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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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41.  アメイジング・スパイダーマン
恋をした同級生の男子が“スパイダーマン”であることを知り、その背中を見送るヒロインは一言「ああ困った」と呟く。 その彼女のテンションは、スーパーヒーローを好きになってしまったという極端な動揺ではなく、警察官の娘なのに街のちょっとした問題児を好きになってしまって「ああ困った」というような、ハイティーンの普遍的な動揺として表現される。 このシーンによって、この映画のスタンスは、つまるところ若い男女の恋模様を主軸とした青春ドラマであり、それ以上でもそれ以下でもないということを宣言していると思えた。  アメコミヒーロー映画としての“エンターテイメント性”という部分において、及第点を越えていることは間違いない。しかし、サム・ライミ版の第一作目と比べると、すべての娯楽性の部分において衝撃度は劣る。 でもだからと言って面白くなかったかと言うと決してそんなことはなく、ヒーロー映画云々以前に映画として素直に面白かったと言える。 そしてその面白さこそが、冒頭に記したこの映画のスタンスに尽きると思う。  膨大なアクションシーンのボリュームの力技で貫くのでもなく、はたまたライミ版の「スパイダーマン」や「ダークナイト」の如くヒーローの内面的な葛藤に対してディープに踏み込んでいくわけでもない。 悪漢に制裁を与えるシーンで軽妙な振る舞いをしてみたり、一旦恋に落ちれば“秘密”や“約束”なんてないがしろにしてみたり、良い部分でもあり悪い部分でもあるそういったハイティーンの“軽さ”と“若々しさ”それに伴うポップさこそが、この映画におけるエンターテイメントそのものとして存在している。 まさにそれこそが「(500)日のサマー」のマーク・ウェブが今作を監督をした価値だったろうと思う。  どういう捉え方をするかによって、観賞後の満足感は大いに左右するだろう映画であることは確かだと思う。 単純に比較するべきではないかもしれないが、サム・ライミ版と比べて映画のテンションからキャスティングに至るまでどちらが「スパイダーマン」という素材に相応しいかと問われれば、ライミ版に優位性があることは間違いない。  でも、個人的には、主人公とヒロインが誰もいない学校の廊下でデート(じみた何か)の約束をするという、アメコミヒーロー的な側面には何も関係ないシーンに心を掴まれてしまった時点で、この映画を揶揄する気は毛頭無くなってしまった。
[映画館(字幕)] 8点(2012-07-02 16:07:04)(良:3票)
42.  アドレナリン(2006)
何か知らんが、アドレナリンを出し続けなければ心臓が停止するという毒薬を注入された男が、己の生命と復讐をかけ、他人の命と迷惑なんて顧みず街中を走り回るという映画。 馬鹿馬鹿しいにも程があると言わざるを得ないストーリーだが、それでもかろうじてエンターテイメントとして成立させている。 そして、この馬鹿馬鹿しさをまかり通せるのは、今はこの男しかいないだろう。  ジェイソン・ステイサムが、表現通りに“アドレナリン分泌しっ放し”の主人公を、“いつも通り”の存在感で体現してみせる。この映画のエンターテイメント性は、もうその存在感に頼りっぱなしと言っていい。  90%以上は「くだらない」と一笑に付してしまって良い映画だが、困ったことに主演俳優の存在性を盾にして、どうしたって印象に残ってしまうシーンが所々で映し出され、時に大笑いしてしまい、時にウルッときてしまうものだから、尚更始末が悪い。  公然○○○シーンや、まさかのラストシーンでの愛の告白からの衝撃のラストカット。 本当にこの映画を作った方々の頭はどうかしてしまってるんじゃないかと思ってしまう。主演俳優も含めて……。  そしてッ、このラストで続編があるってんだから、いよいよどうかしてるぜ!
