ナイトクローラーのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ナイトクローラー

[ナイトクローラー]
Nightcrawler
2014年上映時間:117分
平均点:7.24 / 10(Review 54人) (点数分布表示)
公開開始日(2015-08-22)
ドラマサスペンス
新規登録(2015-07-12)【+】さん
タイトル情報更新(2019-09-19)【Olias】さん
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監督ダン・ギルロイ
助監督マイク・スミス[スタント](第二班監督)
演出マイク・スミス[スタント](スタント・コーディネーター)
キャストジェイク・ギレンホール(男優)ルイス・ブルーム
レネ・ルッソ(女優)ニーナ・ロミナ
リズ・アーメッド(男優)リック
ビル・パクストン(男優)ジョー・ロダー
アン・キューザック(女優)リンダ
マイケル・パパジョン(男優)警備員
脚本ダン・ギルロイ
音楽ジェームズ・ニュートン・ハワード
編曲ピート・アンソニー
撮影ロバート・エルスウィット
製作トニー・ギルロイ
ジェイク・ギレンホール
ジェニファー・フォックス
配給ギャガ
美術ケヴィン・カヴァナー〔美術〕(プロダクション・デザイン)
衣装エイミー・ウェストコット
編集ジョン・ギルロイ
あらすじ
学歴と職歴のないルイス・ブルーム(ジェイク・ギレンホール)はある夜、自動車事故をカメラに収めるパパラッチを偶然見かけた事に触発され、自らも機材を揃えスクープを狙い始める。ローカル局に映像を売ったルイスは、ディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)により刺激的な映像を要求される。ルイスはリック(リズ・アーメッド)という若者を助手として雇い、より積極的な行動を取るようになっていく。
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54.《ネタバレ》 ダッジ・チャレンジャーに乗り込み、夜のLAを跋扈する不気味なダークヒーローの物語。これは紛れもない傑作だ。

ナイトクローラーという知られざる職業にフォーカスすることで、退屈さとは無縁のエンターテイメント作品として仕上がっているのが面白い。役者の演技が光るサスペンスフルな展開から、素晴らしい出来のカーチェイスを経て、再三言い続けていたメッセージを突きつける。脚本もよく練られており、全ての要素が高いレベルでまとまっている。

ジェイクが演じるルーは疑う余地のない強烈キャラだが、負けず劣らず、ストーリーやメッセージ性もかなりキツイ。成功、成果、数字のためにどこまでやれるか。要はどこまで倫理から外れられるか。

僕はやはり倫理観という範囲の中で行動しているので、ずれ気味なルーが異様な行動力で成りあがっていく様はどこか痛快に映る。ネットで覚えた受け売りで相手を煙に巻き、ライバルは排除、衝撃映像を捏造するなど八面六臂の大活躍。「勝つためにはチケットを買え」ともっともらしいことを口にしておきながら、そもそも彼の成功のチケット(カメラ)は犯罪で得たものだ。コイツは最初からズレているのだ。

そういった中で描かれる雇用主と労働者の関係もかなりエグく描写されており、この辺は経営者や就活生にはかなり刺さるハズだ。薄給で酷使され、悲惨な最期を迎えたリックも決して他人事ではない。大企業のインターンという名目で無給で働かされ、正規雇用でないゆえ簡単に切られる若者は実際多い。

面白いのはこういった点が非難などもなく、中立の視点で描かれていることだ。これはOPとEDの映像を観れば合点がいく。この映画の主役の一人は街であり、ここで起きる事件も、ナイトクローラーもインターンも、全てが粛々と流れるLAの日常なのだ。

