4.《ネタバレ》 醜い世界の過酷な境遇に生きる女性に美を見出す、とゆーのは、古今東西問わず結構よくある映画的シチュエーションだと思うが、そーいうのを男の下卑たサディスティック指向と結びつける向きが一部にあるのは、これも然も当然なコトだとも個人的には考えている。だから重要なのは、そのドン底の境遇のリアリティなのだろうな、とも感じているのだよね。実際に在るコトなんだからしょーがないじゃない!とゆーのが(少しばかりの)エクスキューズになり得る、とでも言いますか。
その意味では、本作の凄さは二つの点にあるかと思う。まずは全編釜ヶ崎ロケというものの凄まじさ。画面から放たれるとんでもなくヤバい雰囲気には終始マジで圧倒されるのだし、ややドキュメンタリチックな撮り方もその意味では非常に適切だったと思う。この一点だけでも間違い無く観る価値のある古典的作品だと言えるし、そもそも相当に撮るの苦労したのではないかとも容易に想像できるのだね(その意味でもレガシー的価値がある、とゆーか)。
もう一つはモチロン、主演の芹明香ですよ。彼女が居なければ・彼女でなければ全く成立しない作品だし、ここまでのハマリ役とゆーのは正直他に観たことが無い、というレベル(ホントにこーいう生まれです、と言われても二もなく信じてまう、つーか)。そして一方で、これ程までに美しい・神々しい女性美・母性美とゆーのは、私はこれも他に匹敵するものを知らない。この点に関しては同種の映画、つまり『カビリアの夜』だとか『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とか『西鶴一代女』すらも上回る、と個人的にはそのような感覚を持っているのですよ。
現代に至って、本作は完全に人間ドラマとして評価すべき作品であることには何の異論もないと思われるが、その面の完成度は(そもそもがポルノであることもあって)決して他と比較して高度だ、とは言えない様にも思う。とは言え、類稀でユニークで絶大なとあるクオリティを備える屈指の傑作であるのも絶対に間違いは無い。全力でオススメしたい作品です。