1.内藤洋子って映画から出た正統アイドルの最後の人かなあ(突然変異的な角川娘はいたけど)。と言っても微妙なところで、たしかにデビューは『赤ひげ』と映画だが、名前を売ったのはテレビの「氷点」で、そういう面では過渡期の人。映画ではさかんにおでこを強調して、アイドルとしてのセールスポイントにしている。でもこういう「愛くるしい系」の時代は終わりつつあり、次は秋吉久美子のようなちょっとスネた不良性を漂わす感じが70年代の主流となっていくのだった。時代に間に合わなかった哀しみが、この人にはある。一生懸命プロモーション映画としていろいろやっている。乗馬姿あり、水着姿あり、テニスもやって、レモンもかじるし、定番中の定番、海岸をスローモーションで走ったりもする。こういう不良性のないアイドルは、次からは完全にテレビへと、たとえば天地真理にバトンされていったのだろう。