ふとテレビを点けると、ショッキングな「バナー」が踊っていた。生放送中に銃撃事件が起きたというのだ。
その内容はまさに善良な市民を襲うマイノリティの凶弾、大都市に潜む身近な狂気。
この事件にもやはりナイトクローラーやテレビ屋の奔走(または暗躍か)があったのだろうか。
無論、この映画はフィクションであるが、そう思わせるようなリアリティを十分すぎるほど持ち合わせている。膨大な時間をかけた取材と、LAの街を主役とした撮影の賜物である。
サムサッカー・サムさん [映画館(字幕)] 9点(2015-09-29 13:59:44)(良:3票)
53.《ネタバレ》 最初のうちは薄っぺらいことを妙に得意げに語りつつ、やってることはハチャメチャな主人公に戸惑うのだけど、「そういう人物」だと分かってくるとこの映画の底意地の悪さがたまらなくなってくる。あの薄っぺらさは、「最短距離で結果を出す」現代の効率性への意地悪な風刺でもあり、こんな風に戯画化されれば「引く」けれど、日常を生きていれば周りに必ずこうゆうタイプっているし、自分のなかにも少なからずこんな感じっていうのはある。だからこそ、「他人の気持ち」とか推し量ることなく、「最短距離で結果を出す」道を突っ走る主人公の醜悪な痛快さに、何とも言えない力で引き寄せられているのに気づいてしまう。何よりもエンディングに主人公の周りに集まってくる3人の「インターン」の雰囲気が秀逸。あの、いかにも「不器用ながら真面目に「成功」を目指す若者」っぽい感じ。彼らの今後を思うと、気の毒な気持ちしかないのだけれど、自己啓発セミナーにせよ、新興宗教にせよ、マルチなんとかにせよ、現代の建前と本音の狭間で人々を引きつける「何か」を描いた怪作。
ころりさんさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-10 20:28:50)(良:2票)
52.《ネタバレ》 ゲスの極みのような主人公。常に駆け引きして相手を利用しようと自己中に徹している。
こういう輩には地獄を見てほしいところだが、サクセスストーリーになっているのがミソ。そこにカタルシスはないので、ストレスは残る。
ドラマや映画だとこういうゲス野郎はラストで報いを受けるのが常なのだが、現実世界ではこの映画のようにのし上がる奴も少なくないんだろう。コネも学歴も実績もない人間がのしあがるには、良心やモラルを捨てて他人を踏みつけていくしかない。目的のためには人が死んでも気にしないくらいに。そういう意味ではリアルな映画で、不快感と面白さが同居している。
「遠い空の向こうに」「ブロークバック・マウンテン」「ミッション:8ミニッツ」で見たギレンホールとはまるで別人。この役のために12キロ減量したギョロ目に、がつがつした狂気を感じる。
飛鳥さん [DVD(吹替)] 7点(2016-09-10 21:57:40)(良:2票)
51.《ネタバレ》 冒頭、軽犯罪に手を染める主人公のギョロリとした両の目が暗闇の中に爛々と浮かぶ。
その目を見た瞬間に、「ああ、こいつはちょっとフツーじゃないな」と感じ取れ、同時にこの映画自体の特異性を予感せずにはいられなくなる。

食いっぱぐれ、社会の底辺に潜んでいた主人公が、“ナイトクローラー”と呼ばれる報道スクープ専門の映像パパラッチ業に辿り着くことから、このある種悪夢のような“サクセス・ストーリー”が転がり始める。
こんなにも胸クソ悪いサクセス・ストーリーを未だかつて見たことがない。
と、自分の中の表向きの倫理観は、この主人公の存在そのものを真っ向から否定する。
けれど、それと同時に、外道そのものである彼の成り上がりぶりに対して、一抹の高揚感を感じてしまっていることにふと気づき、とてもじゃないが胸中穏やかでいられなくなる。

果たして、この映画の中で本当に間違っていることは何で、本当に正しいことは何なのか。
この映画は、衝撃的でおぞましいストーリーテリングの中で、その正体が何なのかということを観客に問うてくる。

「勤勉で志も高く粘り強い人間です お役に立てると思います」
“ゲスの極み”である主人公は、終始一貫してそう言って自分自身を売り込む。
自分の成功のためなら、彼はあらゆる罪も犯罪も意に介さない。
しかし、彼のその言葉自体には、微塵の偽りもない。
彼は自分の立てた成功のためのプランに対して努力を惜しまず試行錯誤を繰り返し実現している。
それは、完璧なPDCAサイクルの実行であり、そのプロセスだけを捉えればあまりに有益なビジネスの手本と言えよう。

