14.《ネタバレ》 他の人も指摘していますが、ベルの周りの(父親除く)連中のクズっぷりとそれに対比するような野獣の紳士っぷりが非常に印象的な作品。 コクトーの作品しては随分ストレートかな、という感じではありますが、舞台装置的な演出や野獣の造形はなかなか素晴らしく、他の「美女と野獣」関連作と比べてもファンタジックというより少しおどろおどろしさがある分個人的にこちらの方が好きです。 確かに、ベルが野獣に心惹かれる過程がちょっと不明瞭だったり、ジャン・マレー扮する王子が突如空を飛んだりと色々と「なんで?」と思うシーンもあるのですが、冒頭のテロップにもある通り、童心にかえって作品を楽しむ、という意味ではこれもありなのかな、という感じでした。 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-09-23 16:02:45) |
13.《ネタバレ》 ベルの周りの人間がビックリするほどクズで引く。シンデレラに出てきそうな意地悪な姉たちや、親の財産を借金のかたにする兄。野獣を殺してしまおうと発案する求婚者(これは仕方ないかもしれないが)。まあ、それはいいとして。 壁から出た手が燭台を持っていて人が歩くにつれそれが動くとか(しかもアレ、燭台を渡してくれたり出来るんですね!)、動き回る人を目で追う胸像とか、まるで舞台作品でお目にかかるような魔法の演出のイマジネーションが凄い。一方、兄の友人が野獣に変わる所や野獣が王子に変わるところ、ベルが瞬間移動するところなど映画ならではな表現もある。 物語的には、ベルが野獣に心惹かれるようになる経緯がちょっと納得しずらい。そこのところの感情移入が薄いので、野獣が王子に戻った後のベルの態度が「どこの馬の骨とも知れぬ王子」にただそれと判ってなびいているだけ風に映る。よく考えると、これはかなり大きな弱点かもしれない。 だけど魔法が溶けた王子が空を飛ぶのは変だよなあ。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-08-21 18:29:22) |
12.有名な童話が、重厚絢爛に、おどろおどろしく、愛憎露わに、表現されています。終始ドキドキ、ハラハラし画面に目が釘付けとなりました。大変豪華な童話でありました。 |
11.《ネタバレ》 かなりホラー・テイストな作りで、野獣が如何に恐ろしげであるか、工夫しているのが伝わります。視覚的に野獣が十分でないことを差し引いても、この映画には足りないものがいくつもあるように思えます。城の中の動く装飾物は、何の役目も果たしていませんし、始めに野獣が登場する場面には、何の工夫も感じられません。私の中では、20年前のディズニー映画があったから、この映画が歴史的価値を持ったと思えます。何よりもこのような演出では、ベルが野獣に惹かれたのは、贈り物が1番の理由と思えてしまいます。それでは物語が成り立たないでしょう。 【shoukan】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-08-27 23:10:44) |
10.ワンコインDVDで見たのだが、はるか大昔子どもの頃に見たことを思い出した。手の燭台が動く、人間の顔の置物の眼が動く、終盤の硝子の天井から落ちる・・・、それぞれの断片シーンを覚えている。それが見事に繫がり、「美女と野獣」だった。 この映画はむずかしい、子ども向けのおとぎ話なのか、大人の絵本なのか、不思議なファンタジーだ。伝えたいのは「どんなに姿形が美しくても、心が美しくなくては・・・」ということだろうが、それにしては非常に安易な結末、よくわからない。(ここまで昔見たときの感想) 2014年版「美女と野獣」を見たあともう一度DVDで見直す。モノクロの幻想的な雰囲気、わかりやすいストーリーで評価アップ ラストは相変わらず不満だけど。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-05-02 00:11:11) |
9.寓話は寓話として割切って観たつもりだが、さすがに入り込むことはできなかった。 幼い頃に観ていたら、またその感じ方も大きく異なっていただろう。 まだ純粋な心を忘れていない少年少女たちに、是非観てもらいたい芸術作品の極み。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2011-03-24 14:29:26) |
8.人を追って動く蝋燭を持つ腕などの美術や、逆回しや様々なトリックを駆使して不思議な世界を演出するアイデアが素晴らしい。コクトーの映画は「オルフェ」がシュール過ぎてわかりにくかったが、この作品は理解しやすく登場人物の心理の変化もつかみやすい。「野獣」のメーキャップもこの時代にしてはがんばっているので、モノクロの映像ではほとんど違和感はない。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-07-20 00:34:36) |
