293.《ネタバレ》 私はレナードの母親としてこの作品を観た。彼女が、話すことも動くこともなく表情もかたまったままの息子にあたりまえのように話しかけ、優しく世話をしている姿に胸がつまった。私が彼女だったら期限付きでもいい、一人前になった息子が自分に微笑みかけてくれることを願うと思う。「ママ」といってその手で抱きしめて欲しい、二人で手をつないで散歩にでかけたい、日常の何気ない出来事で笑いあいたい、時には母のお節介を疎ましがられてみたい…そう強く願うと思う。レナードの病状が徐々に悪化し始め不安と絶望の中で想いを寄せる女性に冷静に別れを告げようとする場面にはただ涙した。レナードは果敢に運命と闘うが、母の嘆きには必要以上に触れていなかったと思う。結局元の姿に戻り、ただベッドに横たわるだけになってしまったレナードを母が静かな表情で世話をする姿があった。母の想い。残されたものの想い。だからこそ最後は、自分を見つめなおそうと心を開いたあの優しい表情のセイヤーとエレノアのエピソードでなければならなかったのだと思う。 【宝月】さん 8点(2004-04-10 00:34:15) (良:2票) |
292.《ネタバレ》 引きこもり風の精神科医が重度のパーキンソン症患者に、周囲の懸念をよそに未承認の薬を投与。一時は奇蹟的に症状が改善したものの、やがて患者たちはふたたび元の状態に戻ってしまう。落胆した医者だが、患者たちとの経験のなかで心を開かされ、看護婦をデートに誘うところでエンド…。まず、治療不可能と思われていた患者たちに薬を投与するのは、医師としての野心ではなく真剣に彼らを治癒したいがための情熱と好意的に解釈しよう。が、一度は彼らに光明を与えておきながら、結果的にふたたび絶望へと追いやってしまったことへの自責の念、呵責がこの主人公の医者には微塵も感じられないのは何故だ? それどころか、最後には自分だけが幸せになって、「ハッピーエンド」風に映画が締めくくられることに、何故だれもとまどわないの? …実話だろうが何だろうが、これは映画(をはじめ、あらゆる表現媒体)として、やってはならない展開じゃないのか。ぼくはこの映画のそういった鈍感さを、結果としてであれ、その不誠実さを嫌悪する。以上。 【やましんの巻】さん 0点(2003-09-13 15:09:19) (良:2票) |
291.お涙頂戴になっていない、抑制のきいた、よい作品だと思います。公開当時から何度も繰り返し見ていますが、色あせないです。こんなことが本当に起こりうるのか、脚色が過ぎるのではないか、という感想もあるようですが、確かにこれは人体実験の一つ。しかし近代医療は実はそういうことを繰り返して、より効果の高い医療を探し出してきたわけで、これは確かに起きた事実はレアケースではあるでしょうけれど、進歩の過程の中でのやむをえなかったエピソードではないかと思います。そこをどう捉えるかによって、本作の味わいは極端に変わってくるのかもしれませんね。心に残るシーンはたくさんありますが、最後のシーンが特に印象的。切なさの中のほっこりしたぬくもり。優しさをくれた彼女に、おずおずと返礼をしようとしたのだ、というふうに私は思います。 何が正しかったかは、誰かが安易に断定できるものではありません。通常なる生を享受している人はせめて、その生を精一杯生きることでしか、無念だった人たちに、顔を向けることは出来ないでしょう。研究一辺倒だった医師が、生きる中で大事なことは何なのだろうと模索すること、それもまた彼らへの恩に報いることなのだと、私は思います。決してあれは、ナンパなんぞのシーンではありません。ああいったニュアンスこそ、映画でなければあらわせない、心をうつし出す「表現」の一つなのだと思います。 【おばちゃん】さん 8点(2003-09-13 11:40:08) (良:2票) |
290.《ネタバレ》 午前十時の映画祭で映画館で再び見ることができました。素晴らしい映画だと思います。ロビン・ウイリアムズとロバート・デ・ニーロという名優どうしの競演が素晴らしいです。特にデニーロの演技は神がかっています。デニーロ・アプローチといわれる事前の徹底したリサーチの成果により本当に脳炎患者なんじゃないかと思わせてくれます。引きつり・手の動き・目の動きなど全てが本物と思わせてくれます。事実が元になっているとはいえ、レナードの初恋など「これはフィクションではないか」と思わせる演出もありますが、奇跡の物語のいいアクセントになっています。なお、この映画を最初に見たのはもちろん初公開時な訳ですが、当時の自分はいわゆるハリウッドアクション映画やジャッキー映画などのエンターテインメント映画にしか興味がありませんでした。