3.《ネタバレ》 アレン・ファンの僕にとっては実に楽しい映画でした。
また、1人の人間を取り上げたドキュメンタリーとしても見応えのある作品となっています。
ジョーク作家、スタンダップ・コメディアン、そして映画の世界へ。
アレン・ファンにとってはお馴染みの彼の経歴を、実際に当時のアレンの姿をふんだんに盛り込みながら見せてくれる。
経歴は知っていても実際に彼のスタンダップ・コメディアンとしての若かりし頃の姿を見る機会はなかなかありません。
それだけでもアレン・ファンにとっては楽しい映画であり、貴重な映画であると言えるでしょう。
作中でアレンは言う。「人はなぜ苦しみながら生きるのか?自分の存在や孤独とどう向き合うのか?答えの出ない問題をいつも考えている」と。
彼が映画作家として大きな転機となった作品として、
「アニー・ホール」(僕の好きなアレン映画の1つです)が取り上げられていますが、
以降現在に至るまで、その答はまだアレンにも見つかっていないようです。
アレンさんには申し訳ないですが、この先もずっと彼にはこの答えを見つけてほしくない。
その答が見つからないうちはまだまだ面白い映画を僕たちに見せ続けてくれるでしょうから。
また、作中でジョシュ・ブローリンはこう言っています。
アレンの映画に出て、「映画学校の学生に戻った気分だよ。誰もが彼に褒められたいと思っているんだ。」と。
アレンが重鎮であることを感じさせますが、当のご本人からはそんな雰囲気は感じられません。
これもこの人の魅力なのかなと思わされました。
そして作品が終わりに近づいた頃、アレンは実に嬉しいことを言ってくれます。
「誰もが年をとるけど、完全に引退するまでは愛を語ることができる。僕はまだロマンスが過去のものになる年齢に達していないんだ。」
実にアレンらしい言葉ですね。まだまだ僕たちに楽しい映画を見せてくれるはずだと、この言葉にとても嬉しくなったのでした。