主人公は、時間を惜しんでインターネットを貪り、この現代社会において「正論」とされているありとあらゆる理と、資本主義のルールを体現しているいに過ぎない。
故に、この映画は、決して主人公を断罪せず、さも当たり前のように“ハッピーエンド”を与えているのだ。

おぞましくも独創的に社会の病理性を“爛々と”描き出したストーリーとキャラクター造形が見事だ。
ただこの映画を成功に導いた最大の要因は一にも二にも主演俳優によるところが大きい。
ジェイク・ギレンホールの言葉通りに「異様」な存在感こそが、この映画の肝であり、テーマそのものだったと思える。

劇中、殆ど瞬きをしない主人公ルイス・ブルームの異様な眼差しが、脳裏にくっきりと焼き付いて離れない。
ただし、“フツーじゃない”のはこの男ではなかった。決して曇らせることなく彼の目を輝かせ続けるこの社会の暗闇こそが、“フツーじゃない”のだ。
鉄腕麗人さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-05-04 08:54:30)(良:2票)
50.《ネタバレ》 良く出来てます。ジェイク・ギレンホールの怪演は見ごたえ充分。逆に言うと見どころはここしかない。いくらなんでもそりゃやり過ぎだろう、こいつ、なんのお咎めもなし?と疑問を感じる人にはすっきりしないラストでしょう。思うにこの男、最初から怪物ですね。モラルも思いやりもカケラもない。この怪物が自分にぴったりの仕事に出会い、見事に大成する話です。でも誰が見ても明らかに常軌を逸している。彼が大成したのは同じくらいモラルに欠けたプロデューサーがいたから。このまま行けばどこかで破滅するでしょう。そこまで見たかったと思うのも充分に下世話ですかね。ジェイク・ギレンホールも「デイ・アフター・トゥモロー」の頃はまだ青二才だったけど、こんな男を演じられるくらい見事な変人に育ちましたね。これは褒め言葉として言ってます。それにしてもあの部下の男、副社長にしてやる、給料は言い値でと言われて「1日75ドル」とは。小者と言うかわびしすぎる。彼がかわいそうになりましたね。
ぴのづかさん [映画館(字幕)] 7点(2015-08-22 19:55:57)(良:2票)
49.《ネタバレ》  終始居心地の悪さを感じる映画。
 主人公のルイスは登場時から狂気をはらんでいて、目的のためには手段を選ばない人物であることが窺えます。頭は良い。クレバーなものの見方をする一方で、ここぞというところの勝負強さ、度胸もある。彼の一挙手一投足から目が離せません。
 ストーリーだけをなぞれば、人生のどん底にいた男が、努力と頭脳と執着心だけで成功していくサクセスストーリー。
 ですが、普通のサクセスストーリーを見た後の幸福感や満足感みたいなものは微塵も感じられません。見ている側まで悪事の片棒を担がされたような変な後味が残ります。
 この映画を見始めて、ルイスが暴走し始めたとき、彼が取り返しのつかない失敗を犯し、破滅する未来しか予感できなかったのです。でもルイスは失敗しない。最後まで成功し続けます。そのストーリー展開が意外と言えば意外。こーゆータイプの人間は大抵ラスト破滅するのに。
 最後に会社として成功し、新入社員たちと共に会社専用のバンに乗り込んで街へ走り去っていくシーン。ここまできて、やっと変な緊張感から解放されたという安堵感を感じます。
たきたてさん [DVD(字幕)] 7点(2020-11-08 14:51:02)(良:1票)
48.《ネタバレ》 主人公はかなり不気味である。
冒頭の警備員を襲ったり金網を盗むシーンで、主人公ルーの性格がクズであることは把握できる。
クズである事をベースに物語は進むため、この冒頭はよくできていると思う。
パパラッチにフォーカスした映画ジャンルは私にとっては珍しく、こんなの見たことない~、みたいな感じでワクワク初めは見てました!
どうやって、成功して富をつかんでいくのだろう、どんなサクセスストーリーが待っているのだろう、という期待に胸を踊らせたのです。キラキラした結末を予想していたのです。