そんな中この映画は、映画好きの先輩にすごくいい映画だから見た方が良いと強く薦められて見た映画です。楽しい・面白い映画しか興味なかった自分に、他のジャンルでもいい映画はたくさんあると教えてくれた、自分を映画好きにしてくれたきっかけの映画です。なお、原題はAwakenings、「目覚め」の複数形です。これはレナードの病気からの目覚め(一時的な回復)はもちろんのこと、他の患者の目覚め、レナードの恋への目覚め、そしてそんなレナードに影響されてコミュニケーション下手だったセイヤー医師が生涯の伴侶を(おそらく)得るきっかけとなる積極性への目覚めなど様々な「目覚め」を意味しているのです。最後になりますが、ランディ・ニューマンの音楽も素晴らしいです! 【MASS】さん [映画館(字幕)] 9点(2023-02-19 16:33:16) (良:1票) |
289.《ネタバレ》 せりふを使わないで発病の経過を示していく導入がすこぶるいい。ベンチに名前をナイフで彫りかけて手がしびれる。いつも成績がAかBのレナード君のテストの採点をしている先生がノートを調べると、単語の端がズーッと流れてる。ここらへん怖い。友だちが遊びに誘いに来たのに、帰さなければならない雪の日。視点は医者に移り、バイキンの本見ながら食事をする学者肌。治療が始まる。ボールによる訓練、音楽療法。床の模様替えをして、ルーシーが歩き続けるとこ。水飲み場へ行くのかと思っていると、その脇の窓辺に立つの、ニクい。で新薬の投与による目覚め。悲喜こもごも。熱帯植物園で退屈してるあたりのユーモア感覚。やがて「アルジャーノンに花束を」的な展開になり、ドアの外の自由から遮断される。痙攣が始まると歯を磨くときに便利、なんてユーモア入れちゃうのも凄い。娘が食堂でダンスしてくれるのに泣けるが、彼女がバスに乗るまで窓から見送るのも涙。そう、これは窓の映画ね。R・ウィリアムスはいつもの通り邪気のない善意の人で、困った人でもある。映画も彼を勇気のある立派な人とのみは捉えてなく、でも大量投与で少なくとも一時的な目覚めを与えることは出来たわけで、医療と言うものの難しさを思う。人と人との間にある距離のはるかさ、それだけに人と人とが出会えることの奇跡的な美しさ。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-09-07 09:55:22) (良:1票) |
288.《ネタバレ》 以前に小説の『アルジャーノンに花束を』を読んだが、それとよく似ている。 臨床の経験がなく研究ばかりしていた医師の試行錯誤に生真面目な誠実さが見える。 覚醒して生の喜びを得た後だけに、再び症状を自覚したときの衝撃が倍加する。 病気が健康のありがたさを教えてくれるように、レナードの悲しい人生の追体験が生のあり方を教えてくれる。 普通に生きていることがどんなに尊いか、人生は喜びであり神からの贈り物――レナードの言葉が胸に蘇る。 レナードがポーラと別れのダンスで痙攣がおさまるシーンは感動的。 いつもながらロバート・デニーロの演技はさすが。 医師が彼女をコーヒーに誘ったラストは、レナードから学んだことが端的に表れていて後味の良い映画になっている。 【飛鳥】さん [ビデオ(吹替)] 9点(2013-06-10 00:21:17) (良:1票) |
287.《ネタバレ》 このように病気を題材とした作品は、感動をもたらすための演出が過ぎると白けてしまうでしょうし、かといってガチガチに医療のリアルさばかり描写するとわかりにくくエンターテイメントとして疑問符がつくと思います。 私はこの作品の題材となった病気の現場、現状を知りませんが、想像するに、この演出とリアルさのバランスが非常にとれている作品だったと思います。 奇跡がおきた夜の感動、自らの身体が動かなくなっていく絶望感、最後に女性を見送る際の切なさ・・・箇所箇所でいろいろな感情が胸にわき、考えさせられました。また、これらのシーンが観ている者に対し押し付けがましくなく、さりげなく描写されていて落ち着いた作品になっていると思います。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-09-05 22:11:01) (良:1票) |
