む為に創られた作品…と言っても過言はないでしょう。
「自己憐憫」「自己陶酔」「現実逃避」という効能を有した本作は、心の処方箋そのもの。
人によっては過剰摂取が癖になり、薬物中毒に陥るほどの危険性も孕んでいるかもしれませんので、用法用量にはお気をつけ下さいませ…