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-06-07 15:33:20)(良:1票)
43.  ある戦慄
日曜深夜の都会の地下鉄、自身の人生に対して様々な不満や不安や葛藤を抱えた人々が偶然に乗り合わせる。それはどこにでもある日常の風景だろう。 そこに、単純な「粗暴」という言葉ではおさまらない、気が違っているとしか言いようがないチンピラ二人組が乗り込んできて、乗客たちそれぞれに傍若無人な行為を繰り返していく。 その行為は、「暴力」という範疇までには及ばないけれど、あまりに悪辣で乗客たちを精神的に追い込む。  最初のうちはチンピラたちの蛮行そのものに対して憤りを感じ、気分が悪くなる。しかし、次第に気分の悪さの対象が遷移し始める。 チンピラたちの行為に被害を被る乗客たちの生々しい人間性が露になってきて、気を滅入らせてくる。  この映画は1960年代のニューヨークを舞台にしているが、この地下鉄の一車両で描かれているものは、どの時代のどの国のどの街でも存在し得るであろう人間同士の歪みである。 その場に居合わせているのがごく普通の人間だからこそ、少しずつ表面化していく“戦慄”があまりにおぞましい。  「どこにいたんだ?」 退役後の大層な野心を述べていたにも関わらず、地下鉄車内に突如発生した「出来事(incident)」に対して結局何もしなかった同僚に対して、チンピラに唯一立ち向かった田舎者の軍人が、虫の息でぽつりと言う。  他の乗客たちは、すべてが解決した後も死人のように呆然と押し黙ったまま、とぼとぼと地下鉄を降りていく。 “戦慄”とは、突然現れた悪魔のようなチンピラたちなどではなく、彼らによって浮かび上がらされたすべての人間に巣食う屈折した心理そのものであること知らしめ、彼らと同様に自分自身があの車両に同席していたならと考えると、絶妙な後味の悪さに襲われる。  とても胸糞が悪くなる映画だった。その胸糞の悪さは、そのまま自分を含めこの映画を観ているすべての人間たちが内包している要素であり、そのことが殊更に胸糞悪さを助長する。 観ているままに居心地の悪さを終始感じ続けなければならない映画だが、それは人間の“澱み”や“歪み”を如実に表している証明であろう。故に傑作であることは間違いない。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-13 01:05:01)(良:1票)
44.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 
殆ど予備知識無く鑑賞を始めたので、冒頭から滲み出ているサスペンスフルな空気感にすんなりと引き込まれ、二転三転する展開を堪能しながら最後まで楽しむことが出来たことは間違いない。 サスペンスアクションとして、サスペンスの緊張感とアクションの高揚感がバランス良く配置されており、鑑賞直後の満足感は当初の想定よりも随分と高かったと言える。  ただし、観賞後数分間でちょっと振り返ってみると、粗という粗がポロポロと出てきてしまうことは否めない。  よく考えると映画全編に渡って言えることだが、「実は一流の○○○」だったというには、そもそもの言動がずさん過ぎて陳腐だ。 まず目的のために徹底した偽りを謀るとはいえ、目的地への移動中に至るまでその偽りを貫く必要があるのだろうか。これは明らかに観客を欺くためだけの演出であり、人間描写上の必要性はないと思う。 そんでもって、空港のタクシー乗り場で最も重要な鞄を置き忘れるって、どんだけうっかり屋さんなんだという話だ。これも結局、ストーリーとしての一つの目的を設置するためだけの設定であり、極めて安直だ。 他にも、一流ならば乗り込んだ先の言語で世間話くらいは出来るようにしとけよ!とか、ふいの自動車事故とはいえ簡単に気を失い過ぎだろ!咄嗟に飛び降りるとかそれくらいしようよ!とか一流の組織のメンバーのくせいに素人の女の子にやられてどうすんだ!とかとか……、一度突っ込み出したら止まらなくなってきそうだが、とにかくよくよく考えると用意されていたオチに対して整合性が無さ過ぎる要素に溢れてしまっている。  ストーリーのアイデア自体は、オリジナリティが高いとは言い難いけれども充分に面白味に長けている。それが興味を最後まで持続させる最大の要因だとも思う。 しかし、このアイデアであれば、ラストの顛末でもっとどぎつく踏み込むことができたなら、数多の粗を振り切って余りある映画に仕上がっていたかもしれないなと思う。リーアム・ニーソンのクライマックスの表情は観る者を惑わせる緊張感が含まれていて良かったけれど……。  まあそこまで完璧なクオリティーを求めるべき類いの映画ではないと思うし、観ている間と観終わった瞬間に満足していたならそれで充分だと思う。  と同時に、画面から溢れ出る上質な色調と巧い俳優陣の演技によって、もの凄く質の高い映画に“見えるだけ”に、やはり残念に思う。
