33.《ネタバレ》 ちょっとピンと来ませんでした。このテの家族の歴史を描いた物語はとても文学には敵わないとは言え、もう少しこの家族に愛着を抱くような描き方であっても良かったのではないかなと思います。アメリカンナイズされた監督の、短いカットでどんどん繋いでゆくやり方がこの題材に合うようには思えないのですよね。ひたすら騒がしく忙しい人々の映画に映り、肝心のそれぞれの顔が今一つハッキリ見えてきません。終わってみれば役所広司、樹木希林、宮﨑あおいの三人の存在感ばかりが浮かび上がり、一方で南果歩やキムラ緑子など、それなりに重要な役割を担っていた筈の人々の顔がトンと浮かんできません。実は長女夫婦こそが最も大変な訳ですが、その苦労が最期を告げる電話のシーンのみに集約されている感じなのは、ちょっとねぇ。でも、実体験と重ねて思う事はいっぱいあって。私の母はまだ私が10代の頃、今の私よりも若くして亡くなりましたが、父は二年前に他界し、その時にこれで次はやっと自分の番だと感じた、その同じ思いが描かれていて。この映画では大家族に囲まれて恵まれた人生の終わりの日々を送る訳ですが、今の時代にはなかなかそうは行かず、私は障害を抱え認知症が進んだ父を一人で介護、その上で怠惰なケアマネと無神経な病院の対立の狭間で悩まされ、離れた家族は協力どころかジャマをしにやってくるという生き地獄を体験しておりました。きっちり親を看取るという難題、今、家族というものの在り方を再考すべきだと、ただ「母の愛に感動しました」のみでは終わらない、観客が抱く現実問題との対峙を喚起させる側面もある作品だったと思います。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-05-04 15:41:59) (良:3票) |
32.主演の3人のキャスティングが決まった段階で制作者が安心してしまい、その後の創造や表現を止めてしまったのがまる分かり。その3人以外の扱いの雑さ、1つ1つのシーンの妙な軽さなんかにも、そういったスタートの低さがもろに表れています。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2014-05-16 01:21:02) (良:2票) |
31.《ネタバレ》 感動した。主人公の役所広司、その母親の樹木希林、素晴らしいキャストだった。 父親の死を境に徐々に痴呆の症状が顕在化していく母親の姿。その演技は、あまりにも自然で、人間味あふれていて、多くの人が自らの歴史の中の自分の祖母、或いは母親の姿を思い出したのではないだろうか。『歩いても 歩いても』でもそうだったけど、自然体で人間の凄味のようなものを醸し出せる樹木希林の姿は本当にすごい。それは悪意とか善意とかに区別できない、単純ではない、人間の得体の知れなさの断片であり、言葉の網の目から零れ落ちて、言い澱んだり、躊躇ったり、言い間違えたりしつつ出てくる感情でもある。人間の自然って本来そういうものなのだな。 主人公が子供の頃に書いた詩を思い出すシーン。何故、自分が湯河原に残されたのか。母親が夜中に誰を探していたのか。彼は全てを理解し、母親を赦す。そして涙を流す。しかし、主人公が母親に捨てられたという意識こそが彼の文学的源泉だったということも確かなのだ。夏目漱石も「母親に捨てられた子供」だった。愛情に対するある種の不幸な思い、その傷は、文学性を養う。 沼津の海のシーンもよかった。お互いがお互いを理解し赦しあうこと。何と感動的なことだろうか。母親を背負う主人公。その名前を呟く母親。とても幸福なシーンに涙が溢れた。 【onomichi】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-05-05 11:48:36) (良:1票) |
30.小津あたりの日本映画に挑もうという志の高さはうかがえるんだけど 問題は二つあって、役所広司と樹木希林の親子に無理があることと編集が雑なところ。 【michell】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2023-01-20 21:58:17) |
