3.岸壁に砕ける波濤。荒々しい漁船のローリング。網にかかったニシンの大群とヤン衆の格闘。そして雪原を疾走する犬ソリの主観映像。
迫力満点に活写されたドキュメンタリー・タッチの映像は、紛れもなくフラハティ『アラン』の影響だ。
時化(しけ)る海を警戒して松明が群舞する夜間撮影の見事さなど、スタッフの苦労が偲ばれるロケーション撮影の場面はいずれも文句なしに素晴らしい。
伊福部昭による重低音の情景音楽が不要と思えるほど、画面に力が漲っている。
ここでの久我美子はいまいち魅力を欠くが、三船敏郎ははまり役。
とりわけ鰊番屋で披露されるワイルドで独創的なダンスは圧巻だ。
月形龍之介との格闘シーン以上に強烈なインパクトがある。