ですが、ここでも主人公がクズということがポイントになります。成功はするもののキラキラした爽やかストーリーではなく、どす黒いクズストーリーです。そのクズさがあったから成功できたのでしょう。
後味はよくないですが、飽きずにずっと見ることができます。
主人公役の人は本当にすごい役者さんです、今でも私は彼を気持ち悪く不気味な存在だと思うからです。天才だ!
ブリーバンデカンプさん [インターネット(字幕)] 7点(2020-06-08 12:24:56)(良:1票)
47.終始全く共感出来ない主人公。是非とも地獄に落ちてほしい。
ケンジさん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-07-30 18:37:45)(笑:1票)
46.《ネタバレ》  いろんな意味で、“ある意味”凄い映画。
 ギレンホールのクズっぷりが凄い。とくにこれ見よがしな派手さは無いのに、いや、無いからこそ、イッちゃってる人の怖さが滲み出る。人の顔色などお構い無しで自分勝手に取って付けたような正論を滔々と捲し立てる鬱陶しさは、コミュ障なんてもんじゃない。ホント面倒くさくて怖い。ってか、あの腕時計の件はハッキリ描写されて無いが、アレは警備員を殺して奪ったもんだよね? 冒頭数分の時点ですでに殺人犯なんだよな、ブルームって。
 レネ・ルッソが凄い。この映画の時点で60歳? 見えねぇ。怖ぇ~っ。40歳って言われても信じるよ。やっぱハリウッド女優怖いよぉ!
 まったくカタルシスの無い終わり方が凄い。基本的に悪は滅んで終わるのがハリウッド流のモラルだった数年ほど前なら考えられない終わり方。今はこれくらい捻じ曲がってなきゃ刺激が得られん世の中なんだな。怖いコワイ。
 まあお話としちゃあ、テレビ屋のモラルなんてモンがこれっぽっちも無いことは今更言うまでもないことで、ネタ自体に新鮮味は無いんだけれど。久しぶりに豊田商事の社長が惨殺された事件を思い出した。
 ラストシーンでブルームが言う。「俺は、自分がやらないことまで君たちに強要することはない」。ってことは、裏を返せば『俺がやる程度のことはヤッてもらう』ってことか? ああ~怖すぎる。
TERRAさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-11-05 19:33:48)(良:1票)
45.《ネタバレ》 TVにおいては映像こそが力。より臨場感を伴って、刺激的であればあるほど価値が上がる。一応「視聴はご自身の判断で」とか言って流す責任は取らないのもヤラシイ。こんなTV局のディレクターらも相当イっちゃってるんだけども、怪物ギレンホールに比べりゃまだまだ。目ばかりギョロギョロ大きくて薄っぺらな笑みをふりまき、御宣託めいた理屈をまくしたてる。ジャンクワードをつなげてるだけなんだけどな。
こいつの冷やっとする人間性の欠落した感、もうギレンホールが凄い。事故に遭った同業者をカメラに収める時の、その何の情も無い顔、暗い目。悪魔かと思う。この場面、担架で運ばれる負傷者の目線で描かれているので殊更ルイスの非情さを感じる。
一人でTVを見て笑い、繕い物も一人でやる。いつも一人。相棒を募っても本物の仲間になんかなれっこない。こいつは他者に与える情なんか持ち合わせていないから。警官が人間らしい怒りを向けても、女性ディレクターが特ダネに感謝を寄せても、いつもニヤニヤして一人でぬるん、としている。あー気分悪い。ナイトクローラーとは良く言えている。闇に徘徊する暗い生き物、できれば人生で出会いたくないものだ。だけど私も「刺激的な」画を求める視聴者の一人。ルイスばかりを悪く言う資格はない。
tottokoさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-18 00:02:56)(良:1票)
44.罪の意識も問題意識もなく「もっと刺激的映像を!」と求めるTV視聴者を批判している作品であることは確か。

