1.《ネタバレ》 俳優自身が料理を実演するショットと、プロの手さばきと食材の質感を見せるアップショット。
それぞれを適切に組み合わせて違和感の無い調理シーンが出来上がっている。
が、二宮和也の包丁さばきより、綾野剛のチャーハン炒めの方がアクションとして
断然映画映えしてしまっているのが少し悲しい。
体型の問題なのか、姿勢の問題なのか、そもそも二宮は立ち姿が貧相で映画の被写体として
まるでサマになっていないようなのだが。
夕陽の満州鉄道を遠望しながら西島ら四人が語り合うショットの、レトロ調の画面の哀切。
燃やされるレシピと、その炎の照り返しを受ける西島の凛とした表情。
その赤く照り返される表情のイメージが、娘から孫へと受け継がれる。
育ての父の遺影を前にカツサンドをほおばる二宮に涙でも流させたら最悪だったが
そこでギリギリで踏みとどまったのはさすが。
そしてレシピに添えられたモノクロ写真の数々。癪だが、やはり写真というものには泣かされる。