[DVD(字幕)] 6点(2012-02-26 02:14:25)(良:2票)
45.  アンストッパブル(2010)
鉄道職員の怠慢によって発生した暴走列車を同じく鉄道職員の機関士二人が決死の覚悟で止めるというお話。 実話を元にしているとはいえ、娯楽大作としてはいささか地味過ぎるのではないかと思ったが、それが存分に堪能出来るエンターテイメントへと昇華されている。 さすが米娯楽映画界の職人トニー・スコット、ちょっと見くびれない。  実際、イントロダクションのままのお話であり、想定外の驚きは何もないと言っていい。 しかし、やはり一つ一つのシーンの見せ方が巧く、展開のテンポも非常に良いので、観ていて決してダレないしどんどんと映画が醸し出す緊張感の中にのめり込ませてくれる。  主演のデンゼル・ワシントンは、何と同監督作品の主演が今作で5作目ということで、ある意味余裕の存在感を見せてくれており、気難しくも人徳のあるベテラン機関士を好演している。  誰しもが充分分かりきっていることだろうとは思うが、この映画は観賞後にとくとくと考え込むような映画ではない。そんな余地は無い。 作品の尺の長さの時間分だけ、主人公の機関士らを見守る脇役同様に、彼らの活躍をドキドキハラハラしながら見守り、最後に「イエーイ!」となればそれだけで充分な映画である。 
[DVD(字幕)] 7点(2012-02-23 23:44:18)
46.  アイアン・ジャイアント
謎の巨大ロボットと少年との心の交流を描いたどストレートなアニメ映画だった。 新鮮味はなく、ありきたりと言ってしまえばその通りだけれど、王道的な映画世界を堂々と描き切った“巧い”映画だと思った。  ありふれたお話だが、まずストーリーの転じさせ方が巧い。序盤の何気ない描写がしっかりとクライマックスやラストの伏線となり、ちゃんと惹き付けてくれる。 時代背景が冷戦構造のまっただ中だったり、主人公の少年の父親はおそらく戦死していたりと、テーマである「暴力反対」が決して押し付けがましくなく、心温まるストーリーの中ですんなりと入ってくる。  監督は現在公開中の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」のブラッド・バード。 他にも「Mr.インクレディブル」も監督しており、とても「娯楽」を描くことに秀でた人だと思う。 娯楽映画こそ、作り手の才能が大いに影響されるジャンルだということを改めて感じた。  映画は、アニメ映画らしく心地よいラストで締められる。素直に「ああ、良かった」と思った。
[DVD(字幕)] 8点(2011-12-30 14:26:20)(良:1票)
47.  アジャストメント 《ネタバレ》 
自分は「運命」というものの存在を強く信じるタイプの人間だ。 それこそ、不注意で鍵を無くしてしまい余計なタイムロスを生じさせてしまうことも、友達と飲んでいる際にふいに出会った女性と結婚してしまうことも、それが幸か不幸かは別にして自分の運命だと思っている。 そんな風な価値観で人生を生きているので、「運命調整局」という組織が登場するこの映画のコンセプトは、とても興味深かった。  マット・デイモン演じる主人公は、世界中の人間の運命を司る絶対的存在を目の当たりにしながら、自分の運命に真っ向から歯向かっていく。 その様は人間描写において少々強引にも感じたが、自分の成功も愛する人の幸福も省みず、ただ盲目的に愛を追い求めていく姿には、やはり絶対的存在の感情をも揺さぶるものがあったと思う。  ただし、映画の顛末としてはあまりにも綺麗にまとめすぎているようにも思う。 超現実的な事象を前にして、主人公は馬鹿正直すぎてストーリー自体の情感が希薄なまま終わってしまった。 自分に巻き起こった全てのことを「運命」と認めて、複雑な心情をラストに表してくれたなら、もっと印象的な作品になったように思った。
