31.《ネタバレ》 「まあまあやな」が見終わった時点で出た言葉。
シン・ゴジラの時は自身の設定したハードル(観る前は全く期待していなかったのでハードルは非常に低かった)を大幅に超えてきた感動を受けて、10点を献上していた。
本作はそうした自分の中で爆上がりしてしまった庵野秀明という男の作品という、高くなってしまったハードルを超えられるかが焦点に合った。
ギリギリ何とか超えたものの、ハードルを大幅に超える感動は無かったなぁというのが正直なところです。
まあ勝手にハードルを上げておいて「なんか物足りないなぁ」というのもなんなんだという話ではありますが。
で、一緒に見に行った庵野オタクの知り合い的には「爽快感が足りなかった」という感想だった。
個人的にも同意見。物足りなさはこれが原因かなと思う。
カイジュウが大量に出てくる前半の勢いは非常に良かった。特にゴメスは、ウルトラQ知らなかったけど元々ゴジラモチーフの怪獣なんですね。シン・ゴジラのパロディをやったと思って思わずニヤリとしましたが、原作からそんな怪獣だったとは。面白いなぁ。
ただ外星人、特にメフィラス星人とのバトルが最後にスカっと終わらなかった、ゼットンとのバトルもなんかシン・ゴジラの時と同じくなんか気づいたら解決策がポっと出てきて、あっさり実行して異次元送りという、最後にスカっとするシーンが少なかった。
ウルトラマンで一番のスカっとポイントであるスペシウム光線での止めが1回きりってのもスカっとポイントが足りない要素かなぁ。
そしてカイジュウ達に不満だったのが、「昭和恐竜がモチーフの直立二足歩行(日本ゴジラの立ち方)の怪獣との対決」が無かったことかな。
ゴモラやレッドキングといったタイプね。一時的に立ち上がっている場面はあるけど。
あと、バルタン星人は出ないんだーとか思ってました。まあ尺の都合上難しいけど。
外星人が出てきてからは胡散臭い奴らが色々暗躍してて、そこの場面は楽しかった。
特にメフィラスなんか、「こいつ絶対性格悪いやろ」とめっちゃニヤニヤしながらみてた。
巨大化した長澤まさみの映像の粗さに「昭和特撮」の臭いをめっちゃ感じましたね。
で、肝心のメフィラス星人とのバトルはシンエヴァで笑ってしまった。メフィラス星人、痩せたなぁ~
さて、巷で話題に挙がっている「セクハラ表現」ですが、個人的には特に気にならなかった。
というか、劇中でもメフィラス星人が「下劣な・・・」とか「変態」と罵っていて、巨大長澤まさみの時の動画の話はこういう時に必ずやるであろう人間の本性を表現したものだし、臭いやケツ叩きの話については元ネタなのではないかといわれている「働きマン」のおっさんくさい女性主人公行動や「風呂入っていない」ネタをパロディとして取り入れた物であり、こちらもメフィラス星人がツッコミを入れているので、こちらも「わかってて」やってるネタである。
本作は序盤からパロディ要素が非常に強いので、生真面目一辺倒だったシン・ゴジラに比べると、真面目な顔してギャグやってる演出が狙って入れられており、これらの表現もその手の一環だと思われる。
みんながみんな「ポリコレ」のために原作設定の破壊を行ったエターナルズ(俺は好きだよ?)に右に倣えというのもどうかと思う。
そういう感覚はもちつつもあえてやってるネタであることはメフィラス星人が入れているツッコミを入れればわかるし、「100%間違った表現である」と一方的に決めつけるのはどうかなとは思うね。
フィクション作品に現実の感性が全てで評価するのはどうかとは思う。
合わないものは合わない、それはしょうがない。それでいいんでないかね?
これはこれ、それはそれ、で楽しめる感性を僕は持って生きたいと思います。
ただ、本作は海外ではウケないだろうなぁと思いながら見てました(稀にいる日本特撮オタクを除く)。上記の表現の件もありますが、ドケチな東宝からたいして予算がもらえなかったのでそれを逆手に取った「昭和特撮」感満載な特撮が、今の大予算で作られる映画に慣れてしまった海外勢にはチープに映ってしまうのでは・・・と思う。ソフビ人形の形のウルトラマンがグルグル回る昭和ウルトラマンの演出をそのまんま使ったシーンなどは、海外勢にその面白さがわかるかなぁ?
あと、ウルトラマンが好きだった人がニヤっとするシーンがめちゃくちゃ多いので、海外勢がどれだけ初代ウルトラマンに精通してるかどうか・・・
まあそこはどうなるか、楽しみにしてましょう
とまあ色々話題性に富んだ本作でしたが、まあまあ楽しめたし、もう一度見ても良いかなと思わされるぐらいには楽しかったです。
2回目みると印象変わるかな~?