だからこそ、ルイスがサクセスするストーリーなのだ。だってルイスを生み出したのは、一般大衆なんだから。ワイドショー好きな人間に、この男ルイス・ブルームを批判する権利なんぞないのだ。

たぶんアメリカの視聴者は、日本人よりさらに刺激的なニュース映像に貪欲なのだろう。

視聴者がエキサイティングな番組を求めるほど、番組側はそれに応じてもっと激しいものをもっときわどいものをと極端な方向へ走っていく。
ルールも道徳も倫理も麻痺して消えて、残るのはルイスのようにただ偏執的にひたすら目的に向かう欲求だけ。上へ向かうのではなく、下へ堕ちていくだけ。きっと彼らの行く先は地獄なんだろうなぁ。でも視聴者も同罪、地獄で一緒だから。

人や社会の欺瞞に気づいている人間なら、ルイスをただ批判することはできないだろう。
人のエスカレートして行く暗い欲求をかなえるため、形になったのがルイスなのだから。ルイスを嫌うのは、自分の影を嫌悪するようなものだものね。

だからもっと高得点でもいいんだけど、ルイスがホントに気持ち悪かったので…すみません、この点数で。
りりらっちさん [DVD(吹替)] 5点(2017-02-15 20:40:47)(良:1票)
43.《ネタバレ》 生まれもっての偏屈な性格とプライドの高さから周囲の者とうまく馴染めず、社会の底辺を這いずりまわるような生活を送っていたコソ泥、ルイス・ブルーム。学歴も特殊な技能もなくまともに面接すら受けられなかった彼は、ある日、事故現場の凄惨な映像をカメラに収め、テレビ局に高値で売り捌く報道カメラマンという仕事と出会う。血まみれで横たわる被害者、銃を振り回す犯罪者、嘆き悲しむ家族たち…。人々の歪んだ好奇心を満たすために、瞬く間に消費されてゆくカメラの向こうの赤の他人たち。直感的に自分に向いていると感じた彼は、次の日にはカメラを買い求め、刺激的な〝画〟を撮るために夜の街を彷徨い歩くようになるのだった。持ち前の執念深さと冷徹な性格から着実に実績を上げてゆくルイス。新たに助手も雇い、厳しい視聴率競争に明け暮れるテレビ・ディレクターという顧客も確保した彼は、さらなる飛躍を図るため、人として踏み越えてはいけない一線を易々と越えてしまう――。人の不幸を食い物にして金を稼ぐそんなパパラッチたちの世界を描いているのだが、いやはや、これが実に面白い。ぎょろりとした目で訥々と持論を述べる気持ちの悪い主人公(ジェイク・ギレンホールがまさにはまり役!)に、最初は嫌悪感しか湧いてこない。だが、彼のそのプロに徹した仕事ぶりに、観客である僕たちももっと刺激的な画を求めてしまうようになるのだ。人の不幸は蜜の味とはよく言ったもの。最後など、彼の違法すれすれの計画がうまくいくようにと思わず応援してしまうほどだ。表向きは嫌悪感をあらわにしながらも、それでも本音では刺激を求めてしまう。人間とは罪深い生き物だとつくづく考えさせられてしまう。最後、この主人公に当然のように正義の鉄槌が下されると信じていた観客の期待を軽々と裏切る、後味の悪い展開も巧い。誰もが心に抱えているだろう闇を巧妙に突く、高度に考え抜かれた完成度の高い脚本だ。なかなか刺激的な映画体験をさせてもらった。この監督の次回作も期待して待ちたいと思う。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 8点(2016-12-21 22:59:14)(良:1票)
42.《ネタバレ》 もうほんとイヤなやつ、ルーとニーナ。
ジェイク・ギレンホールの役作りには感心しました、他の方も仰る通りトラビスです。
縫い物とアイロンがけをし、観葉植物に水やりをかかさない孤独な男。どっかで観たなぁ