[DVD(字幕)] 6点(2011-10-05 15:51:53)
48.  アサルト13 要塞警察
前々から気になってはいたのだけれど、いまひとつ手が伸びなかった今作。結論から言ってしまえば、まあテレビ放映されていたので一応録画しておいて暇な時に観るのに相応しい内容だったと言える。面白くないことも無いが、大したことは無い。  導入部は、主人公のイーサン・ホークは早速登場するものの、別の映画が始まったのか?と疑ってしまう程意外な展開で引き込まれた。 想像以上に画づくりもしっかりしていて期待は膨らんでいった。  主人公と対立(いや共闘?)するローレンス・フィッシュバーンをはじめ、ガブンリエル・バーンやジョン・レグイザモら実力のある俳優が脇を固めていたことも、映画として一定の質を保った要因だったと思う。  設定は強引だが、果たしてどうなるのかというサスペンスフルな要素は終始味わえる。 しかし、最終的なオチや終着点は完成度が高いとは言えず、詰まる所「良くも悪くもない」という印象に行き着いてしまった。 必要最小限のキャラクターたちを生かし切れていなかったことも勿体なかった。もっとそれぞれのキャラクター性と役割を明確に描けば随分と面白くなったと思う。   今作を見終わってから、ジョン・カーペンター版のオリジナル作品のリメイクだったことを知る。 当然だろうが、オリジナル版の評価が高いようなので近いうちに観てみたいと思う。 
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-09-18 14:51:40)(良:1票)
49.  アガサ・クリスティー ミス・マープル3 復讐の女神<TVM> 《ネタバレ》 
ミステリーにおける“探偵”は、物語の真相を解き明かす先導者であり、同時に犯人を奈落の底に突き落とす”死神”でもあると思う。 謎の解明は即ち、殺人者に対する処刑宣告であり、その様は時に無慈悲で恐ろしい。  そういったミステリーの主人公の“正義漢”と表裏一体の“恐ろしさ”を、今作のミス・マープルからは如実に感じられた。まさに「復讐の女神」という主題にふさわしい。  古き友人の遺言に導かれるようにミステリーツアーに参加するミス・マープル。そこに集まるわけありの人物たち。 アガサ・クリスティー作品の大定番と言える舞台設定の中で、殺人が起こり、過ぎ去った殺人事件の真相が導き出される。 展開は極めて王道的だが、冒頭から感じられる禍々しさがストーリーの全編に溢れ、緊張感を増幅させる。  多くのミステリー作品で見られる顛末と同じく、真相を暴かれた殺人者は自ら命を絶つ。 その定番の展開を見る度に、みすみす死なすなよと思ってきたけれど、もはやそれはミステリーそのものの定石であり、避けられるものではないのだと感じてきた。  ミステリーにおいて、真相を解明する者は、同時に死刑宣告者であり、すべての主人公はその宿命を負っているのだ。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-20 14:38:27)
50.  アンドロメダ・・・
2010年、日本国内を席巻したトピックスの一つとして挙げられるのは、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還だろう。 それまで見向きもしなかったものに対して、突如として熱狂することは、善し悪しは別として昨今の日本人の特色だ。 このトピックスで日本中が沸いた際、何かのメディアで評論家が興味深い“不安”を口にしていた。  それは、無人探査機が地球から遠く離れた小惑星から採取したその「物質」が、地球の生態系において全く無害で、人類の科学技術で管理できるものだと、誰が断言できるのかということだった。  大多数の賞賛の中で、その空気の読めないコメントは、特に取り上げられることもなくスルーされた。 だが、その“不安”は、充分に考えるべき要素だと思った。  そして、それに極めて類似する不安要素を、このマイケル・クライトン原作の映画作品に感じた。  映画として優れた娯楽性を見せる作品とは言い難い。  宇宙から飛来した謎の病原体を、4人の科学者たちが深い深い地下の秘密施設で研究し続ける映画で、作中の科学者たちと同様、延々と繰り返される終わりの見えない研究室の風景には、退屈感が蔓延する。 