29.《ネタバレ》 母親が80歳、物忘れが出だした頃から、89歳で亡くなるまでを描いている。 観ているとどうしても自分の母親(まだまだ元気だけど)と重ねてしまって、これから先、いつ起きるかしれない認知症と、私だったらどう向き合うかとか、ついついそんなコトを考えながら観てしまった。 樹木希林の演技とは思えない熱演がスゴい。洪作の家から自分の家に帰ろうと暴れる怒ったような困ったような顔。懐中電灯を手に徘徊する真剣な顔。息子の書いた『おかあさんと渡る海峡』を詠むときの遠くを見つめる目。 自分のことを息子だと理解してくれない母親に、あくまで優しく接する洪作が、ずっと抱えてた心の引っかかり。捨てられたと思いこんでた過去をぶつけるシーン。育ての母を悪くしか言わない八重に「息子を置き去りにしたんですよね」と、涙を浮かべて問い詰めるシーンがヒリヒリと痛々しい。ここから先は大泣きしてしまう。 奥さんからアッサリと母の秘密が話されるのも、洪作の人(自分の家族)の話を聞かない性格が出てたと思う。空回りといえば空回りだけど、受け入れるのに必要な時間というのも、あったのかもしれない。 昭和な空気も気持ちよくて、誕生会で泊まるホテルの案内板。八重さんが徘徊する食堂の麻雀卓も懐かしさを感じる。夜中の居間に浴衣姿の家族がみんな集まってる画も、なんか良い。 最初まだ学生だった琴子の成長を描くことで、ゆっくりとしていて、それでいて確実に過ぎていく、9年という時間の表し方も上手い。 【K&K】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-11-26 01:38:57) |
28.勘弁してよ、もう。のっけから軽くてつまらない話が続いてウンザリ。 「東京タワー おとんと〜」といい、なんで樹木希林の出てくる映画は安っぽいんだろう。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2021-09-29 06:00:46) |
27.14年間の家族の物語を描いてるわけだけど、出演者がそれぞれに歳を重ねていくのが凄いね。 違和感が全く無かったので、同じ時間を共に過ごしたような感覚だった。 落ち着きのある作風で、物語に起伏がないので、泣けそうで泣けない。 このまま盛り上がらずに終わるのかなと思ったら、最後の最後でキムラ緑子の力技に屈して泣かされました。 あと、真野恵里菜に対する南果歩のツッコミは笑った。 スピンオフでわが貞代の記というコメディ作品を作ってもらいたい。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-02-04 12:51:03) |
26.《ネタバレ》 よかった〜〜! 映画ファンの方にオススメ!といわれたんですけど、よかった〜!(教えてくれてありがと〜) 見終えたあとの、満足感、そして余韻。久しぶりに邦画をみた〜って感じにさせてくれました! 樹木希林の演技がすさまじくて、もう引き込まれました!あっぱれです!脱帽です! (ほんとに、フジカラーのcmしてた樹木希林と同一人物でしょうか?) 役所こうじ、宮崎あおい、キムラ緑子 キャスト全員がよかったですけど、この作品では、樹木希林が圧倒的です! 一番胸にぐっときたところは、八重(樹木希林)が、息子の洪作(役所広司)に もうぼけてしまって、息子のこともわからなくなってるけど、 洪作が小さいころに書いた、小説を大事にとっておいて、ぼけてもそれだけは、覚えてるところ。 もう、涙がでそうになりました。 そして、八重が、洪作をのこして、台湾にいった理由が明かされたときも、胸が苦しかったです。 洪作は、八重に捨てられたと恨んでましたが、本当は、捨てられたんじゃない。愛されていたんだと思っていたんでは ないかとも思いました。 物語のはじめに、八重が、洪作にお守りのようなものを渡し、それを肌身離さず大人になってもみにつけてたんだから・・・ 【へまち】さん [DVD(邦画)] 9点(2017-08-05 23:02:42) |
25.《ネタバレ》 もうタイトルからしてね、やられるって思ってたんだけど、最後はもう堪えちゃったなぁ・・。冒頭では、最近こういう上流階級の話の映画って観ないなぁと感じてて、ちょっと距離を置いてた。でも「細雪」かなぁなんて思ってたんだけど、途中から「ペコロス」を交えつつ、母の愛の映画になっていく過程で、もうこの家族が大好きになっちゃって・・。確かに修羅場が少ないので、作りものではあるんだけど、それでも最後はやられたなぁ。「処女の泉」が3年で3人ボーイフレンドつくっちゃうとこは、プッと笑えたよ。原田監督は、若いうちにえらく評価されちゃったけど、浮足立つことなく、着実に実力つけてるね。こういう人がいると、まだ安心だね、日本映画界も・・。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2016-06-18 19:23:31) |
