475.《ネタバレ》 再見。
往年のサイレント映画やゴシックホラーの懐かしさもある、ティム・バートンなりの愛情が注がれた作品。
雪が降りしきるある夜、不気味な階段、鋏、得体の知れない機会が運動を繰り返す。
ビスケットのように型抜き、丘の上にそびえる古城、それを見つめる年老いた女性は、布団に入る孫娘に素敵な昔話を語り始める。
窓から過去へ、星のようにきらめく小さな町、それを見下ろす暗い城。
実にカラフルな色彩だこと、冴えないセールスマンの女性、包み隠す女性と解放的な女性たちとの対比。女性たちには解放的してくれるような男がいる。彼女にはまだそれがいない。
ふとミラーに映る新たな「商売相手」。虎穴に入らずんば虎児を得ず、仕事人としての性。
吸血鬼の城のように人々を寄せ付けないが、中に入ってみると可愛らしい庭園が拡がっていた。セールスマンから抵抗が薄らぐ。
こんな素敵な庭を作る人だ、きっと城の主も素敵な人なのだろう…ところが、城に入ってみると怪しげな機械が並び風穴のあいた天井のある空間。
セールスマンの心に渦巻く期待と不安、それを後押しするのは重そうに抱え込んだ商品を売るため。
物騒な手や服装とは裏腹に、何て悲しげな顔をする奴なのだろう、顔の傷とその表情が彼の過去を語る。
それを化粧品で優しく包み隠そうとする女心。そこには仕事人としてであり、母性をくすぐられてしまった一人の女性として、異性としてすでに惹かれていたのかも知れない。
瞬く間に町中に拡がる噂、指は串に、庭師に、美容院に。
押しかける女、女、女、男の群。飛び交う罵詈雑言と視線がシザーハンズの心に突き刺さる。
自分を変えてくれた恩人のために階段を駆け上る、それを引き裂く銃撃、瓦礫よりも重い人間からの一撃、抱きしめられないのなら、触れられないのなら、解り合えないのなら…。
唇だけが別れを惜しむように触れ合う。 冷たい鉄の塊は「手」として認識され、群衆を退かせる。
氷の彫刻が紡ぎだす雪、雪、雪の舞い。