主要キャストの4人も、オジンとオバンばかりで格好良さがまるで無い。  謎の物体が、突如として真の姿を現し始める瞬間など、スリリングな場面は幾つかあるのだが、もっと娯楽性高く映画全体を魅せる方法はいくらでもあるように思う。  ただ、今年「はやぶさ」に対する安直な熱狂があったからこそ、この映画が描き出す「恐怖」は、実はすぐそこに迫っているのではないかという緊張感を増幅させる。  そう考えていくと、分かりやすい娯楽性なんてこの映画には必要なく、延々と続く研究シーンと同じく、「未知なるもの」に対する実態の見えない分かりにくさこそが、「本質」なのだとも思える。
[DVD(字幕)] 7点(2010-10-18 22:32:41)(良:2票)
51.  アガサ・クリスティー ミス・マープル3 ゼロ時間へ<TVM>
「ゼロ時間へ」という意味深なタイトル、そして冒頭で語られる「殺人事件」に対する哲学的な言い回しに、より深い視点からのミステリーが繰り広げるのかもしれないと期待したけれど、実際は極めて定番なミステリーだったと思う。  ミス・マープルが珍しく積極的に事件周辺を嗅ぎ回り、ラストでは真犯人に対して高圧的な姿勢で対峙する様が印象的。 ただその反面、アガサ・クリスティー特有の人間模様には、それほど深みがなく、ドラマ性は薄く感じられた。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-10-15 11:02:22)(良:1票)
52.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 シタフォードの謎<TVM>
猛吹雪が吹き荒れる中、山里深い小さなホテルで、次期首相候補の男が殺される。  当然、その小さなホテルに集っていた何やら怪しげな宿泊客らが容疑者となり、  ミス・マープルは例によって自身は殆ど捜査活動に動かないまま、人づてに聞いた情報のみで事件の真相を解き明かしていく。  アガサ・クリスティーの同シリーズも4作品目なので、ミス・マープルの独特の捜査手法にも慣れ、「定番」の流れを安心して見られるようになった。  現在の人間模様と、過ぎ去った人間模様が絡み合い始めたとき、事件の真相が見えてくる。  殺される首相候補の政治家をティモシー・ダルトンという俳優が演じていて、どこかで見たことがあるおっさんだな~と思っていたら、かつて「007」でジェームズ・ボンドを演じた俳優だった。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-10-15 11:01:27)
53.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 動く指<TVM>
アガサ・クリスティー原作の人気シリーズ「ミス・マープル」。そのテレビ映画シリーズを今回初めて続けて鑑賞し、今作が3作品目。 ようやくこのシリーズの特徴として、“ミス・マープル”は決して主人公ではないということに気づいた。  様々な人間模様の中から渦巻く謎と殺人事件。その「真相」を導き出すのは、“第三者”である謎解き好きの老婦人ではなく、その人間模様の中にどっぷりと息づく当事者であることが多いようだ。  一般的な名探偵ものとは一線を画し、名探偵役のミス・マープルは、節々で観察眼の鋭さを見せるものの、その立ち位置は、我々「鑑賞者」の目線に近い。 そのかわりに、物語の中で描かれる人間関係に密接な人物が事件を解いていくことで、よりドラマ性が深化し、ただのミステリーに留まらない情感を生み出していると思った。  イングランドの田舎町で出回る怪文書を軸に、閉鎖的環境ならではの人間関係の“ひずみ”とそれに伴う“殺人”を巧みに描き出した今作も、その例に漏れず、繊細な人間ドラマと上質なミステリーを同時に味わわせてくれる。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-15 11:00:16)
54.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 親指のうずき<TVM> 《ネタバレ》 