24.間違いなく樹木希林さんの代表作でしょう。圧巻でした。それ以外は映像が良かった。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-04-29 22:07:31) |
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23.《ネタバレ》 井上靖については殆ど何も知らないのと、認知症介護の体験もないので、多少バックボーンが弱いのですが、母息子に留まらず家族の物語としてテンコ盛で消化不良になりそうなぐらい(さすがに作中に『東京物語』を引用するのはやりすぎかと)。作家というのはもっと頑固で偏屈なハズだし、家族も善人ばかりなので、この辺は映画化でかなり美化されてるのかな?という気もしましたが、名家でかつ経済的余裕のある上流階級ってホンキの善人が多かったりもするので、原作未読だし、どこまでホントなのかはわかりません。母息子の物語は総じてマザコン系になりやすいのでその点を懸念していましたが、幼少期からの確執や姥捨て山もベースにもあり、安易なマザコン話にならなかったのは自分の家族を題材に小説を書く作家の冷徹な視線が寄与したのかなと。長いスパンでの家族の成長と共に相互理解していく脚本はキレイに収斂していくし、各役者はそれを上手く演じていたと思います(特に宮崎あおいはスバラシイ)。古きよき昭和の大家族でしかも金持ちの話で現代ではリアリティーがなく感情移入し難い所はありますが、実話がベースになっているのでそういうモノとして見るしかないのかと。 |
22.映画の雰囲気はとても良い。俳優や登場人物も合っていてストーリーはともかく、引き込まれる。 作品自体は、結局何だったんだろうというぐらいの平坦さなので、評価が難しい作品。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-03-28 21:52:47) |
21.なかなかいい映画だと思いますが、私小説の原作だからなのか自己中心的で自己満足気味のストーリーに共感度も今一でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-09-28 17:48:55) |
20.この映画を見たのはあくまで宮﨑あおい目当てで、その点では十分以上堪能できた。(つか、題材でずっと敬遠していたのを後悔した。実は少年メリケンサック以降、彼女の映画を封切りで見に行かなかったのはこれだけなので) 冒頭の中学生役はちょっとと思ったが、さすが万年少女ほとんど違和感なく、その後の20代後半の大人びた綺麗な様子までどのシーンでも十分以上に彼女の魅力を堪能できた。 ストーリー的には井上靖さん、ほとんど読んだことないんだけど実は「北の海」だけは愛読書で何十回も繰り返して読んでるので、伊豆での義曾祖母との生活、父母兄弟との関係とか理解できてたので楽しめたし、ある種の感動もあった。 認知症に関しては、身近に約1名初期段階がいるんで、ああ随分研究してリアルだと思う反面、日ごろの自分の態度を反省することしきり。(諸般の事情で、自動車で駅までの送り迎えをしてもらってているんだけど、運転さえ安全なら、「寒い、寒い」といって、30数度の暖房を入れられるくらい我慢しなければならないなとw) 主人公一家の裕福な生活に違和感を持たれた方がいるみたいだけど、自分的には純文学の作家の本がそんなによく売れて裕福な暮らしができるって、現在よりもずいぶん文化的に上品な時代だったなという感想しか持ちませんでしたけど 【rhforever】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-07 12:48:38) |
19.しろばんばを読んだことがあったので話を理解しやすかった。湯ケ島の風景が映像で見られてよかった。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-05-12 06:39:24) |