286.《ネタバレ》 「ビッグ」のあと本作を監督して、ペニー・マーシャルに非常に注目したのだけど、その後あまりパッとしないのが残念です。これはとても好きな作品なので、またこんな作品見せて欲しい。ロバート・デ・ニーロの演技で評価したいのは病気の姿の演技力ですが、彼の役所として最も印象に残すのは、目覚めてから、この世に生きていることの素晴らしさを興奮しながらロビン・ウィリアムスに喋りまくる場面です。あの場面がとても好き。そしてロビン・ウィリアムスが看護婦さんをコーヒー飲みに誘うシーン。デ・ニーロ演ずるレナードが短い目覚めの中で、セイヤー医師の心に温かい波を立てて残したことが伝わる、良質なラストだと思います。 【だみお】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-12-23 02:42:31) (良:1票) |
285.一番の良薬は「愛」なんだってことに気付かされた……人の持つ心と、その中で見出されるたくさんの夢や希望が、どんな最先端の医療にも劣らない素晴らしい良薬なんだってことに。その結末が束の間の夢でも、奇跡でも、信じることの大切さや時間の尊さを身に染みて感じ取ることができました。 【南の二等星】さん [地上波(吹替)] 9点(2008-01-13 16:15:43) (良:1票) |
284.うん素直に泣ける良作でした。確かに行った行為自体が是か非か?人間をモルモットにするのか?という意見はあると思います。でも映画はそこまでシビアに描く必要はないと思います。皆さん書いている通りデニーロの演技はあざとい感じはしますが本当にうまいです。アルジャーノンにストーリは似ています。派手さはありませんがいい作品でした。 【たかちゃん】さん [地上波(吹替)] 9点(2005-10-22 16:06:22) (良:1票) |
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283.《ネタバレ》 人間にとって「自分」という意識は、何によって齎されるものなのか。脳科学では、「魂の座」とはイコール「脳」であり、意識は脳内神経細胞の電気信号の総括でしかないとされています。また、脳内ホルモンのバランスによって、感情も左右されてしまいます。人間の「心」すら、薬や何かで調整ができるのなら、人間の意識の存在理由なんてあるのでしょうか。 私の祖母が痴呆になった時、特にそんなことを考えました。痴呆特有の症状として、お金や物が盗まれたと騒ぐ事がありますが、祖母もまさにそうなって、ずっと可愛がってくれた孫の私を泥棒扱いした事がありました。その時はもちろん悲しかったんですが、それ以上に心を失う事に対する哀れみや滑稽感、恐怖感、憤り、不快感などを強く感じました。まるで自分すら否定されたような気になって。 もし、肉体の状態に左右されない、不変不滅の「魂」があれば、痴呆を始めとする、「人間性そのものを侵食する病気」はたぶん存在しないのではないでしょうか。 この作品を見て、そんな色々な事を考えました。ただ、言えることは、魂すら不滅のものではないからこそ、人間は「現在」を大切にしようとするのであって、魂の輪廻転生や死後の世界が確実に存在すると、多分、生きている事にも意味が無くなってしまうのではないでしょうか。 ちょっと大げさになってしまいましたが、人間性や命の意味を考えるのにこれほど適した作品もないでしょう。 【FSS】さん 9点(2004-09-27 23:27:34) (良:1票) |
282.《ネタバレ》 この映画のレビューは、平常心では書けなくなってしまった。本作を見終えた直後、知人の訃報が飛び込んできたからだ。最悪のタイミングだった。映画によってかきたてられていた感情が、なおさらざわめき立ってしまい、必要以上に衝撃を受けてしまった。 月並みな言い方になるが、健康に一日一日暮らせること、それがどれほど幸せで感謝すべきものを本作は思い知らせてくれる。どんな宝石よりも尊く、どれほどの残高がある貯金よりも大切にすべきものなのだ。私の知人は突然の死によって、レナードたちは原因不明の病気によって、そのかけがえのない珠を否応なく奪い取られたのである。この映画を見た以上、私たちは彼らの無念さを忘れてはならない。忘れてしまっては、映画を見た意味がない。 昨今、自殺する人が増えている。それぞれ、やむにやまれぬ事情があるのだとは思うが、決行する前に本作を見てほしい。そして、ふつうに生きようとどれだけ努力しても、叶えられない非情な運命の人たちもいることを知ってほしい。 映画の後半は切なすぎる。1969年の奇跡の夏が終わりを告げつつあるとき、レナードたちに少しずつ、だが確実に病魔が再びしのびよってくる。何とか抗うため、セイヤー医師はためらいながらもLドーパの投薬量を増やしていく。