突然死した叔母、消えた老婦人、時を越えた殺人事件……。 アガサ・クリスティらしいミステリーをミス・マープルが解き明かしていく。  浮上する「謎」の実像がなかなか見えないので、全編通して“ふわふわ”した感じてストーリーは進んでいく。 ミス・マープルと行動を共にするタペンス婦人がアル中だったりするので、余計に事件の真相が現実と妄想の狭間で見え隠れする。 それはミステリーの特徴として良いのだけれど、キーマンとなる人物の存在や見せ方もぼんやりと曖昧なので、ストーリー自体が追いづらい印象を受けた。導き出された真相と真犯人にも強引さと整合性の欠如を感じた。  独特の人間模様にはドラマ性があり、ミステリーとしての面白味は充分あるのだけれど、謎に対する真相に深みは無かったように思う。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-10-15 10:59:17)(良:1票)
55.  アガサ・クリスティー ミス・マープル2 スリーピング・マーダー<TVM>
アガサ・クリスティの「ミス・マープル」シリーズの映像作品を初めて観た。 謎を解き明かす主人公が地味な老婦人ということで、それほど興味はそそられず恐る恐る観始めたが、冒頭から繰り広げられる上質なミステリアスに途端に引き込まれた。  婚約を機にインドからイングランドへ移ってきたヒロインが、何かに導かれるように訪れた売り家にて、養生時に見た「殺人」の記憶が突然蘇ったことから、それまで眠っていた事件が目覚める。 ヒロインと事件にまつわる人々が入れ替わり立ち替わりし、複雑な人間模様があらわれてくるくだりは、アガサ・クリスティらしいストーリーテリングで、事件の真相と並行して導き出される隠された人間ドラマが秀逸だった。  ソフィア・マイルズが演じたヒロインが、蘇る記憶に苦悩しながらもアグレッシブに過去の人間関係を辿っていくので、ミス・マープルの存在性が薄く感じてしまったことは如何なものかと思う。 が、一つのミステリー作品としての完成度は極めて高く、オールドイングランドを舞台に洗練された文体の世界観を堪能できた。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-10-05 13:00:01)
56.  アラジン(1992)
5歳のとき、幼稚園のお遊戯会で「アラジンと魔法のランプ」の劇がクラスの出し物で、僕は主役のアラジンを演じた。 ターバンとテカテカの派手な衣装を着て、セリフと音楽に合わせて踊り、ボール紙に金の色紙が全面に貼られたランプをこすった。 今思い返すと、非常に気恥ずかしいが、良い思い出だ。  そんなわけで、この千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)の一説とされる物語に対しては、とても愛着があって、当然このディズニー作品もとっくに観たものだと思っていた。  が、ふと振り返ってみると、どうやらちゃんと観たことが無かったようだ。  観たことは無かったが、登場するキャラクターたちは、魔人のジーニーにしても、ヒロインのジャスミンにしても、あまりに有名なので、目新しさは無かったものの、終始安心して観られた。  何と言っても、ランプの魔人ジーニーのキャラクター性が抜群だ。 アラビアン・ナイトの世界観を超越したあの破天荒なキャラクター性は、ディズニー映画史に残る名プレイヤーだと思う。  あまりに有名なお伽話なので、ストーリーに特筆するようなインパクトはないが、そんなことをディズニー映画に求めるのはそもそもナンセンスだ。 突如繰り広げられるミュージカルと、青い魔人のテンションの高さに、必死についていくべき映画だと思う。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-08-23 14:06:08)
57.  アパートの鍵貸します