どんな根拠があるのかしらないけど人を見下してる、ナルシストなんでしょうね
そして屁理屈のオンパレード、やってることは下衆の極み。
ニーナもイタい人です、あのメイクがそれを物語ってる
「人の不幸は蜜の味」悲惨な映像を安全な場所から高みの見物をしてる視聴者
下衆の勘繰り、下衆ワールドな映画でした。裏街道サクセスストーリー。
これをどう捉えるかも映画を観た人に委ねるというラストでした。
。。。私は、、、いつまでも続かないぞと。「スカーフェイス」のトニーもそうだったもんね。
裏街道、薄暗い部屋からは一生出られない人生、レオンもそうだった
でもルーはそれを気にしない人だろうな

映像はすばらしく、闇と光のくっきりとしたコントラストが美しい
下衆な内容だけど映画としては一級品だと思う
ギルロイ、アートな兄弟ですね。
envyさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-10-12 09:58:55)(良:1票)
41.《ネタバレ》 いや~ 尻上がりに面白くなっていく。主人公は道徳的にはもちろん、黒人の刑事さんが追及してた通り、法的にもアウトなことしてる正真正銘のクズなのに、「この撮影が上手くいってほしい」と願う自分がいて、不思議な感覚を味わった。第一には金になるということだが、「凄いものを撮った」と称賛され、名誉まで伴ってくる快感もあったんだろうな。ユーチューバーでもなんでもないが、気持ちは分かる。クライマックスとなる最後の現場は圧巻で、しかも完璧に撮りきったという点が、そのままこの映画の満足度に繋がっていくのが見事だ。
リーム555さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-09-30 20:17:21)(良:1票)
40.《ネタバレ》 山で起きた事故の死体を動かし、移動しながら、カメラを構える場面。映像がドキュメンタリーからフィクションに変わる瞬間。物や映像を盗むものから、生み出すものに変わる瞬間。事件をただ外側から受容するものから、事件の内側に入っていく瞬間。
そこから撮ることが特権化し、被写体に対する優位性が、そして自意識が誇大化していく。
同時に反比例して倫理や道徳という人間味が欠落していく。
その臨界点で起こる最悪の結末。しかし、そこで生み出されたものは同時に美しい芸術であり、究極のプロフェッショナルが辿り着いた結末ともとれる。
そして間違いなく彼が一番輝いた時でもある。
魅力的な映像を撮る事、魅力的な何かを生み出す事の代償(大なり小なりあれど)から目を反らすことなく、最後まで真摯に向き合っていた。
そして、その代償も含めたものこそが観客が求めているものではないのか?と訴えかけるかのような、ラストの尋問室での主人公の監視カメラへの視線にゾッとした。
ちゃじじさん [DVD(字幕)] 7点(2016-06-18 19:25:03)(良:1票)
39.《ネタバレ》 まぎれもない大傑作ですね。この1年で鑑賞した中では一番素晴らしい作品だったと思う。
ジェイク・ギレンホールは以前から演技派だなぁと思っていたけど、本作もまた見事な怪演を見せつけてくれます。
というか、彼は作品選びも巧いなと思うんですよね。いい脚本、そして自分ならこの役をこなせるぞって吟味してるんでしょうね。
主人公のルイスは、モラルもかなぐり捨てたクズ、というか狂人の域になっていくわけですが、
そんなクズ野郎なのに彼の心情にいつの間にかアイデンティフィケーションしてしまう。それが本作の恐ろしいところ。
最初の頃はその日暮らしをしていた無職で、ひょんなことからパパラッチの現場に出くわし、そこに自分の居場所を見出す。
多少の憐れみもあって最初は見てたけど、そのリアルな人間描写ゆえにグイグイと彼の心情に惹かれてしまうのです。
テレビ局に持って行ったら褒めて使ってもえらたというのも大きいね。承認欲求を満たしてくれた。
ちょっとした踏み外しがどんどん大きくなり、完全に一線を越えることに。でも、自分だったら、、、と思うと怖くなる。
あそこまで踏み外したりはしないと思うけど、多少のいけないことはしてしまいそうな気がする。
ニーチェが言っていた、「 深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という言葉を思い出す。
自分の中の黒い部分、モラルって結構儚いものだったりするのだなということに気がつく。