18.《ネタバレ》 内容は日々の生活を描いただけのもので過剰のエンターテイメントはなされていない。なのにこの感動を与えてくれたのは、画の良さもあるけど、なんといっても樹木希林と役所広司の演技。特に樹木希林。当然のように日本アカデミー最優秀主演女優賞を受賞していた。現在過去たくさんの女優がおばあさん役を演じてきただろうけど、樹木希林の前に人無し、後に人無し。もはや人間国宝に値するともいえる。もう鬼気迫る域にきてるともいっても過言じゃない気もする。宮崎あおいの可憐な演技も華を添えてた。秀作です。 【タッチッチ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-05-06 23:33:13) |
17.暮らしが豊かすぎて設定が全く昔だとは感じなかった。セレブってええなー。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-01-28 02:24:32) |
16.《ネタバレ》 邦題は単に「記」だが、英題の方は「年代記」になっている。映画では期間が14年間とされており、その間に登場人物も年齢を重ねて変化していくのが目に見えているが、そのような長期にわたる時々のエピソードを淡々と記述していく形になっているのは年代記の名にふさわしい。しかし、当初は一見ばらばらのようだったものが次第に母子の関係に収斂していくのはこの映画独自の構成であり、これは素直に賞賛したい。自分としてはまだ味わい切れていないところがあるような気もするが、とりあえず現時点でも間違いなく良質の映画と感じられる。 また役者についてはそもそも名優揃いで自分などが特に褒めようとは思わないが、主人公の三女役に関しては、メイクや衣装のおかげもあるとのことながら中学生から二十代後半までをスムーズに演じているのはやはり少し驚く。 ところでこういう話を見て思うのは、劇中にも出ていた「東京物語」(1953)のように、同じ映画でも年代によって見えるものは違うのだろうということである。高齢者の世話が大変だという観点ももちろんあるだろうが、人生の半分を間違いなく過ぎたと思う自分としては、死と向き合う登場人物が直接自分のこととして感じられ、親が亡くなれば視界が開けた感じがすると言っていたのも他人事とは思えない。うちの身内は高齢でも頭はしっかりしている者が多いので自分もそうだろうと思ってはいるのだが、いずれその時が来れば、この映画のような穏やかな風景の中で死ねるだろうかと考えたりもする。 なお完全に余談だが、劇中のバス車掌役の女優(枝元深佳さん)は役所広司氏(179cm)と比べてずいぶん小柄なのが目立つと思ったら、“150cmなので役に限りはあるが女優として頑張っています”という趣旨の記事をネット上で発見した。最近知ったところでは志田未来も同じくらいのようである。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-11-11 19:39:47) |
15.《ネタバレ》 なかなか面白かったです。セリフに頼らないスマートな脚本は最近の日本映画には珍しいんじゃないですかね。役者陣も素晴らしいです。樹木希林の良さは言うまでもないですが、化粧しているとはいえ、中学生と言われても違和感がない宮崎あおいに驚いた。 【カニばさみ】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-08-25 19:57:08) |
14.《ネタバレ》 ただただ、樹木希林さんに脱帽(最早、演技とかいう次元を超えている。スポーツ選手ばかりに授与しないで、彼女にこそ国民栄誉賞を・・・と、ふと思いました。) 物語としては観る人の世代や立ち位置で変わるでしょうが、私的には自分が母子家庭という環境で育ち、尚且つ後年母が認知症だったこともあり、すんなり入っていけました。 そして、こういう母子関係モノに無条件に弱い自分でもある上でのレビューです。 八重が散々、物事を忘れいく中・・・ 洪作の中学生の頃の詩を朗読し始め、母親の掛け替えのない愛情を知るシーンには、 自分の事のように涙してしまいました。 にしても、ただ重い雰囲気なだけでなく認知症特有の子供に返る八重と子供や孫のやりとりなんかは、ちょっとした漫才のボケ・ツッコミのようでクスりとさせられ、ほのぼのさせられました(実際、認知症の人と面と向かう大変さも知っているつもりです・・・) 兎にも角にも、素晴らしい樹木希林さんの映画でした。 【ぐうたらパパ】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-04-09 15:05:00) |