主人公は大手保険会社のしがないサラリーマン。上役の不倫の場所として自らのアパートを提供し、出世の口利きをしてもらっているという設定は、少々強引だし、かと言ってそこにインパクトがあるかというと、そうでもない。 ストーリーのプロット自体は、「安いラブコメ」と言ったところだ……。  ただし、圧倒的に素晴らしい映画だった。「名作」の名にふさわしい。  主人公も含め、登場するキャラクターの人間性が魅力的だというわけでもない。 むしろ、揃いも揃って、狡くて、愚かで、滑稽だ。  でも、そういう部分こそ、すべての人間が共通して持つ“人間らしさ”だと思う。 その決して格好良くない人間の有りのままの姿を、きっちりと描写していることが、この作品の最も素晴らしい部分で、多くの人たちに愛される映画である所以なのだろう。  気まぐれで意地悪な人間関係の中で、右往左往する主人公にふいに舞い降りるハッピーエンド。 それはあまりに唐突のようにも見えるけれど、人生の転機なんてものはそんなもので、喜びも哀しみもいつだってふいに訪れる。  人間の営みの儚さと、だからこそ生まれる素晴らしさを巧みに描いた傑作だと思う。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2010-08-22 23:49:25)
58.  アイアンマン2
今一番熱いアメコミヒーロー映画シリーズ「アイアンマン」。 このシリーズの最大の勝因は、何を置いても主演俳優のキャスティングだと思っている。 これまでのヒーローたちとはその存在性そのものが「異質」であるトニー・スタークというキャラクター。決してヒーロー然としていないこの無頼漢を、ハリウッドきっての問題児ロバート・ダウニー・Jr.が演じたことで、このシリーズの成功が決まったと思う。  非常に期待したこの続編。娯楽映画としての面白さは問題ない。何も考えずに与えられた2時間をただ楽しめる映画だと思う。  ただし、「1」に比べると、ストーリー展開そのものは安直で魅力がない。 悪役に迎えられたミッキー・ロークは、その存在感自体は熱かったが、用意されたキャラクターにあまりに魅力が無かったと思う。最終的には、アイアンマンと予備スーツを着たローズ中佐とのタッグチームに二人掛かりであっさり倒されるという、あまりにおいしくない役柄で、せっかくのミッキー・ロークが勿体ない。  まあそのかわりに見せ場を作ったのは、ブラック・ウィドウに扮したスカーレット・ヨハンソン。相変わらずゴージャスな風貌で魅せる美しい強さは、今作のハイライトと言えるかもしれない。  ストーリーの更なる充実に期待して、次回作も待望したいと思う。       (2018.5.5再鑑賞)  「インフィニティ・ウォー」追悼MCU行脚。劇場公開以来の再鑑賞。 初鑑賞時は、傑作だった「1」の高揚感に対して、若干“消化不良”が先行した印象で、決して駄作だとは思っていなかったが「凡作」と記憶していた。 しかし、今回改めて観返してみると、今作以降ある種奇跡的な成功を勝ち獲っていく「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」を発展させていく上で、非常に重要な“ブリッジ”の役割を果たしていると思える。  トニー・スターク自身に課せられた問題として、アイアンマン存続のための複数の障壁を解消しつつ、この時点では謎に包まれた“S.H.I.E.L.D”という組織の全体像を朧げながら浮かび上がらせている。 何と言っても今作においてその役割に大いに貢献しているのは、ナターシャ・ロマノフ=ブラック・ウィドウだ。この超人的な身体能力と美貌を兼ね備えたスーパーエージェントを演じるスカーレット・ヨハンソンが、言わずもがな「堪んない」。  初見時はストーリー構成上ややとっ散らかって見えたアクション描写も、改めて観てみると、しっかりと盛りだくさんで見せ方も悪く思えた。おそらく、この後の展開が全く見えていなかった初見時は、ストーリー上に散りばめられたアレコレが当然ながら腑に落ちておらず、散漫に見えたのだろうと思う。 まあ、そういう部分が、やはり単体映画としては「粗」であったことは否めないけれど。  現在時点で、MCUの世界観にどっぷりと遣ってしまっているファンとしては、今作の価値は一転して高まった。 「アイアンマン」「アイアンマン2」を監督として務め上げ、MCUの本流を生み出してくれた“ハッピー”もといジョン・ファブローは、「良い仕事をした」と改めて思う。  エンドロール後のシークエンスには“ソー”のハンマー! 最高じゃん。
[映画館(字幕)] 7点(2010-06-27 22:33:25)
59.  アリス・イン・ワンダーランド