こういう主人公だと因果応報で悲惨な結末になるのが普通だけど、それどころかルイスは会社規模を大きくして終わる。
この結末もまた恐ろしい。単なる映画の枠を超えて、現実のジャーナリズムの戒めになってる。
印象深いシーンは数多くあるけど、個人的には事故に遭わされタンカーで運ばれるジョーを見るルイスの顔が目に焼き付いちゃった。
人間のあまりにダークな部分をむき出しで目撃しちゃったみたいで背筋が寒かった。
あろえりーなさん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-04-05 21:59:03)(良:1票)
38.《ネタバレ》 そもそも大きいジレンホールの目が9kgの減量によりギョロギョロ感倍増で、ファーストショットの時点で「何だかアル・パチーノっぽいな」と感じたのですが、あることないこと大袈裟にしゃべりまくる様や、やたら態度がデカくてハッタリと勢いでのし上がろうとする様はまんま『スカーフェイス』のトニー・モンタナでした。本作は、一義的には俗物的な犯罪報道を批判する内容となっているのですが、それと同時に悪い奴が普通ではありえない方法でのし上がっていく様を楽しむピカレスクロマンでもあり、邪魔者を排除しながら目的達成に向かって突き進む主人公の活躍には、爽快感すらありました。しがらみの中で生きる社会人ほど、自由自在に動き回る主人公の姿にある種の憧れを抱き、有言実行で成功を収めるその凄さを実感できるのではないでしょうか。
この主人公、とにかく行動が早いことに感心させられます。報道パパラッチという職の存在を知り、儲かりそうだと感じた翌日には資金調達をしてカメラと無線受信器を入手。最低限の装備を整えるとすぐに街へ飛び出し、他のパパラッチに仕事の進め方や報道機関への売り込み方法を聞きながら事業化を進めていきます。このフットワークの軽さは社会人として見習いたいものです。取引先であるローカル放送局に入るや否や、決裁権を有し、かつ、自分と同様の価値観を持っていそうなプロデューサーを即座に見つけ出し、その人物の抱え込みに入ります。90年代には美人女優として多くの大作に出演していたレネ・ルッソ(監督の奥さん)が、歳の割に派手でケバケバしいプロデューサー役を熱演。この人も、若い頃には手段を選ばず何でもやってこの地位を得たんだろうなぁという匂いをプンプンさせています。そんな二人の出会いの場で主人公が披露するのはネットや自己啓発本で得たような浅知恵なのですが、ターゲットであるプロデューサーも彼と大差ないレベルの人間であるためか、二人の会話はそれなりに噛み合うのです。
そんなこんながありながらも主人公は着実に成果を挙げていき、会社はそれなりに軌道に乗りますが、従業員に対する文句は多いが給料は少ないというブラック企業ぶりが笑わせます。従業員に向かって「なんで俺がこんなに成功したか分かるか」と、説教とも自慢話とも付かない講釈を垂れ始める様は、典型的なブラック企業の経営者なのです。報道パパラッチという一般的に馴染みの薄い業界を扱いながらも、多くの人がイメージしやすいワンマン経営者の話としてこれを描いた点に、本作の優位性があります。
また、本作は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でオスカー受賞歴もあるロバート・エルスウィットが撮影監督を務めているだけあって、低予算の割にはビジュアル的にも見応えのある作品となっています。犯罪現場を臨場感たっぷりに映し出し、見ている我々も主人公と同じく倫理的な罪を犯しているという感覚を抱かせるのです。主観で描かれるクライマックスのカーチェイスは、同じくジレンホール主演の『エンド・オブ・ウォッチ』をも上回る迫力であり、さらには「もの凄い特ダネを入手した」という高揚感もプラスされ、映画全体が異常なテンションで疾走します。
ザ・チャンバラさん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2016-03-04 15:57:20)(良:1票)
37.平たくいえば最初から最後まで想像通りなのですが、リアルな映像と迫真の演技に予想を裏切られます!12kgも体重を落としたギレンホールの演技が素晴らしいのはいうに及ばず、脇を固める俳優陣、特にレネ・ルッソもやたら演技が上手になっていて驚きます。(老け具合もなかなかリアルで怖かったですが)

