6.《ネタバレ》 これこそリュック・ベッソンのオリジナル「グラン・ブルー(グレート・ブルー)」。
ベッソン最高の映画はコレだ。
ベッソンは「○○狂」という一つのテーマがある。
後の「TAXI」はスピード狂、
「レオン」は「グロリア」を骨子に殺しに取り憑かれた者たち、
そして「グラン・ブルー」は海に“魅せられて”しまった男たちを描いた。
ジャックとエンゾは対照的な人物だ。
劇中のマイヨールは“静”だが本当は“動”を求め、
劇中のエンゾは“動”だが本当は“静”を求めていた。
動=生、静=死・・・実在の二人は劇中と正反対の生き方をしたと言える。
この「グラン・ブルー」は海に魅せられた二人の男、それに惚れてしまった女性の葛藤を描いている。
何処までも蒼く澄んだ海、全てを飲み込みそうな深淵・・・母親のような海に育ち、その美しさに溺れたくなったのだ。
だが人間は人魚でもイルカでも無い、陸の上で生きることを宿命付けられた存在だ。
ダイバーたちの海への挑戦は、そんな「運命」に逆らおうとする行動なのかも知れない。
二人の男は幼いころから海に生き、海のためなら死んでもいいというほど海に惚れ込んでいた。
彼らの命懸けの行動。
それは青春であり、生きがいであり、母親であり、何より最愛の異性でもある“海”に「認めてもらいたい」という純粋な思いがあったのかもしれない。
まるで恋人を奪い合いうように記録に挑み続けた二人。
ジョアンナはそんな彼らを受け止めきれない。
自分よりもイルカと一晩中たわむれる男なんてそりゃ呆れるわ(ベッドも海もジャックの股間は絶好調)。
そんなひたむきな所を好きになってしまった母性、「あの女(海)からジャックの心を奪えるほどの魅力が自分には無いのでは」と悶えるジョアンナ。
何この三角関係。
ジャックの海への愛着は、ジョアンナには「狂気」に見えたのかも知れない。
水中でイルカと戯れるジャックの無垢な笑顔が何とも言えない・・・海行きたくなった。