「ずいぶんと子供向けの”不思議の国のアリス”だな」  というのが、観終わった後の率直な感想だった。よく考えれば少しおかしな感想だ。 そもそもこの物語は、ルイス・キャロルが1865年に発表した児童文学であり、今作にしても、子供から大人まで楽しめる娯楽映画という位置づけであることは言うまでもない。 “子供向け”であることは、ある意味当然のことなのだ。  ならば、なぜそういう印象を持ってしまったのか。 その前提にあるのは、1951年のディズニーアニメ「ふしぎの国のアリス」の存在に他ならない。  このおよそ60年前の長編アニメの存在感が、物凄い。  決して大衆に媚びないそのシュールなアニメ世界は、ルイス・キャロルの原作が持つ根本的な”不可思議さ”を完全に表現すると同時に、アニメーションという表現方法を最大限に生かした芸術性と娯楽性に溢れている。 そして、その奇抜さは今尚少しも色褪せない。  今回の実写映画が、ディズニーの配給である時点で、ルイス・キャロルの児童文学の実写化というよりは、アニメ映画「ふしぎの国のアリス」の実写化であると捉えるべきだと思う。 そして、その実行者として、現在の映画界においてティム・バートン以上の適役は無かっただろうとも思う。  果たしてハリウッドきっての奇想天外な映画監督が、またもジョニー・デップと組み、あの不可思議な世界観をどのように映像化してみせるのか。そういう部分に期待は集中した。  結論としては、冒頭の感想に尽きる。  アニメ映画「ふしぎの国のアリス」の最大の魅力は、“不思議”なんて言葉を通り越して溢れ出る”毒々しさ”だった。 何も知らない幼子が観たならば、恐ろしくてその夜の夢に出てきそうな程に禍々しい。  そういう要素がこの実写映画には無く、比べると非常に“薄味”に思える。  莫大な製作費をかけた娯楽大作であるのだから、大衆に対する間口は出来る限り広げなければならなかったのだろう。 それでもティム・バートンならばと、もっとぶっ飛んだ“アリス”を期待していただけに、拍子抜けという感は否めない。  まあそれだけ半世紀以上前のアニメ映画が、ぶっ飛んでいるということだろうが。 
[映画館(字幕)] 5点(2010-04-29 22:44:36)(良:1票)
60.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
戦後の西ドイツ、ふとしたきっかけで出会った15歳の少年と36歳の女。欲望のままに惹かれ合い、たった一夏の関係を過ごした二人。彼らの中ではじまった「朗読」という儀式は、一体何だったのだろう。  その意味は、決して単純に美しいものではないように思う。  過去の“業”を秘め無学をひたすらに隠そうとするアラウンド40の女と、目覚めた”性”を抑えきれず彼女に対する無意識下の蔑みを「愛」と盲目する少年、それぞれの脆さと愚かさを、「朗読」という行為で正当化しているような、そんな屈折した心証が見え隠れする。 キャッチコピーにもある通り、そこには、「愛」と呼ぶにはあまりに切ない二人の男女の関係性があったと思う。  時を経て、再び「朗読」という行為で繋がる二人の関係性は、20年前のそれとはまったく異なる。かつての感情の高ぶりを思い起こすと同時に、決して取り戻すことは出来ない過ぎ去った時間を感じ、二人の関係の本当の意味での“終幕”を迎える。  結局、この男と女は、一度たりとも心が通じ合ったことは無かったのではないかと思える。お互いが、無知と無学の狭間で盲目的に惹かれてはすれ違うということを繰り返し続けたのではないか。  それはやはり「愛」ではなかった。ただ、その関係性がイコール「悲劇」かというとそうではない。それぞれの人生において、「朗読」という行為は、“始める”意味でも、“終わらせる”意味でも不可欠なことだった。 それはおそらく当人たちでさえ説明がつかない心と心の“交じり合い”だったのだろう。  この物語の真意を100%理解出来たとは思えないし、完全に理解することなどは不可能だと思う。 なぜなら、主人公の女が死を覚悟してまで文盲であることを隠し続けたことが如実にあわらすように、人間の心理は千差万別であり、一つとして完璧に重なり合うものはないからだ。 そういう人間の複雑さを映画として情感たっぷりに描き出した優れた作品だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2010-03-22 09:26:35)(良:1票)
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