夜のLAの不気味さ、カーチェイスのリアルさ、現場の怖さなどが非常によく表現されています。パパラッチ系の話なので地味になりがちですがラストの食堂からの流れは凄い迫力で、近年稀にみる完成度だったと思います。このリアルな完成度はカメラワークと編集のセンスが良いからでしょうねおそらく。エンディングもアッサリしていて私は好みでした、いやほんとに素晴らしい映画でした。

難点は、これほど素晴らしい仕上がりなのに何度も見たくならない点です。不思議なもんで映画は何度も見たくなるものとそうでないものがありますが、この映画は後者でした。よってこの点数とします。
アラジン2014さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-02-24 18:09:10)(良:1票)
36.《ネタバレ》 とにかくジレンホールの演技に尽きる。もちろん脚本自体素晴らしいけど、彼なしではこの映画は語れないですね。これでノミネートされないなんてアカデミーは頭がおかしい。くすっと笑えるブラックなネタが多く、特にルイスとパートナーの面接、交渉のシーンが面白かった。テレビ業界の裏側が描かれていますが、確かに報道番組で人が一番興味を持つのは実は殺人事件や交通事故の経緯や犯人の行方かもしれないですねぇ…。日本にはアメリカほどこういうパパラッチはいないでしょうけど、テレビ業界の闇の部分、恐ろしさを感じた。最後はルイスに罰が当たると思いきや、そのまま成就するというラストも秀逸。なかなか胸糞悪いけど、それがまたいい。ルイスを見ていてあぁ自分は出世できないタイプの人間だなと感じました。あの交渉の巧さは勉強になります。エンドクレジットは途中で「あっ、アハ体験や」って思いました(どうでもいいか)。
素晴らしき哉、映画!さん [映画館(字幕)] 8点(2015-09-21 23:45:20)(良:1票)
35.《ネタバレ》 ただただ話がつまらない。
淡々と主人公の行動を描いただけでメリハリなし、起承転結なし。面白みに欠ける。
反抗してきたアルバイトくんを罠にはめて殺すというエグい展開だけは面白かったが、ほかは終始退屈であった。
世間では高い評価を得ているようだが、それを見ると、概ね主人公を演じた役者の演技力を高く評価するばかりだった。確かにそこはいいとは思うが、あんな脚本では駄目だ。
犯罪があった家に不法に侵入し、被害者を撮影する。あろうことか、それをテレビ局が放映する。そんなことは日本ではありえないことだが、アメリカで許されることなの?とずっと疑問に思いながら見ていた。それがこの映画のリアリティを損なわさせ、楽しめない一因になった。
ところで、あの役者はデイ・アフター・トゥモローに出てた人だな。あの人、わざと目を見開いているの?それとも元からあんな顔なの?あの顔だけはすごい。
椎名みかんさん [インターネット(字幕)] 4点(2023-09-18 04:48:02)
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【点数情報】

Review人数 54人
平均点数 7.24点
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81629.63%
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【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.50点 Review2人
2 ストーリー評価 7.00点 Review3人
3 鑑賞後の後味 6.00点 Review3人
4 音楽評価 8.00点 Review1人
5 感泣評価 2.00点 Review1人
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【アカデミー賞 情報】

2014年 87回
脚本賞ダン・ギルロイ候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2014年 72回
主演男優賞(ドラマ部門)ジェイク・ギレンホール候補(ノミネート) 

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