しかし、それでも病魔の歩みを止めることはできず、レナードはゆっくりと「向こう」へと消えてゆく。 レナードが女性と最初で最後のダンスを踊るシーンと、発作が起こるなか「カメラで撮れ」といい続けるシーンは、こらえきれない。デニーロの演技が過剰という声もあるが、実際、これぐらいの発作は起こることを知ってもらいたい。私には過剰演技とは思えなかった。 最後、ストーリーはセイヤー医師とエレノア看護師に転換して終わる。この部分の評価は分かれるところだろうが、私は蛇足だったように感じた。ちょっと示唆するぐらいで止めておいてほしかった。 脚色や演出に突っ込みどころがないわけではないが、それでもなお本作は、ただ「ふつうに生きる」こと、それが実はどれほど恵まれたことか、健全ないのちの輝きを改めて知らしめてくれる映画史上に残る傑作だと思う。「ショーシャンク」とよく比較されるが、私はためらいなく本作に軍配を上げる。 【delft-Q】さん 9点(2004-07-07 00:38:04) (良:1票) |
281.実話故の感動と実話故の物悲しさがある。 作品として評価するとラストには収まりの悪さを感じてしまうが、 それはやはり仕方のないことなのだろう。 素直に彼らの幸せの瞬間に感動するべきなのかも知れない。 僕はこの作品を名作として位置付けたい。 【もとや】さん 8点(2004-03-09 16:05:11) (良:1票) |
280.「生かす」というのは非常に難しい問題だと思う。なぜなら「生きる」とは元来、主体的な問題だからである。「生きる」という倫理には、結局のところ普遍的な結論というのは有り得ず、道徳という道筋や常識という枷でそれを推し量ることはできない。ただ、人間というのが常に<他者との>関係性によって成り立つ社会的な自我そのものであること、それ故、人間の抜け殻である身体が果たして人間としての価値を有するのか、という素朴な<ある意味哲学的な>疑問を誰もが拭い去れないのである。そういう潜在的な妥当がこの映画を感動的にしている要因であると思う。レナードが眠りから覚めるシーン。その輝きと喜び。生きることの素晴らしさへの訴え。一体これは誰の意思なのか、一瞬、疑念が湧く。確かに人嫌い医師とレナードの対比は作為的に感じるし、展開があまりにも予定調和すぎるような気がしないでもない。ただ、僕はこの映画を素直に捉えたい。この映画が見せる「生きる」という問いかけを僕は真摯に受け止めたい。彼が「生きたい」のかどうかは僕には分からない。ただ、僕は「生きる」のである。その主体的な有り様、実はロビン・ウィリアムス演じる医師に投影されているところの、生きていくことの素直な有り様を深く考えさせる、そういう映画として僕は評価したいと思う。 【onomichi】さん 9点(2003-12-06 22:37:44) (良:1票) |
279.子どもの前ではあまり泣かなかった私の嗚咽に、娘がカタマった作品。生きることの意味や哀しさを考えてしまい、甘ったれてる自分たちがつくづく嫌になります。 デニーロの壮絶な演技と対照的で、抑えた素敵さRウィリアムスがほんと良かった、最後の彼女とのシーンは、よくあるラブシーンより、ずっとずっと感じいいです、すぐ巻き戻します。 【かーすけ】さん 8点(2003-08-31 16:05:14) (良:1票) |
278.すごく感動した映画です。デニーロの演技がとにかくすごいと思いました。見終わった後、なんともいえない気持ちになったのを覚えてます。是非また見たいと思います。 【めろめろメロン】さん 9点(2003-03-20 03:13:33) (良:1票) |
277.いい映画でした。ロビン・ウィリアムズがいい演技でした。 【hirosui】さん 7点(2002-11-19 11:44:53) (良:1票) |
276.どうしてもこの作品にブラッド・ピットがでていたようなきがしてしょうがないのですが。しかもエキストラみたいな感じで。どうでしょうか。この作品はだいぶ前にみました。goodです。 【ぴっと】さん 9点(2002-03-23 23:47:00) (良:1票) |
275.ストーリーがいいですね。レナードの心の辛さがつたわってきますね。 【ジョン】さん 8点(2001-12-31 12:59:50) (良:1票) |
274.かなしかったけど、心に残るいい話でした。 自分が何事もなく健康に生きてることの尊さをちょっと学べた気がしました。 【もっち】さん 8点(2001-12-13 00:36:33) (良:1票) |