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7.《ネタバレ》 イマジネーションを刺激する寓話。雑感です。◇野獣の力の秘密は鏡、白馬、金の鍵、手袋、薔薇の5つ。鏡は見たいものが見える。白馬はどこへでも迷わず行くことができる。金の鍵は真の財宝がある場所の扉を開ける。手袋は瞬間移動能力。では薔薇の力とは何だろうか。事件の発端は、ベルの父が知らずに薔薇を摘んでしまい、死の宣告を受けたことだった。摘んではいけないものだったことしかわからない。薔薇はベルに渡されたが、その後は登場しない。他の力から類推すれば、見る人の好きな形に姿を変える花だったのではないか。あるいは世界一美しい花か。◇ベルの父は一輪の薔薇を盗むという微罪を犯した。その罪は、死か、娘を野獣に差し出すかという不条理なものだ。不条理さを受け入れることにより野獣の魔法に取り込まれてゆく。心優しいベルは父のために自らを犠牲にし、進んで野獣の元へ向かう。城では不思議なことが次々起きるが、予想に反して野獣の態度は紳士的だった。「お前を見ていいか。ここではお前が主人だ」小間使いの仕事などしなくよく、自由に贅沢に暮らせる。ただ野獣と夕食を一緒にすればいいだけだ。ベルは徐々に心を許し、一緒に散歩をしたり、飲み水を汲んであげたりする。いやなことは毎日求婚されることと病気の父に会えないこと。◇ベルは野獣を醜いと思っているが、野獣が自分自身の醜さを認識しており、根は善良であることを見抜いている。◇アブナンはどうして野獣になったのか。彼はベルを愛しており、彼女を救出しに城に向かった。だが間違って宝物館に行ってしまった。金の鍵で開ければよかったのに天井の窓を壊して侵入しようとした。このとき宝物に眼が眩んでしまっていた。そして魔法の矢で射られてしまった。真の愛があれば真直ぐにベルのところへ行けただろう。 ◇野獣はどうして人間に戻れたのか。女性から心から愛されなければ魔法は解けない。野獣は父親を思うベルの心に打たれて、帰宅を許した。そのとき力の秘密を教え、金の鍵を託した。ベルが期限内に戻らないと死んでしまうという。これは恋の苦しみなのか、そういうシステムなのか。恋の苦しみならベルが戻ってきたときにすぐ元気になる筈。ベルが金の鍵を探すぶんだけ遅れたのだろうか。ベルが野獣を愛したのは確実。しかしそれでも魔法は解けず、野獣は死んだ。魔法が解けたのは、アブナンが野獣になってから。交代制なのだろうか。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-06-25 23:09:54) |
6.《ネタバレ》 詩人コクトーは詩では表現できない視覚的美の最たるものを見せてくれる。小説家コクトーは小説では表現できないジャン・マレーへの愛を見せてくれる。演劇家コクトーは演劇では表現できない幻想的な世界を見せてくれる。豪華なセットが、特殊メイクが、ジャン・マレーの相対する二役が、カーテンのゆらめきが映画の極致を見せてくれる。そのうえ、シュワッチ(とは言わないが)と空を飛んでいっちゃうんだから、拍手するしかない。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-05-02 11:46:58) |
5.ジャン・コクトーの映画を初めて観ました。いや~、実に美しい。映像の質が良いとかそういうんじゃなくて、照明やカメラワーク、俳優の演技に言い回しと何もかもが気品に満ちています。醜いはずの野獣でさえもエレガント。「美女と野獣」と言うと今までディズニーのアニメしか観たことがなかったので、こういう描き方もあるのかと新鮮な衝撃を受けました(と言うかこっちの方が正当?)。マイナス一点は夢のような世界に本当に寝入りそうになってしまったので…、しかしあの腕はインパクト絶大です。 【かんたーた】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-21 22:42:57) |
4.まずは何と言ってもフランス映画の香りがぷんぷん漂ういかにもフランスていう感じの映画です。言葉では片付けられない物凄い神秘的でとにかく何もかもが本当に美しく、これはもうフランス映画ならではのものであると言えよう!そんな美しい映像の中で語られる美女と野獣の切ない物語が心に残ります。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-15 20:43:25) |
3.黒板に手書き(?)の、一見侘しいタイトル・バックからは想像もつかない、息を呑むイマジネーションの数々と野獣の特殊メイク(精々当時の「狼男」程度のものを想像したら大間違い。このメイクは今見ても凄い)。ジャン・コクトー云々以前に、終戦の翌年にこんな夢のある作品が、しかも一流の美術と特撮を駆使して実写映画化されていたとは、それだけで驚きです。ディズニーの「美女と野獣」を観た時も、CGを駆使したアニメらしからぬカメラ・ワークに驚きましたけど、本作はそれ以上の驚きを与えてくれました。これは老若男女問わず、夢の世界に誘ってくれる作品です、7点献上。 【sayzin】さん 7点(2004-12-24 00:09:30) |
2.すごくステキ! ホントに美しいことこの上ないわね。 お話自体はとっても有名なこの作品、第二次世界大戦直後の1946年にここまで忠実かつゴージャスに映像化できたのね。 もちろん映像技術は今の感覚から言うと子供の遊びみたいなもんなんでしょうけど、それを補ってあまりあるすばらしいアイデアの数々、ステキだわー。 ジャン・コクトーったら、ホントに才能豊かで美的センスの鋭い「天才」なのね。 ベル役の女の子もお人形さんのような美しさだし、ジャン・マレーはちょっぴり強面だけど、あれだけ白タイツが似合う人もそうはいないわよ。 あー、ホントに絵本の世界そのままで、まさに夢見心地の二時間だったわー。 【梅桃】さん [地上波(字幕)] 8点(2004-08-26 20:51:52) |
1.コクトーのこの作品は、詩情豊かなファンタジー映画の極みとも言えるものだが、ちょっと違った視点からひとこと。当時大西洋の向こう側(アメリカ)では、『市民ケーン』の撮影監督グレッグ・トーランドによるパンフォーカスが盛隆を極めているというのに、本作の撮影担当だったアンリ・アルカンは、あえてこの流れに拮抗するかのように緩やかな移動撮影に加えてピン送りを多用し、フレームに入ってきた対象にいちいち律儀にピントを合わせていくのであった。いやあ、フランス人って意地っ張りだなあと思うんだけれども、これが、どちらかと言うとまったりとしたこの作品に独特の緊張感を与えていて、粋なのだよ。 【なるせたろう】さん 10点(2003-12-08 21:12:45) |