1.《ネタバレ》 伊藤潤二の同名のホラーマンガを原作とした実写ドラマで、人間の夢の中の世界と現実世界に乖離が生じて拡大していく話である。「伊藤潤二恐怖コレクション」というシリーズの一つとして、2000年7月にテレビ朝日で放送されたらしい。
内容としてはかなり原作に忠実で、基本的に原作の出来事はちゃんと拾っている。患者の外見なども原作に倣ったようで、特殊メイクは一見失笑モノ(ピンポン玉)だが結構気色悪い。両手の指を伸ばす場面は原作にもあるがドラマの方が印象的に映像化されており(意味不明だが)、次第に言葉が変になっていく様子も表現されている。別に怖くはなく派手さもないが、背景音楽の雰囲気を含めてミステリー調のドラマを真面目に作っており、同じ監督の映画「うずまき」(2000)のようなふざけたところは基本的にない。
全体構成としては、原作が短編だったのをオリジナルの登場人物も加えて1時間程度に拡張している。自分の感覚としては、原作はどうも尻切れ状態で終わってしまう印象があったが、このドラマでは違和感なく延長してオチまで付けた形になっており、ここは未完成だった原作を補完して完全版を作ったようにも見える。ラストの展開は若干無理があるようでもあるが、全体的な印象としては悪くなかった。
人物に関して、キャスト配列順の2番目のつぐみという人は知っている人は知っているだろうが、今回は病人役のためあまり可愛く見えるところはない(ラストの一瞬のナース姿もこの人か)。また上記「うずまき」にも出ていた初音映莉子という人は友情出演ながら実質的なヒロインで、今回は少し落ち着いた感じで古風なラブストーリーの恋人役をやっている。50がらみのオヤジとのキスシーンが直前で回避されたのは幸いだった。